先月、マンハッタンの店舗をはじめアメリカのスタバ事情についてブログにしてみましたが、スタバの迷走とは裏腹に、アメリカのコーヒー・カルチャー自体は活況に満ちています。東京みたいに、ドトールとかタリーズ、コメダなど大手の全国チェーンが乱立する感じでもなく、ローカルチェーンや独立系のコーヒーショップが無数にあってスタバ以外の選択肢になっています。あとはダンキンなどのドーナツ屋さんなどがおいしいコーヒーを売りにしていることもあります。

 

ミッドタウンなどオフィス街には、近隣のオフィス・ワーカーを相手に小さい店舗で本格派コーヒーを提供している勝負しているお店が多いです。アッパーイーストサイドやウエストサイド、SOHO、チェルシーなど、集合住宅が密集していて住民の多い地区では、地元密着型で朝食や軽食も出すカフェも人気です。マンハッタン全般お店の賃料も高いし店同士の競争も激しいので、客の満足度が高いカフェが生き残っています。商品の多角化が進むスタバへの対抗か、コーヒー豆の質を全面に押し出したカフェもだいぶ増えました。アメリカ全体では薄いコーヒーを大量に飲む人が多いですが、マンハッタンではコーヒーの産地や味にこだわったり、スィーツとのペアリングを開拓したりするような人がかなり増えてきたと思います。カフェ文化が成熟している証拠かなと思います。あまりに多すぎて、名前が覚えられなくて、同僚と話す時など、(ビルの)下のコーヒー屋さん、とかLex通り/33丁目の交差点のカフェ、とか呼んだり。なんと言ってもロケーションが大切なので、店の名前でアイデンティティーを出さない店も多い気がします。例えば、私が通勤途上でよく行くコーヒー屋の名は「Coffee Bar」。味で勝負ということでしょうか。

 

Coffee Bar@Grand Central

 

店内もシンプル。ここはコーヒーの他スコーンが美味しい

 

こういうカフェも健在(Bonjour@Upper East Side)

 

美味しいブレックファスト

 

コミュニティーの憩いになっている地域密着型カフェ

 

小さい場所で始まって今では多角化経営をしているコーヒーショップもあります。私がマンハッタンに住み始めた頃に、住んでいたアパートの近くのほんの数坪のスペースでやってたコーヒー屋「Gregorys Coffee」がその一つです。いつの間にか人気店になって嬉しいような、寂しいような。創業者のグレゴリーさんのチャーミングな風貌のユニークなロゴでインパクトがあったので、印象に残っていたものの、カフェ自体が無数にあるニューヨークではそれほどモニターしていませんでした。マンハッタン内でいくつか増えたのかな、くらいに思っていたのですが、先月メリーランド方面に週末旅行した先でも見かけて、いつの間に他の州にも進出し始めたことに気がついたわけです。旅先で旧友に遭遇するような気分でしたが、チェーン展開していく中で、スタバのように行き過ぎた多角化はしないでほしいと思います。

 

創業当時から通ってるGregorys Coffee

 

2006年、マンハッタンでGregoryさんが創業した

 

創業時と同様質のコーヒーを提供し続けているようで安心

 

 

さて、常連さんが多い地域密着のお店はさておき、例えば私のオフィスの近くの小さいコーヒーショップのように近くのオフィス・ワーカーが入れ替わり立ち替わりくるようなお店では、レジの人が、紙コップに注文とお客の名前を書いてバリスタさんに渡して、頼んだ飲み物ができるとカップに書いてある名前を呼ぶシステムを採用しているお店が多いです。感謝祭の前の日、仕事が結構暇だったので、インド系の同僚に誘われて行った会社近くのカフェもそんな感じでした。そして、とても面白い発見をしました。そのインド系の同僚、偽名でコーヒー頼んでました。彼の本名はジャガナッシュスリバサバン某。スペルアウトすると15文字くらいになる超長いファーストネームなのですが、頭文字のJをとってJustin(ジャスティン)という「Coffee Shop Name」を使っているそうです。気分によってJake(ジェイク)という名も併用。インド系の顔にJustinもJakeもイマイチ合ってないと内心笑ってしまいましたが、彼曰く、インド系の仲間の間ではよくあることなのだそうです。理由は、長い名前の人が多くて、いちいちスペルを言うのが面倒だし、言ったところで店員が正確にスペルできるとも思えない。要は、こんなところでアインデンティティー主張するよりかは、さっさと飲みたい飲み物オーダーできればいいだけの話。結局、それは自分と店側のお互いにとって合理的なのだとか。同じJで始まる名前でもJohnは多すぎて本物のJohnと被ることが多くて逆に不便とか。

 

余談ですが、この戦法使えると思い私も早速昨日持ち帰りランチで行ったサンドイッチ屋さんでSean(ショーン)という名前を使いました。私のファーストネームはNで始まる4文字なのですが、Nは聞き取りづらいらしく、聞き返されることが結構あります。そして日本人男性に多い母音が4つ入る名も一般アメリカ人には発音難易度高い。ということで発音もリスニングも間違えることがないSで始まる短い名前、割とメジャーな名前ということでSeanにしました。SteveとかScottみたいにそれほどたくさんいるわけでもないけど、マイナーすぎもしないので、本名言ってた時に比べてオーダーが簡単すぎて笑えました。支払い用のクレジットカードには本名が刻印されているので、怪しまれないかなと思いましたが、キャッシャーさんは全く気にしてませんでした。そういえば、アメリカにいる中国系の人たちなんて、ほとんどの人がアメリカ風ニックネーム使っていますしね。例えば楊國栄という中国名のニックネームがBrandonとか。私の中国人親友ZhaoはZack(ザック)使ってる。

 

注文するときに名前をいう方式のお店もまだまだ健在

 

同僚の真似して「Sean」という名でランチ持ち帰りしてみた

 

中華系やインド系だけでなく、偽名を使ってオーダーする同僚のアメリカ人女性もいるそうです。インド人同僚によれば、彼のカフェ友の同僚Lisa(リサ)はコーヒー屋ではDebora(デボラ)というやや古風な名前にしてるそうです。それは、インド系の合理性とは違う理由で、本名が周囲にバレないようにするための安全対策だとか。

 

いやあ、なるほどね〜と思いましたが、実はこの偽名でコーヒーオーダー現象、映画にもなっていて、名前が長いインド系の男女が、コーヒーショップで本名いうのがウザいから、誰もが知ってるような名前の中で、自分がアメリカ人に産まれたら付けたいような名前をコーヒーショップで使うというコメディー劇です。このブログで以前紹介したトライベッカ映画祭の短編部門にも出品されており、まさにコーヒー文化がマンハッタンのサブカルにまで広がっているようで可笑しく思います。

 

https://www.imdb.com/title/tt10919250/

 

今年もあっという間に12月。モミの木販売所も登場し、マンハッタン内のいくつかの有名なクリスマスツリーも点灯式が予定されて街はクリスマス一色です。同時に今週から急に寒くなりました。みなさん、風邪などひかれぬようお過ごしください。

 

 

ホリデーシーズンもコーヒーで勝負のお店