才能の使い方と崩し方 | 城島充の物書き的日常

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粟生選手が王座から陥落しました。


ネットで試合を観たのですが、

相手のパンチへの反応、カウンターを打ち込むセンスなど

明らかにボクシングの才能では

粟生選手のほうが上やと思いました。


しかし、

ボクサーはリングの上で

才能だけを競うわけではありません。


メキシコから来た挑戦者は

ノーモーションの右を序盤からこつこつ当てていました。

以前の粟生選手ならなんなく外していたとおもいますが、

今回は公言していた(これまでとは違う勝ち方)を意識するあまり、

相手のパンチを外してから入る―という粟生選手のセンスをいかした

戦い方ができませんでした。


その才能ゆえに、これまでとは違うスタイルを実践できた

のだとしたら、

ボクシングの神様は多くの示唆を僕たちに教えてくれたのかもしれません。


挑戦者はずば抜けたスピードもパンチ力もなかったですし、

終盤は息切れしていたようにスタミナに自信があるタイプでもなさそうでした。


しかし、自分が持ちうる力を最大限いかし、

才能あるチャンピオンのリズムを崩すのに成功しました。


乱したリズムを戻すのも才能なのでしょうが、

ボクシングという競技の奥深さを見せ付けられた

12ラウンドでした。


Numberの最新号で書いた補助剤問題ですが、

やはりこれまでの報道では

伝わりきれなかった水谷選手の葛藤、決意を理解してくれた

読者の人が多いようです。


正しいことをしているから

なにを言われても揺らぎません―


という水谷選手の覚悟をうけ、

これからもこの問題を追いかけたいと思っています。