パナソニックの録画用ブルーレイディスク生産完了に思う

パナソニックは2023年2月をもって録画用Blu-rayディスクの生産を完了すると発表しました。パナソニックでは録画用ブルーレイディスクとしてBD-RE ［くり返し録画タイプ（書換型）］とBD-R ［1回録画タイプ（追記型）］でそれぞれ片面1層、片面2層の生産・販売をしていました。ブルーレイディスクレコーダー「ディーガ」シリーズで推奨する商品の位置付けです。

個人向け商品ブルーレイディスク https://panasonic.jp/media/ より

商品の１つの50GB（片面2層）での録画時間の目安は地上デジタル：360分、BSデジタル：260分、BS4K / 110度CS4K：180分で記録速度はBD-REで1～2倍速、CD-Rで1～6倍速をサポートしています。HDDに録画した映像をブルーレイディスクに書き出すのに時間を要します。パソコンのMicroSDメモリやストレージのSSDなどを使った時のデータ転送速度と比べても決して速くはありません。書き出したディスクを管理しておかなければならない点も煩わしい点です。

音楽でレコード、カセットテープ、ＣＤ、ＭＤなどを所有する喜びがあった時代からMP3プレーヤーのメモリオーディオやスマホでの聞き放題サービスへシフトしたのと同じ消費スタイルが映像に関しても起きています。つまり、ビデオテープ、DVD、ブルーレイなどを所有する喜びから動画配信サービスで楽しむ方向へシフトしてきているのです。

ちなみに最近のディーガには数TB～10TBのHDDを内蔵していて4K放送を数百時間録画できます。内蔵HDDが少なかった時代と違ってブルーレイディスクへダビングするようなケースはあまりなくなってきています。しかも高級なパナソニックの録画用ブルーレイディスクはコレクション用途に使っているとみられます。他社の数十枚入りのスピンドルパッケージの商品が圧倒的に安く、パナソニックはあまり売れてなかったのではないでしょうか。1月23日にパナソニックから生産終了の発表があり、後継商品もないことが報道されたことでアマゾンなどのショッピングサイトでは愛好者が買い急いで売れ筋ランキングが上昇していますが一過性の動きと思われます。

ここ数年はパナソニックのブルーレイ製品に積極性が見られなかったのでかなり早い段階で終息する方針は決まっていたように感じます。そして追い打ちをかけたのが、素材価格・生産コストの高騰、法律の変更だと思います。前者はディスクの素材となる樹脂の価格、エネルギーや物流コストが上がったことで生産コストが上昇したはずです。後者は文部科学省文化庁の私的録音録画補償金制度の対象機器としてブルーレイディスクレコーダーを指定する『著作権法施行令の一部を改正する政令』が閣議決定をされたことです。補償金制度は機器の代金や媒体に上乗せして課金し、権利団体が補償を受けるという旧時代の制度です。デジタル時代(DX)にするなら、電波を垂れ流すのではなくどの番組を視聴したか把握する仕組みをきちんと作るべきでしょう。

すでにオンラインの映像配信サービスでは、視聴回数・視聴時間や広告への誘導成果に応じてクリエーターへ報酬が支払われるシステムが出来上がっています。投げ銭機能もあり、特にお気に入りのクリエーターへ自分のアカウント名を提示してお金をあげられるようになっています。映像配信サービス主体で番組製作するケースも増えていて従来の放送局の地位は年々低下しています。そして近年はチューナーレススマートＴＶ(液晶ディスプレイにFire TV Stickのようなオンライン映像配信サービスを利用するような機能が一体化した機器)が人気です。テレビは要らないという消費者がかなり居るのです。希望する番組を選んでいつでも視聴できるので、テレビの前で放送時間を待つとか、レコーダーに予約しておいてみたいときに再生するといった視聴習慣を破壊しています。デジタルネイティブ世代ではスマホで盛り上がっている部分に飛ばしながら視聴したり、倍速で視聴することに慣れています。

そしてコンテンツの消費者から生産者へ誰もがなれる時代になったことで、仲間と趣味をしている様子を撮影して動画制作をするチームが急増しています。オンラインゲームで楽しみながらその映像やワイワイ楽しむ声を配信するというゲーム実況者というジャンルも参入者が多く、急成長しています。独自のキャラクターを売りにしていた従来からのYoutuberは収入減となったとか言われていますが最近増えている芸能人の新規参入者が伸びているからかもしれません。

＜パナソニックの録画用ブルーレイディスク生産完了の告知＞