最近実施しているマクドナルドのキャンペーンのセンスのなさにガッカリしていたら、本日、極めつけに「店頭での会計終了後、60秒以内に商品を提供できなければ、「ビッグマック」などのハンバーガー(一部商品を除く)の無料券をプレゼントする」と発表しました。来年1月4日から31日までの午前11時~午後2時に全国約3300店舗で実施するとのことです。60秒以内で提供できた場合でも、「プレミアムローストコーヒーSサイズ」の無料券をプレゼントとするとしています。
前回のキャンペーンのポテト全サイズ150円も最悪でしたね。SでもMでもLでも同一価格ということは材料の原価が極めて安いか中身は無価値なのでしょうか? 私がよくないと思うところは具体的には次のようなところです。カロリーも気になるけどちょっと食べたい人には我慢してSを注文して損した気分にさせてしまい、ガッツリ食べたいLサイズを注文した人はどうせならもっと大盛りにして欲しいと思うでしょう。ちょうどスタバが中身を減らして問題になっていますし、食べ物の恨みは提供側の企業が考える以上に大きいです。
話を戻して今回の支払い後60秒の件です。
ネットメディアを中心に情報が伝わるにつれて否定的な意見が増えています。
私の視点は別の角度からの問題を提起したいと思います。
1.来店してからイートインで食べ終わって退店までやテイクアウトで退店するまでをサービスだと考えていないという点
2.客離れがすでに発生しているがその原因を企業側が捉えられていないという点
3.支払い完了から60秒と設定したわけには、支払いが著しく遅い客がいることに対する気付きを与えることを目的としているのではないかという点
1つ目は、今回の条件設定がお金払った瞬間から商品を渡すまでが仕事と考えているのではないかということです。企業側がそうであっても、客側は違います。 稼ぎが時給1200円の人だと1分あたり20円のコストになります。そうなると来店してから列に並んでいるときや席を探しているときまで含めるとキャンペーン期間中は経験上5~10分ほどかかりますので100円から200円ほどのコストです。間違いのないように明記しておくと、マクドナルドのアルバイトではなく客が待つ時間に関するコストです。時間をコストに換算するとどんな集客キャンペーンもすでにファーストフードのサービス概念と合わないのではないかとさえ思えます。
客の来店を平準化し、商品の提供を最大化することが売上げ拡大と人件費コストの適正化、サービス品質の維持に役に立ちます。やるべきキャンペーン施策は店内の行列が3人以内だったらプレゼントが正しいです。そうすれば、不人気店舗、閑散時間帯のてこ入れができるでしょう。昼時の様におなかをすかせた客が退去して押し寄せているときにはキャンペーンよりも粛々と本来の商品をファーストフードらしくすばやく提供するだけでよいのです。
2つ目ですが、希少性がないレギュラーメニューを安売りすると、平常時の売上げが落ちてしまうということです。牛丼チェーンがこれには早く気付きました。昨日まで250円だったものが300円になってしまうと損した気分になるということです。そうすると、次の安売りまで行かない客が出てきて来客数が減ります。大抵の飲食店はチェーン店であってもオープンしたときの来客数を2年目以降超えられません。余程の努力があって増加させられるのです。
3つ目ですが、買いものに来ているのに財布も出さずに金額を言われてからおもむろに支払いをするのんびりした客が増えています。ファーストフードなので優雅さなどとは無縁に素早い行動を客に求めようとしているのではないかと考えてしまいました。
ところでレジとキッチンのオーダーシステムは連動していて、最も時間のかかかるサンドイッチ類(ビックマックとかハンバーガーとか)を最初に聞き、調理を始めているので支払いまでに作ることは可能なようにシステム化されています。なお、揚げ置きしてあるポテトや注入するだけのドリンクは最後に聞いても60秒以内にサーブできるのです。支払い金額をあらかじめ計算しておいて、混雑時にはドリンク、サイドメニュー、ハンバーガーの順に注文するとか、閑散時には単品で時間のかかりそうな種類のハンバーガーを注文するとかで60秒以内の提供はできなくなるでしょうね。複数のレジで受付している場合には、設備的に一度に調理できないように他の列の注文と同じものを注文するだけで60秒を超えてしまうでしょう。
「マック 会計後60秒超で無料券」の企画は誰が得をするのでしょうか? 例年この時期には福めくりをやっていたはずなので、今年のマックには福は来ず・・・ クレーマーや顧客生涯価値の低い人を呼んでしまうのでしょうね。
※追記:福めくりは12月21日~1月3日に規模を縮小して実施、対象商品はビックマック、マックポテトLサイズ購入で「福めくり」をプレゼント、無料券もしくはクーポン券が当たります。
マックにはサービスの精神を一から考えて欲しい、そう思います。店内調理の増えているコンビニのサービスが相対的に高く、待ち時間も少なく、店員の対応も総じてよいです。
私の肌で感じる景況感はとても悪いです。スーパーで1個売りのデザートの売れ行きが悪化しています。(処分価格販売や廃棄処分の個数が増加しています) タクシーの配車の状態や歓楽街の夜間の入店状況など街中景気が極めて悪いです。これらはどんなことが分かるかというと家計の節約志向、企業の営業活動やサラリーマンの懐具合が計れます。
ところでもう日数がないので、「鳥重閉店」について書いておきたいと思います。
日本一予約がとりにくい焼鳥屋として有名な「鳥重」の名物お母さんの本、今年12月29日で暖簾をおろすことになっており残念ながら閉店のその日までもう予約はいっぱいの模様です。昨年頃から閉店を考えていたそうで、新規客の予約を受付けず常連さんとの最後の別れのために営業を続けているような状況でした。
出版された本の『ぶつよ!―奇跡の焼鳥屋「鳥重」名物お母さんの元気が出る言葉』の「お勘定を払う身になって商売すれば、どんな不況も怖くないんですよ」が身にしみます。
昭和の焼鳥店の面影を現代に伝える奇跡の店と評され、今年で61年、焼鳥一筋に頭が下がる思いです。
鳥重 [食べログ]
旧URL https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001306/
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