最近、ネットやSNSで、旦那やボーイフレンドに「I love you」と言われた時に「I love you」と返答しないとどうなるかというドッキリみたいな動画がバズってます。私が最初に見たのはアメリカ人女性が自分の旦那に仕掛けるパターンでしたが、日本人女性がアメリカ人の恋人に仕掛ける動画も見ました。どの動画もだいたいシナリオはこんな感じ。やらせっぽいのもあれば、リアルなのかな、というパターンもあります。

 

朝、出勤する旦那を、女性が送り出す光景。

 

男:「行ってきます!I love you!」

女:「行ってらっしゃい。」

男:「I love you, baby!」

女:「良い1日を」

男:「ありがとう。I love you, cutie!」

女:「うん、仕事頑張って。」(焦らして、I love youは返さない。)

男:「I love you, sweet heart, are you ok?」(だんだんヤケになってくる)

女:「ああ、はい。大丈夫よ。」(決してI love youでは返さない)

男:「I love you, pumpkin」(色々なパターンの甘い呼び名でI love youを引き出そうとする)

女:「いい1日を!」

男:「I love youって言ってるんだけど、どうしたの?」(やや怒り気味)

 

とこんな感じで、最後には種明かして、女性の方も「I love you、ダーリン」とか行ってハグしておのろける、というオチ。

 

一般的には「I love you」は本当に愛してる人だけにいう重みのある言葉ですが、人生の甘いも苦いも経験した中年ゲイから見たら、こんなことストレートの男に仕掛けて愛を試してもねぇ、と思います。いや、それどころかこう言う悪戯はやめたほうが、、とも。特にプライドが高い部類のアメリカ人の男には、、。私はヨーロッパ人の男はあまり知らないのでなんとも言えないのですが、結構な割合のアメリカ人の男はそれほどロマンチックではないと思っています。もちろん「愛してる」なんてあまり言わない日本男子よりはマシだと思いますが。

 

 

アメリカに長年住んで、いろんなカップル見てきたけれど、ゲイもストレートもアメリカ人の男にとって「I love you」と言う言葉は、相方が思ってるほど重くはないかも、と言うのが私の人生の教訓。特に、上のようなドッキリのネタとか、この言葉言われたら本物の愛、みたいな恋愛教科書的なコンテクストで登場する「I love you」はどうなんだろうと。奥さんや子供たちのことを心の底から愛する、素晴らしい旦那さんたちもいます。でもそういう男が必ずしも「I love you」を連発するわけではありません。なお、一般的には「I love you」は、相方や子供、親あたりにしか使わない言葉です。あとは、女学生が同級生に使ったり、おかまが同胞に使うくらい。だが、偉そうなこと言ってすみませんが、やはりアメリカで育ったストレート男が相方に対して使う時は額面通りとは思わないというのが本音。

 

むしろ「I love you」のやりとりはお互いが自分の承認要求を得るための深層心理的なゲームだという研究もあります。つまり「I love you」と言う言葉自体がトークン化(ご褒美的?な意味合い)してると言うことです。上の会話のパターンで、相方の女性が「I love you」を返してくれなくて、男が焦ったり怒ったりするのは、愛情が減ったのではとの不安よりも、自分の承認要求を満たされなくて苛立っているのかもしれません。「I love youって言ってあげてるんだよ?だから、君のそれで返してね。」と言うのが深層心理なのかもしれません。誰かに何かしてあげた時に「ありがとう」と言われなくてモヤモヤする気分と同じです。

 

また「I love you」を言い合うことが儀式化してるカップルもいると思います。実際、私の周りにも、1日30回くらいは「I love you」の言葉を与え合うと豪語してたカップルがいましたが、あっさりと離婚したりしてます。私がテキサスに住んでた時の昔の同僚は、朝会社に着くと奥さんに「I love you」の電話して、ランチの時にまた「I love you」とテキスト、帰る前にも「今から帰る、I love you」の電話の儀式。こんな姿を3年間くらい見続けてきましたが、同じビルに入居してるジムで知り合った女性と不倫してました。私はその場に居合わせなかったのですが、職場の女と不倫してると勘違いした奥さんが職場に怒鳴り込んできて大騒動に発展した件がありました。テキサスなので、拳銃なんか持ってこられたら大変、と言うことで警察まで出動する大騒ぎだったそうです。その後、その同僚は数週間後に会社からいなくなりました。少なくともこの男が「I love you」を何回言ったところで、それが奥さんに対しての独占愛情の証ではなかったようです。一度、私に「I love you」の文面が入ったテキスト誤爆したことがあって、彼曰く、「I love you」がテキストの最後に自動的に入るような署名的お決まりフレーズに設定にしていたまま忘れたとか。あ〜あやっぱりお前の「I love you」の言葉、そんな上っ面だったのか、と苦笑。

