3月も半ばに近づき、三寒四温という言葉がぴったりな変わりやすい天候で、それがまた春らしさを感じるマンハッタン。

 

急に寒くなった今週のある日、仕事の合間に同僚と馴染みのカフェ「Lucid Cafe」に行きました。職場と通勤で使うグランドセントラル駅の間にあって便利なはずが、最近はいつも多忙でゆっくりと立ち寄ることがありませんでした。「Lucid Cafe」はレキシントン街と38丁目の角に佇む、ワンルームマンションほどの広さのこじんまりとしたカフェで、20年以上前から営業しているそうです。入れ替わりの激しいマンハッタンのカフェ業では老舗です。

 

ちょっと前にレキシントン街を通った時、Lucid Cafeが入居してるビルの周りに建築機材や足場が設置されているのを発見し、この周辺もついに再開発が始まりビルの建て替えと同時にお店も消えてしまうのでは、と嫌な胸騒ぎを覚えて気になっていたのです。

 

 

 

マンハッタンに引っ越してきてからずっと通っていますが、ここの売りは、ザ・マンハッタンのコーヒーショップ!と言う感じで、いけてるローカルの男女が店を育ててきた、みたいな雰囲気と、店の扉を開けた途端に挽きたてのコーヒー豆のいい香りがアロマのように充満しているところです。普通のドリップコーヒーでも風味がよくドリンク類全般の味もさることながら、マフィンやスコーンなど焼き菓子類も充実しています。そして、店員さんたちのサービスもこの辺りではピカイチです。だいたい韓国系の若い子たちがお店を切り盛りしています。私はせいぜい月1か2回くらいしか行きませんが、なんとなく顔を覚えていてくれてるのかな、みたいな微妙な心地いい距離感で接してくれます。

 

一緒に行った同僚は、昨年この辺に引っ越してきてすでに常連さんになっていたようで、店員さんとも顔馴染みになっていました。私はだいたいドリップコーヒーで済ませてしまいますが、同僚はエスプレッソ類に詳しくこのお店のバリスタ技術を高く評価しているようです。

 

こじんまりとしているが、品揃えは充実

 

毎回微妙に違う菓子パン系セレクション

 

この規模にしては珍しくちゃんと椅子とテーブルもある

 

普段は通勤途上にテイクアウトで寄るだけで、こうして店に座ってコーヒー飲むことはなかったのですが、ウッディーな温もりが居心地の良さを醸し出します。出入りする客層を眺めていると、やはり常連風の客が圧倒的に多いです。寒いのに薄着だったりサンダルだったりで、旅行者ではないことはすぐにわかります。これからも地元に愛されるカフェであり続けて欲しいです。恐る恐る、このビル建て替えにならないよね?と聞いたら、そんなことはないですよ!との答えで一安心。

 

さてさて、この日、一緒に行った同僚Kは、私と同時期に転職してきたいわば「同期社員」。経験もバックグラウンドも違うので日本的な新卒同期みたいな感じはないですが、オンボーディングトレーニング(新入社員研修)にも一緒に参加した間柄です。普段仕事で絡むことはないけれど、その後エレベーターやトイレで会った時などにちょくちょく会話をしていていました。私のゲイダー(ゲイを察知する本能)の観測では、なんとなくお仲間かな〜とは思っていましたが、あまり個人的な話をする機会はこれまでありませんでした。しかし、彼の方からランチでも行こうよと誘われていたのでした。なんとなくときめく展開。

 

ランチの時間がなかなか取れなかったので、近くでお茶しよう、となり「Lucid Cafe」に来ました。彼は、ここの隣にあるビルの上階にあるアパートに住んでいるそうで、それでこのカフェも常連になっているようでした。

 

アメリカ人の男は、ゲイでもストレートでも、基本的に用事がない限り人を誘ってランチやお茶はしません。日本だと職場の昼休みに用事がなくても同僚みんな一緒にランチしたりしてましたが、こちらではあまりそういうことはありません。

 

Kは私にどんな用事があるのだろう、と誘われた時からやや気になっていました。私がゲイだと会社の誰かに聞いて、親しくなりたいと思ってくれたのかもしれません。会議とか視線が合うことが多いので、お互いなんとなく無意識に気にしているのは確かです。オフィスでそう言うことは考えない派ですが、もしかすると同僚以上の関係になる可能性もあり?などと変な妄想もしてしまいます。というのも、実はKさん、雄っぽいイケオジで私の好みのタイプなのです。年齢はうちの旦那と同じくらいで50代前半。ちょっと禿げかかっているけれど、たまにポロシャツ襟元から胸毛がのぞいてたりして、全体的になんとなくエロい感じがします。(と、結局また今日も男の話題になってしまった!)

