今の職場に転職して10ヶ月が過ぎました。オファーレターには試用期間が1年で、その間特に問題がなければ期限のない契約に移行していくと記してありました。この歳になっての転職なので、試用期間必要なんですか、と入社手続きの時に聞いたのですが、株主総会で進退が承認されるような幹部職以外は例外なく適用されると言われました。英語だとProbationと呼ばれます。前の会社に転職した時は半年でしたが、特に確認もなくこの試用期間(Probation)は解除になってた記憶があります。
今の会社には春に入社して一生懸命やってきたし、いつの間にやら何年もこの職場にいるような風貌で仕事してるので、特に問題はないと思っていたところ、先週のある日、私の部門の大ボスからこの件で個人面談のアポが入りました。大ボスとは、今の職場に私を採用してくれた、超絶イケメンで、日本含め世界中の色々な血の入ったベネディクト・サンタバーバラ氏。最近は会社のホームページのグローバル求人リクルートページにも登場していて、まさに我が社の顔。文武両道、才色兼備(と男性に使っていいのかはわかりませんが)、上司としても人柄も抜群。
私の転職ストーリーとサンタバーバラ氏との絡みについては、以下ご参照。
さてはじめの文脈に戻り、サンタバーバラ氏から社内のアウトルックのカレンダーにアポが入ったのは先週。
彼は、それこそ彼の母校のハーバード・ビジネススクールのMBAの教科書に出てくるような素晴らしい組織人材マネジメントのスキルを持っていて、私から見たら非の打ち所がない系のビジネスパーソンです。そんな彼との個人面談でタイトルが「Cacthing Up - NW and Benedict」。日本語にしづらいのですが、いわゆる近況報告みたいなニュアンスです。転職してきて初出勤時の面会(Onboarding Discussion)で、「冬前にまた二人(One on One)で会いましょう」と言われてましたので、この面談の目的はこれまでの10ヶ月の試用期間の業績評価(Perfromance Review)。普段の業務を見てくれてるスーパーバイザーではなくて、彼と直接か、と思いやや緊張します。試用期間突破できずもしクビだったら、もう少し前にパフォーマンスへの注意喚起(Warning)が入って改善を促されているはずだから、それはないだろうと思いつつも、やはり普段あまり会わない大ボスから面会のアポが来るのは内心どきどきします。
面談の日もこんな感じで超かっこよかった
そして、面会があったのが先週のある日の夕方。これまで部内会議で一緒になったり、廊下で会ったりはしてますが、こうして間近で二人きりで間近で見ると「うわぁ〜、超かっけ〜な〜」と内心叫んでしまいます。マンハッタンの象徴クライスラービルが見える会議室で、綺麗に仕立てたジャケット姿で立つサンタバーバラ氏はもう映画の中の主人公。窓から差し込む晩秋の光が彼の肩越しから後光のようにさして神々しいくらいにすら見えます。この日は彼と会うことがわかっていたので、私も少しいいスーツ着て革靴もちゃんと磨いてきましたが、もう同じ土俵にも立てない彼の圧倒的存在感。
アメリカのオフィスシーンでは、久々に会う人とはいきなり本題に入るのではなく、少し近況を報告します。緊張の面持ちで会議室に入ったのだけれど、彼のおおらかオーラで私も結構おおっぴらになれたので、会話のやりとりを再現。他人の容姿に対するコメントはご法度なのですが、例外的に使われている「Fit」という言葉で思わず彼の容姿ベタ褒めしてしまいました。
サンタバーバラ氏:「Nさん、お久しぶりです。元気でした?」
私:「おかげさまで、もう仕事にも慣れて楽しんでいます。」(全てポジティブ回答が鉄則)
氏:「それは良かった。忙しくてなかなか会えなくてごめんなさい」(並びの完璧な白い歯で爽快な笑顔)
私:「いえいえ。そういえば、会社のホームページ見ましたよ。カッコ良かったですよ」(批評が入らないように第三者的ともとれる「Cool」という単語を使いました)
氏:「あ、あれ、まだ自分では見てなんだよ!撮影に2時間もかかったんだよ。」(もっと聞いて欲し気な雰囲気だったので、私のほうもエンジンがかかる)
私:「では、その分会社もプロのモデルに払うお金を節約できたってことですね。ほんと、本物の俳優のように素敵に映ってましたよ。ちょっと、こんなこと言ったら不適切かもしれないんですが、なんでそんなにスタイルいいんですか?」(言ってしまった!!訳が難しいんですが、実際には"You are so fit"と言いました。”Fit”はスタイルや容姿を褒める言葉ですが、努力の結果を褒めるニュアンスがあるので、批評や性的なニュアンスを排除できます。こういうところで”Cute”とか”Sexy”は使いません。”Handsome”はギリギリOKだけど、女性が仲のいい年下の男性にいう時に使う傾向。おばあちゃんが自慢の孫にいうような。)
