約30年(1990年)を100とした場合の主要先進国の実質GDPについてOECDがまとめたデータが政府の資料※などに使用されて公開されています。労働時間当たり実質GDPについては主要先進国と遜色のない伸びを示しているのに実質GDPが伸びていないのは生産人口(一般的に15歳以上65歳未満の人口)が減少していることが主要因です。
―人への投資を原動力とする成長と分配の好循環実現へ―
第2-1-1図 主要先進国の実質GDPの推移
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je22/h06_hz020101.html より
ちなみに同形式の資料が毎年夏に公表されています。 令和5年度 年次経済財政報告、令和6年度 年次経済財政報告
最近活用の進んでいるAIにGDPがなぜ伸びないのか質問してみました。
Q:日本のGDPはなぜ伸びない?
A:日本のGDPが伸びない理由は、少子高齢化や人口減少、物価上昇、設備投資の伸び悩みなどによる労働力不足や生産性の低下が考えられます。
【要因】
・少子高齢化による労働力人口の減少
・生産性の低い企業や産業への資源の停滞
・金融システムへの信頼の低下による企業・消費者の慎重化
・過剰債務企業の設備投資の減退
・物価上昇
・コロナ禍を受けた外出自粛による非正規雇用の急減
【影響】
・生産能力が不足し、経済成長が鈍化している
・設備や人への投資が伸びず、労働生産性が向上できていない
・中小企業が投資を控えており、省力化・省人化した生産への転換を迫られている
・原材料の調達コストが上昇している
【対策】
・設備や人への投資を拡大し、労働生産性を向上させる
・業務効率化によるコスト削減を図る
・投資を拡大し、新技術や新設備の投入により、全要素生産性を押し上げる
・一人一人の経済的豊かさや、労働者1人当たりの生産性を重視する
Google Search Labs AI による概要より。
用語
全要素生産性とは労働や機械設備、原材料投入など全ての要素を考慮した生産性指標です。 計算式は「全要素生産性=生産量÷全要素投入量」
英語表記「Total Factor Productivity」(TFP)
関連QA
Q:日本の経済が凋落している原因は何ですか?
A:さて、日本の衰退の理由ですが、市場が縮むことが最大の問題です。 人口の予想以上の減少、中高年市場の未発達、平均賃金の低下の三つがその要因です。
AI回答では要因と影響を提示、分析したうえで対策が示されました。時間当たりの労働生産性は他の国と変わらないので、効率化やコスト削減で劇的な改善はなさそうです。1人当たりの労働を増やすというのが解決策の一つとして考えられます。一人当たりGDP計算上は1日8→10時間労働にしないと増やせないのですが以前のように残業(サービス残業?)でカバーするのでは時代に逆行してしまいます。そこで表向きは定年延長で生産人口を増やそうというのが政策です。
日本の年金は運用に全体的にみると失敗しているので支給を遅らせて貰わないで死んでくれるのを狙っているようなところがあります。平均寿命が延びていないのに人生100年時代とスローガンをぶち上げて生涯現役と言えば聞こえがよいのですが死ぬまで働けというのが基本路線になろうとしています。
経験や熟練によって中高年になったら生産性が上がるかというとそれほどでもないので定年延長を見越して賃金カーブを均してフラットにして生涯賃金は変わらないようにしています。これが平均賃金の低下を招いています。現在の経営層が駆使しているのは特別な技術が無いのに高給を得る方法として組織内の政治力や人脈を利用する方法です。現在の利権を手放さないようにするために定年延長と役職定年の廃止を行って現ポストに長くとどまれるようにしています。政府は成長分野の人手不足を解消し、社会構造の変化に対応するために学び直し(リスキリング)を推進しようとしています。ですが、研修などの再教育、技能習得はなかなか進んでいません。未だに同一職種の経験年数を重視する考え方が根強く、リスキリングを選ぶ人は今までの職種で不要とされた人というレッテルが貼られてしまいがちです。
グローバル人材とよばれる特別なスキルがある人(英語がネイティブレベルかつ他に専門性がある人)は海外との競争があるので処遇をよくしないと居なくなってしまうので高給ですが、それ以外の一般労働者は低賃金で抑えています。特にポータブルスキルになりにくい技術職が低い賃金のままです。現在の職種で必要な資格に加えて何らかの資格を取得しても賃金(手当)は僅かです。ともすれば社員を減らして非正規雇用や海外研修生で代替してきました。その結果が今の日本です。
ところで法人所得税は1998年と1999年にそれまでの37.5%から30%へと段階的に引き下げられ、さらに 2012年に25.5%に、2015年から2018年にかけても段階的に現行の23.2%に引き下げられてきました。納税しなくて済むようになった資金は企業貯蓄(内部留保)の形で資産としてあるはずですが、帳簿上の評価額など怪しいものがあるように感じます。あと数年で事業を畳んでしまうのではないかとか、不正経理・粉飾決算をしていて実は運転資金が無いのではないかと思うほど整備投資をしていない企業がたくさんあります。かつて法人所得税を払うくらいならと積極的に投資をしていた時がありました。その時は儲かっている企業が積極的に投資をするので周辺企業へ波及して経済がよく回る好循環が生まれてさらに儲かるサイクルがあったのだと思います。
法人所得税に関しては国家間の競争もあったので当時は引き下げないと本社機能を日本国外へ移すような動きを止められないと考えられていましたが、今となってみるとは厳しい弊害もあったということです。いくつかのシンクタンクがレポートを上げているので今後の政策に取り込まれていくのではないかと思います。
■参考リンク
法人所得課税をどう見直すか -ポストコロナ時代の法人所得課税の在り方- [日本総研 調査部 上席主任研究員 蜂屋勝弘氏]
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/13939.pdf