 

先週ブログで紹介した映画の主人公のようにオートバイ愛好家で、彼のオフィスにツーリング仲間と一緒に撮った写真が飾ってありました。普段はオフィスカジュアルですが、週末はバイクに乗る時の革ジャンなどを着てるのかななどとまた妄想してしまいます。

 

Kさんのイメージ。今もイケおじだけど、若い時はきっとモテたんだろう

 

でも、いざテーブルについて話を始めたら、なぜかあまり話が盛り上がらず、彼はどうして私をコーヒーに誘ったのだろう、と思うことしばし。シャイなのかな、などとも思いました。私の方は、職場で

ゲイ友を作るきっかけになると思い、会話の中できっかけを見つけて「My husband and I go to ......」とさりげなくカミングアウトしました。これは、相手がゲイだとほぼ確信したけれど白黒つけたい時の私のアプローチです。そうすると、だいたい相手も、「My Boyfried and I also like that.....」と暗号のようにカミングアウトし返してきます。しかし、この時のKさんはというと、、、まさかの無反応!なんかちょっぴり裏切られたような気分。もしかしたらKさんはゲイに見えるストレートで、私がいきなりカミングアウトしたことに驚いているのかもしれない。

 

Kさんは、私に旦那のことを聞いてくるわけでもなく、彼の自分のプライベートの話をするわけでもなく、仕事の調子や今の仕事に至るまでの経歴などお互い話し合ってお開きになりました。それにしても、Kさんが私を誘った意図はいまだに謎。別に具体的に何かの相談があったわけでも、仕事の悩みを共有したかったわけでもなさそうでした。出会い系やネットで知り合って、実際に会ったら、お互いあまり好みのタイプじゃなかった時の時のような変な後味。でも、会社の同僚なので、普段から顔を合わせてるんですが、、、。本当は何か話したかったのに、私がゲイだと知って話す気をなくしたのか。

 

色々とモヤモヤ感の残る喫茶タイムでしたが、店を去るときに、Kさんがおやつ用にとマフィンを買って、ついでに私の分まで買ってくれました。「Hey my friend」と言って渡してくれて、なんとなく嬉しかったです。少なくとも私に好意を持ってくれたことは確かです。これが彼なりの友情の証なのか、単に律儀で自分の分だけ買うのが嫌だったのか、本人のみぞ知る。私はそのまま直帰。地元の駅で電車降りる時、Kさんから「今日は色々と話せて楽しかった」とお礼のテキスト。普通のアメリカ男の習性を知るものとして、Kさんはかなり律儀なタイプです。家に着いて、甘党の旦那Dがすかさずマフィンを見つけて「どこで買ったの?」と聞かれたので、「内緒」とだけ行って旦那にあげました。

 

帰り際、マフィンを買ってる姿がお茶目なKさん

 

要件がないと一緒にお茶したりしないアメリカの職場文化に慣れきってしまった私が勝手に消化不良に感じるだけで、もしかしたらKさんはただ単に誰かとコーヒーを飲みに行きたかったのかもしれません。それに、Kさんが好みのタイプだから私の方が過剰反応してしまった可能性もあります。オンラインデートじゃないんだから、、と自嘲してます。所詮職場。他人の心のうちをあれこれ分析しても仕方ないので、友達になれそうな同僚と少しだけ距離を縮めるきっかけができて良かったとだけ考えることにしました。

 

ということで、たいしてオチもない投稿でしたが、「Lucid Cafe」はマンハッタンの中心地、グランドセントラル駅やクライスラービルなどのすぐそばにあるので、都会のオアシスを求めるならぜひ行ってみて下さい。

 

寒さも和らいできました。ロックフェラービルのいい眺め