正しいことの、はずなのに:『4つのシアワセ』・3 | 社長作家が書いた小説。 成功して、毎日を生きるのが楽しくなるストーリー

社長作家が書いた小説。 成功して、毎日を生きるのが楽しくなるストーリー

作家をしながら、会社を経営しています。読んだ人の人生が上手くいくように、そう願って書いた小説、文章の原案をここに置いていきます。名前はまだ伏せますが商業出版の著書もあり。小説やコラムや、どんどん欲張って書いていきたいです。楽しんでくれたら嬉しいです。

どうして、こんなに時々イライラするのか。
正しいことをしてきたはずなのに。


相変わらずそんなことを考えて、地下鉄に乗っている。
朝も、夜も。


地方の厳格な会社員の父と、教師の母。
少し晩婚な両親のもとで長男として生まれた洋介は、きびしくしつけられた。


同級生の親は、戦後の高度成長を謳歌した世代だが、
洋介の両親は戦争の影を受けていた世代。
もろに教育方針が、違っていた。


「あんな格好をしているヤツらは不良だ」
「本も読まないで遊ぶやつらは、いずれのたれ死ぬ」


少年の頃から、おしゃれをしたり、好きな芸能人の写真を集めることもなかった。
「悪いこと」だと思ったからだ。代わりに、岩波文庫を読み、母親が買ってきてくれる
服だけを着ていた。


大人になっても、同じように、両親の影があった。
地味なグレーのスーツ、白いワイシャツ。


「正しいことをしている。いつかはむくわれる」


そう思って、いつもこの道を歩いていた。
最寄り駅から会社まで、繁華街を過ぎるこの道を。


楽しそうに腕を組むカップルたち。
リラックスしたピンクのカットソーに、恥ずかしくなるくらいだけど
見てしまうミニスカートをはいた女の子。


楽しそうな雰囲気の中、いつも駅までと、駅からを、ひとりで歩いていた。