転職で新しい仕事を始める前の休暇。溜まっているであろう仕事への不安や業務メールをチェックしなければというプレッシャーから解放されるご褒美的な期間です。そんな時期が2週間以上あるので、ずっと興味のあった南米のイグアスの滝、ペルーのマチュピチュか、アフリカのサファリにでも行きたいなと思ったのですが、そういった旅行先はかなり前から準備しないといけないようで、結局日本で休養することにしました。

 

せっかくなので、何か違うことをしたいと思いニューヨークから、ホノルル、グアムを経由して東京に至るという太平洋の広さを実感する旅にしてみました。しばらく会っていないホノルルの友人に会いたかったのと、グアムには一度も行ったことがなかったのでどんなところか見てみたかったし、ミクロネシアの島嶼間にどんな人の移動があるんだろうとずっと気になっていたのです。結局、ニューヨーク〜ホノルル〜グアム〜東京〜ニューヨークという航空券を購入しました。ホノルルから先、グアム近辺は旧コンチネンタル・ミクロネシア航空の路線を引き継いだユナイテッド航空の独断場。競争がないのでチケットもさぞ高いだろうと思ったら、単純にNYと東京を往復するより安いということがわかりました。

 

5日間かけて昨夜東京につきましたが、あまりこういう旅行をする人もいないと思うので、駆け足で、ユナイテッド航空での太平洋横断エアトラベルの様子を紹介してみたいと思います。

 

ハワイまではボーイング767ポラリス仕様。一時代前の座席の方が解放的でバカンス感があった。

 

NYホノルル便で出されたランチ。ハワイ風ポケ丼

 

ニューヨークを出発したのは先週。アメリカ本土からはホノルルまでは各航空会社ともフライトを飛ばしていますが、便数が一番多いのがユナイテッド航空です。東海岸からはホノルルは欧州に行くよりも遠いので、国際線仕様機を使っている路線が多いです。今回はボーイング767で出発。ジュネーブから到着した機体がそのままホノルル行き。プレミアムクラスはポラリス仕様ですべて個別シート、Dとは通路を挟んで離れ離れになってしまいました。前後で席を取った方がコミュニケーションは取りやすかったかもしれません。

 

離陸して1時間もしないうちに朝食が提供されましたが、ラウンジで結構食べてしまったのでスキップ。ホノルル到着1時間半前にランチ。照り焼きハンバーガーとハワイ風ポケ丼からのチョイスで、私は後者を選択しました。アメリカのエアラインの機内食は酷評されることが多いですが、多くのアメリカ人の味覚は単純なので、わかりやすいものが好まれるのだろうと思います。日系エアラインみたいに、ミシュラン星つきレストランとのコラボの特別料理とか、季節の素材使った月替わりメニューとか、日本人的には嬉しいんですが、あまり手の込んだメニューやマイナーすぎる食材を使うと、アメリカ人は警戒するのかなと思います。

 

ホノルルでは1泊して旧友と久々の再会。その翌日グアム入りしました。ホノルル〜グアム間はスタンバイが出るほど混雑しており、大型のB 777の運航でプレミアムもコーチも満席。太平洋線に最近まで残っていた2−4−2と横8列のシートが並ぶビジネスクラス仕様の機材はついに駆逐され、こちらもポラリス仕様になっていました。真ん中2列の奇数番号のシートはペアシートになるので、カップルで旅行する場合はこちらを選びましょう。機内食レポートですが、ホノルルを出てすぐに出されたランチは餅粉チキン(唐揚げ?)にココナツ炊き込みご飯のメインディッシュ。サイドディッシュはおむすびと、野菜天ぷら。それにチーズロールと、デザートのいちごパウンドケーキ。下の写真の通り、いわば炭水化物祭り。おむすびはガーリックが効いていてさらにスパイシーマヨのトッピング。B級グルメ感満載で思わず完食。隣に座るDは、またハンバーガーをチョイスしてました。7時間のフライトなのに、時差の関係でグアムに着くのが夜になるからか、到着前にはしっかりと夕食も出されました。ランチの炭水化物祭りで、胸焼けしていたので「アジア風サラダ」をチョイス。なんと出てきたのは、本土〜ホノルル便で「ハワイ風ポケ丼」として提供されてたものと全く同じだったのには笑っちゃいましたが、野菜たっぷりで助かりました。

 

ホノルル〜グアム間はB777機でした。カップルで乗る場合は奇数シートがお勧め

 

グアムまでは7時間の間食事が2回出ました。ランチは炭水化物オンリー

 

スパイシーマヨの上に乗ったふりかけおにぎりと野菜天ぷら、、。

 

アジア風サラダと言われ選んだら、前日と全く同じハワイ風ポケ丼。

 