 

ところで、ここから下は「I love you」絡みの情事暴露系官能小説風になるので、そういうのが嫌な方はご遠慮ください。(本当はこの一件が書きたかったみたいな。)

 

このイラストの種明かしは後ほど。

 

出張でアムトラックの特急列車に乗った時のこと。ある郊外の駅でNYに戻る電車待ってたら、精悍な感じのイケオジがいて、その奥さんっぽい人が見送りに来てました。列車のドアが1箇所しか開閉しない小さな駅で、私は、このイケオジの後ろの並んでいたのですが、奥さんと思われる女性も近くにいてこの男に「I love you」と言って見送っていました。ホームのすぐ隣に止めてあった車には子供も乗ってたので家族と思われます。列車に乗り込むとき、旦那も奥さんと子供に「love you」と言ってました。微笑ましい、幸せを絵に描いたようなアメリカの家族の光景。

 

電車はいくつかの駅で客を乗せてNYに向かっていると、途中の駅で女性が乗ってきて、無言でそのイケオジの隣に座りました。他の席がたくさん空いてるのに!そうしたら、何を話しているのかまでは聞き取れないものの、ボソボソと会話が始まって、モソモソ音がする。情熱なキスを交わしてるではありませんか!別の席に移動しようと思ったのですが、私が動くことで、二人が変に反応するのも嫌だし、邪魔しちゃいけないかななどと余計な心配もして、結局私は寝たふりしました。キスなのか、それとももっと下の方??なのか、電車の走行音に紛れてしまうけれど、変なピチャピチャ音。途中、私がトイレ我慢できなくなって通路に立った時、横目で覗き見。おおよそ周囲にはお構いなしにふたりの世界。これ以上行為が発展したら公然猥褻で通報しようかなと思うくらい。

 

 

その後、静かになったと思ったら、今度は自宅のソファーのような感じで熱く抱擁しながら睡眠タイム。途中、車掌が通りかかったので気がついて何か注意するのかなと思ったのですが、座席の後ろから来たので、気がつかなかったらしいです。アムトラックの座席はでかいので、プライベート感があるんです。マンハッタンに近づくにつれ客が多くなってきても、同じような体勢でした。

 

ドアは車両の前の方にあったので途中の駅から乗ってくる客には、抱擁爆睡姿は丸見えだったと思います。私の位置からは、乗ってくるお客たちの表情が見えたのですが、皆、一瞬そのカップルの姿を見てすぐに目を逸らし、みんな見ちゃいけないものを見た、みたいな反応してました。ちょっと前に、新幹線での手繋ぎ爆睡姿を週刊誌に晒された元SPEEDの今井えりこ議員とその相手みたいなおバカなカップルにしか見えないんでしょうけど、イケオジと同じ駅から乗ってきて、彼が奥さんと思われる別の女性に「I love you」を言っていたのを目撃した私からしてみれば、これはただならぬ関係であることは明らかです。NY出張への不倫相手同伴なのか、はたまた、毎日こうして通勤不倫を繰り返しているのか。いずれにしても面白い光景を目撃してしまいました。趣味悪くてすみませんが、万が一何かトラブルに巻き込まれたりした時のための証拠写真として激写してしまいました。

 

 

この雄ホルモンに満ちたイケオジ、奥さんには優しそうに「I love you」と言って家を出てきて、その舌の根も乾かないうちに別の女性との情事。結局、あの「I love you」は義務の言葉なのかと思ってしまいました。こういうタイプの男は、いつでもどこでも、色々な女性に「I love you」を言えるのでしょうか。アメリカ男の「I love you」の重みはさまざまなので、恋愛教科書通りに、彼が「I love you」って言ってくれたからといって、相手を本当に唯一のパートナーとして愛してると言う保証ではないのだな、と思います。

 

と言うことで、なんだかどうでもいいブログになってしまいましたが、最後に。この光景を見ていて、「Sex and The City」でお馴染みサラ・ジェシカ・パーカーが、旦那との離婚と決心した郊外妻を演じたHBOドラマ「Divorce」を思い出しました。このドラマ、あまり日本では有名になりませんでしたが、シーズン3まで続きました。サラ・ジェシカ・パーカーは、何を演じてもサラ・ジェシカ・パーカー。よって、このドラマ「Divorce」はまるで、「Sex and The City」のキャリー・ブラッドショーが、Mr Bigと結ばれず、もっと普通のアメリカ人男性と結婚して子供が産まれてNY郊外に住んだら、こうなるのかな〜みたいな展開で面白かったです。ドラマの舞台となったが、まさに、私が電車内情事を目撃した沿線。現実もTVドラマと似たり寄ったりだな、と思います。

 

 

HBOドラマ「Divorce」。個人的にはサラ・ジェシカ・パーカーのハマり役と思います