検索エンジンによってインターネットの情報を素早く得られるようになった反面、特定のキーワードでは自分が欲しい情報が全く出てきません。例えばオンラインショッピングでプレゼントを探して送りたいとき、「贈り物」で検索して、喜ばれる品物を見つけられたでしょうか？ ギフト商品を扱うショップやその紹介をするWebサイトが出てきたと思います。自分らしいちょっと他には見つからない気が利いたプレゼントをしようとすると、残念ながら今の検索エンジンやECサイトが蓄積したデータをAIで分析した結果を表示しても送りたい相手の喜びそうなものを選ぶことはできないのです。それは、物を売ることにつながるキーワードはお金になるからです。大手のサイトや検索エンジン最適化(SEO)に長けたWebサイトが競争して、多くのアクセスを集めることができるように売れ筋の商品や目を引く商品を集めたコンテンツを作成しています。情報が多すぎて、目的の情報が見つからないという状態です。
それではお金になりそうもないキーワードとコンテンツの検索はどうでしょうか？
「検索と探し物」(2006年6月3日記事) で切手のサイズがすぐに調べられないということを例に挙げました。今は、以下のように検索結果が返ってきます。
Google 「切手のサイズ」を検索
強調スニペットの表示で、「８４円普通切手 郵便切手のデータ」として切手寸法を教えてくれるようになりました。
「他の人はこちらも質問」の表示では、「切手の標準サイズは？」「郵便物のサイズは？」「手紙のサイズは？」といった関連しそうな事項を提示するようになっています。検索エンジンも進化しています。
オリジナルの封筒を作成するときに調べる人が多いのでしょうか？ 「他の人はこちらも質問」も役立ちそうな事項が並んでいます。郵便切手のデータは普通の切手であれば標準のサイズが決まっていて全国一律、いつでも同じ大きさですから、こうした情報が正しく提供できます。
郵便関連の続きで、検索エンジンや地図から最寄りの郵便ポストの集荷時間を調べようとしたらどうでしょうか？残念ながら検索することができません。小売店や飲食店の営業時間はありますが、ポストの詳細情報はないのです。小売店や飲食店はWebページで店舗へのアクセスや営業時間を積極的に公開していますし、クチコミ・予約サイトもあります。郵便ポストは日本郵便が公開しなければ、第三者が公開することはないと推測します。なぜなら、閲覧者を郵便ポストへ送客しても金銭的なメリットがないからです。
※郵便ポストの本数
2016年度末における郵便事業関連施設数は、郵便局数が2万4,421局、郵便ポストが18万1,523本、郵便切手類販売所・印紙売りさばき所が14万881箇所
(平成29年版 情報通信白書｜郵便事業関連施設数 - 総務省)
サーチエンジンのキーワードはお金になるものほど検索しにくい＝情報過多、お金にならないもの＝情報皆無という問題を抱えています。
■キーワード
・検索エンジン最適化(SEO) フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
SEO(Search Engine Optimization) 検索エンジン最適化とは、検索エンジンのオーガニックな検索結果において、特定のウェブサイトが上位に表示されるよう、ウェブサイトの構成などを調整すること。また、その手法の総称。
■関連リンク
・Google のウェブマスター向けガイドライン（品質と SEO に関するガイドラインを含む）
旧URL https://developers.google.com/search/docs/advanced/guidelines/webmaster-guidelines?hl=ja
・「いかがでしたか？」問題に「欲しい情報が出ない」問題… Google検索の第一人者が語る、検索で不満が募る“意外な理由”とは
文春オンライン 辻正浩さんインタビュー#1
・「SEO事業者の9割くらいは“良い会社”とは言えないので…」日本のネット検索の5％を担う第一人者はいかに生まれ、何を目指すのか
文春オンライン 辻正浩さんインタビュー#2