広島県における大規模土砂災害発生から１ヶ月が過ぎ、報道も少なくなり関心が薄れつつあるのが現状ですが、日本国民一人一人が東日本大震災の被災地と同じように広島県の被災地のことを忘れることなく、政府と国民が一丸となって一刻も早い被災地の復旧･復興を目指すとともに、この災害の教訓を生かして全国の土砂災害対策を早急に進めなければなりません。ところで、土砂崩れや土石流などの土砂災害を防止したり、被害を最小限に抑えるためには、深く根を張って土壌を支えたり、水分を吸収して土砂災害を防止する森林の土砂災害防止機能を最大限に生かすために森林を健全に保っていくことが不可欠ですが、現在、木材需要の減少や担い手不足など、林業をはじめとした第一次産業の低迷が続き、山林の荒廃が進んでいるのが現状です。そこで、国土強靭化の一環として国が主導して以下のような森林を健全に保つ｢森づくり｣を進めることを提案したいと思います。
（１）国が全額負担も含めた大規模な財政支援を行い、山の斜面やふもとの近くに立地している全国の全ての住宅地の周辺の山林の調査を期限を定めて、定められた期限内に完了するように実施し、調査結果をもとに各種調査区域ごとに間伐、植え替え、土壌改良、病害虫や鳥獣害対策など必要な対策を検討し、各区域ごとの対策計画を作成して、調査と同様に期限を定めて、国が大規模な財政支援を行い、定められた期限内に完了できるように対策を進める。
（２）山の周辺や斜面の広範囲に広がっている住宅地を区画整理や高層化などをして集約化し、空いた土地を集約化した住宅地を囲むように植林して、土砂災害が発生しても植林した所が緩衝地帯となって土砂を食い止めたり、大雨の際に雨水を吸収することによって斜面から平地に流れ出る水量を減らし、浸水被害を防止、軽減できるようにする。
（３）国が大規模な財政支援を行い、伐採した樹木や竹を燃料にして発電と同時に暖房や給湯用の熱供給を行う大規模な発電所や伐採した樹木や竹を原料にしてバイオ燃料、肥料、飼料、土壌改良材、建材、製紙原料などを生産する工場の建設を進めたり、樹木や竹を原料としたバイオ燃料を使用する家庭用や産業用のボイラー、暖房機器などの普及を進めるとともに、伐採した樹木や竹を原料として生産した燃料、肥料、飼料、土壌改良材、建材、製紙原料などを国が差額を負担して安い価格で企業、農家、電力会社などに販売したり、伐採した樹木や竹を原料として使った製品や、木質バイオマス燃料を使用する家庭用の暖房、給湯設備など樹木や竹の需要拡大に資する製品やサービスの購入を行った際に特典を受けられるポイント制度を設けるなどして、伐採した樹木や竹の有効利用を進めることで（１）の早期完了と森林の土砂災害防止機能の長期的な保全を図る。
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