仕事術 エンゲージメントサーベイは要注意 | 特選街情報 NX-Station Blog

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仕事術 エンゲージメントサーベイは要注意をお届けします。

 

データ分析

 

米調査会社ギャラップの「Q12」というエンゲージメントサーベイでは、企業が従業員に対して12の質問を行うことで、幸福度を図れるというものです。その質問内容は、以下のようなものです。
 

Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この1週間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分を一人の人間として気にかけてくれている
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
 

 

参考:ギャラップのQ12従業員エンゲージメント調査

ギャラップのQ12従業員エンゲージメント調査
\1,740 参加者1名あたり。*最低4名の参加者が必須です。 税金が含まれます
この1回限りの調査は、チームがより高いエンゲージメントとパフォーマンスを達成するうえで何が必要かを見つけるのに役立ちます。ギャラップの有益な従業員エンゲージメント調査を実施して、生産性、収益性、定着率、売上などの成果を向上させましょう。

 

こうしたサーベイを会社が実施する前に、従業員一人一人にリソースを提供して声掛けもしてきたでしょうか? 

 

若手であれば12の質問に好意的に回答できるのではないかと思います。ですが、同じ職場に長く居ると成長を感じられなくなりますし、期待されている感じも薄れてくるのではないでしょうか。一人一人が目指しているキャリアが多様化している中で、きちんと方向性を合わせることなくサーベイに頼ったエンゲージメント実施は離職防止の効果が薄いと思います。

 

多くの国で実施されているサーベイですが、業績が停滞している組織や日本で長く続いてきた終身雇用を前提とした組織での実施ではよい結果が出ないと思われます。それに対して、経営者や人事部門が根本の問題を解決せずに数値を上げることが目標にしてしまうとサーベイごとの数値の上がり下がりに一喜一憂してアクションが短期的な施策になりがちです。豪華な社内報を作ったり、経営陣と社員の対話イベントを開催したりとやっている感満載になります。ITエンジニアであれば高性能なサーバーやPC、ネットワークが与えられていないことに不満を持ちます。メモリが足りないPCでの業務を続けさせられていたら自身の貴重な時間が失われていると考えるでしょう。そして何度もサーベイをしていくうちに、診断後の対応の面倒を避けようと従業員はサーベイに慣れて忖度して、結果と業績に乖離が生じます。そういう時は会社がいらない施策をしないようというメッセージが込められていてスコアが上がっているのかもしれないと考えるべきです。

 

従業員の頑張りと報酬、会社の好業績と自身の報酬が連動してほしいと思いますが、働きぶりは変わらないのに業績悪かった時に報酬が下がることを納得しないと思います。会社は社員のウェルビーイング(幸福)と言いながら、愛社精神を持たせるために懇親会でコミュニケーションしているようだと世代間のギャップでエンゲージメントが下がるでしょうね。

 

欧米由来のサーベイは人材が定着しなくても業務が回るような仕組みを作っていることが前提になっています。サーベイは離職防止を目的に作られていますが、日本では諸外国と比べてエンゲージメントスコアが低いのにも関わらず離職が少なく、エンゲージメントスコアを上げることが離職防止につながるかどうかは微妙です。一般に優秀な人材ほど退職してしまうというのはもっと高給で成長によい環境へ転職できるからで当然のことです。それほどでもない人材で過分に給料をもらっているとわかっている人ほど他に行って通用しなくなる不安から組織にしがみつきます。帰属意識が高いことはよいことばかりではありません。プロ野球・サッカーの選手を見れば海外チームで通用する選手ほど辞めて新しいチームで活躍しています。

 

飛びぬけたデジタルスキル(IT)人材も日本を出て海外へ転職しています。裁量が小さく自己効力感が得られにくい環境からは脱出してしまいます。この会社にいなければできないことがあればとどまるはずです。ところでスポーツが国を超えて活躍しやすいのはゲームのルールが同じだからですが、デジタルスキルも国の差が小さいと考えられます。ベースの半導体は共通でその上のクラウドやインターネット技術も各国の法律を除いてほぼ共通です。国民性の違いでビジネスを展開するにはローカライズも必要になりますがネット配信やゲームも国を超えて売れているので意外に小さいのかもしれません。

 

 

以上、仕事術 エンゲージメントサーベイは要注意でした。