氏:「そう思う?でも私の妻は喜んでるよ。僕、この10年服買ってないんだもん。家計には助かるでしょ。」(若い時から体型変わってない、ということを言う嫌味のない切り返し)
私:「へ〜そうなんですね。モデル事務所かなんかから、無料で提供してもらってるとか?」(ちょっと過激なリップサービスだけど、この超絶イケメンにはこのくらい言ってあげたい)
氏:(満更でもない様子で、さらに爆笑)「Nさんて、面白いんだね〜。こんなにユーモアのセンスのある日本人は珍しいですよ。多分、私の妻と相性いいよ」(お、いきなりファミリーレベルの輪に入れてくれた)
という感じで、私としては冒険めなジョーク入りの世間話でしたが、大ボスの心を掴めた、と思いました。パフォーマンス評価のような話をするでは、お堅い場を和ませたてその後の本題に入っていく時にも堂々と言いたいことが言えるように体勢を整えることが大切です。少なくとも、私はこうやって20年間アメリカのビジネスシーンで生き残ってきました。こういうテクニック、上下関係のある社内の人や、何度も見知っているような基本友好的なクライアントとの交渉の時にも使えるかと思います。こうして大ボスとジョークを交わせる間柄になったのはこの会社でしばらく頑張っていこうと思っている私にとっては心強いです。
この日は無精髭がうっすらしてて、最高にセクシーでした
と、サンタバーバラ氏が登場するブログを書くには、彼の近況に触れないわけにはいかず小話を挟んでしまいましたが、本題のパフォーマンス評価の話はというと、あっという間に終わってしまいました。以下、試用期間の解除を話した内容の再現です。
氏:「さて、本題ですが、もうNさんがうちに来てくれて1年近くですね。チームのみんなからとても良いフィードバックを得ています。私が期待した通りの働きにとても感謝しています。特に、あなたのスーパーバイザーのスティーブもあなたのことを高く評価しています。」("Met my expactation"ということで、合格という意味)
私:「私もこちらでに仕事をとても楽しんでいます。スティーブのような経験があるシニアな人を私にアサインしてくれてありがとうございます。彼からがたくさん学ぶことがあり、毎日がとてもエキサイティングです。」(I am very much enjoying working here、と全てポジティブ回答が鉄則)
氏:「これからは、もっと積極的に会議で発言してほしいし、あなたの経験や分析をチームに共有して言ってください。困ってることや、あなたの更なる活躍の助けになるような私が何かできることはありますか?」
私:「そういえば、〇〇部との月例会議、私も参加してもよろしいでしょうか?あのチームとは△△プロジェクトが控えているので、情報取りに有益ですしコミュニケーションが円滑に進むことが期待できます」(困ってる事と聞かれて、さらけ出して文句や愚痴を言いたくなることもありますがネガティブ思考は禁物。提案や依頼も建設的に。)
氏:「もちろんです。私から〇〇部に言っておきます。その他、何かありますか?」
私:「いいえ、今日は時間を作っていただきありがとうございます。本当にあなたのチームに入ることができて良かったと思っています。」(ありがとう、そして上司持ち上げをこれでもかと連発する)
氏:「そういう言葉を聞けて我々も嬉しいです。」(ここで、我々という言葉を聞くと、会社としてあなたを本採用として認めます、とフォーマルな結び、そしてチームとしてあなたは仲間です、みたいな安心感が得られる)
そして、最後には今後もお互いによろしくの意で堅い握手をして終わりました。(彼とはハグの方が良かったんですが。)
こうして無事晴れて本採用になりました。別に待遇が変わったり給料が上がったりするわけではなく、これからも普通の生活が続くだけですが、安心感はあります。一応旦那にもテキストで報告しましたが、私がまだ試用期間だったことなんて忘れてた様子でした。
面会の終わり側に、サンタバーバラ氏がまた来週私と話したいことがあるからと、私の予定を聞いてきました。私の怪訝そうな顔を悟ったのか、「心配しないで。あなたの成長のために絶好なプロジェクトの機会があります。今色々確認しているので、まだ詳しくは話せないけど、とりあえず、予定だけ聞いておこうと思って」と説明してくれました。どんなプロジェクトが待っているのかわかりませんが、ここ最近、仕事で色々な可能性が開けてきたような気がしてます。
翌日は久々に快晴でしたので、出社前に晩秋のセントラルパークを散策してきました。昨年の今頃は、前の会社でなんとなく悶々とした気分でキャリアの不安を抱えていたのでセントラルパークの晩秋も陰鬱なものに感じましたが、今年は同じ景色を見ても、とても美しく感じます。今はこの会社に転職して良かったと思いました。
朝早い電車でマンハッタンに着いて散策
深まる秋のセントラルパーク。人生の区切りの思索には最適