本当はこの区間、「アイランド・ホッパー・フライト」といってミクロネシアの小さい島々に立ち寄っていく便を利用したかったのですが、毎日運行ではなくスケジュールが合わず残念。戦前には日本の委任統治領だったり、太平洋戦争中には、日米の激戦地となったエリアなので歴史的に日本とかかわりの深い地域。天気が良かったので空からでもこうした海域を眺められました。ニューヨークからホノルルは普通にアメリカ人の観光客が多かった客層も、ホノルル〜グアム間は生活路線といった様相で、アジア系やポリネシア、ミクロネシア系の顔をした人たちが大半でした。また出稼ぎフィリピン人やフィリピン系の方も多く、ホノルル便からマニラ行きの乗り継ぎ便に乗り換えるお客さんがかなり多かったです。なお、アメリカではこうした人たちを総称して「Asian/Pacific American or Asian/Pacific Islander /API」などと呼びます。本土ではかなりマイノリティの部類に入るAPIですが、このエリアではマジョリティーのようです。日本からの移民である私も、APIの部類に入ります。それと、この辺は中国を見据えた米軍の要衝でもあるので、アメリカの軍人がたくさんも乗ってました。ガタイのいい大柄な男ばかりで目の保養になりました。

 

グアムでは2泊して、ユナイテッド航空の昼便で成田へ移動しました。グアムでの滞在はまた別ブログにすることにして、面白いことに、成田〜グアム間はユナイテッドが1日5往復の飛行機を飛ばしていて、さらにこのGWから羽田からの深夜便が追加されたとのこと。それでも我々が乗った飛行機はガラガラだったので、どんなからくりで路線を維持しているんだろうと興味が湧きました。ご存知の方、いらしたら教えてください。

 

成田便は現在全てB737-800 に統一されているようでした。

 

グアムから離陸時の風景、もう少し滞在したかったです。

 

なお、ニューヨーク〜ホノルル〜グアム〜成田と、搭乗した全路線で機内サービスには大満足しました。ユナイテッド航空といえば、「フレンドリー・スカイ」というモットーでサービスを展開しています。クルーによりサービスの幅があるのが特徴で、いいクルーに当たると愉しい旅になります。ゲイのクルーも多いし、ゲイカップルである我々に親近感を持って接してくれることが多いので、Dと私は基本的にユナイテッド航空に好感を持っています。一方、たまに話しかけないでオーラを放つ怖いクルーもいますが、この度ではそういう方には遭遇しませんでした。

 

エコノミー割引チケットで乗っても何かと航空会社への期待度が高い純ジャパな客や、小さいお子さんのいるファミリー層は日系エアラインがいいんでしょうけど、旅慣れたビジネス客やゲイにとってユナイテッド航空のカジュアルなサービスは結構気楽です。決して最上級のサービスを提供するというわけではないのですが、より高いチケット買って金を積んだ客からいいサービスを受けられるという即物的なビジネス原理原則を貫いているところが気持ちいいです。

 

その昔、ユナイテッドのエコノミーで成田からJFKに飛んだ時、隣に座っていた日本人の爺さんが、フライトアテンダントさんに日本語の新聞を持ってこいと大声で要求した一件を思い出しました。「ないわよ。」と一言で返され、爺さんは「さっき見たぞ!」と言わんばかりにビジネスクラスの方を指差してましたが、またアテンダントさんが「あれはビジネスクラスのお客用なので、あなた用ではありません。(That`s not yours!)」と言い放ったのにはスカッとしました。その後もそのジジイ、日本人のアテンダントさんを捕まえて「JALだったらこんな事はしない」とか、ネチネチ文句言ってましたが、その日本人アテンダントさんも「申し訳ございませんが、これから皆様のお食事の準備に取り掛からなければならないので失礼します」と言って颯爽と去って行きました。その後、隣に座っていた私に「サービス悪いだろ、人種差別だろ?」と同意欲しさに愚痴ってきて被害者ズラしてましたが、このやりとりのどこに人種問題が絡むのか、、、。このジジイこそ迷惑客であり、今でいうカスハラの加害者ですね。所詮赤の他人なので「次回はJAL予約したらいかがですか?」と塩対応したら、「勝手に旅行会社が予約した」とかブツクサ言ってました。不愉快ですが、ユナイテッドの飛行機に乗るたびに、あの爺さんのことを思い出します。

 

と話は脱線しましたが、ユナイテッドに乗っていて面白いなと思うのは、休憩中のパイロットがキャビンに出てきてウロウロしたり、キャビンの一席が操縦士の休憩用に割り当てられたりもすることです。小型機では、パイロットが操縦席から出入りする時に、機内食のカートでギャレーを塞いで一般客が入って来れないようにしています。この光景は小型機でも長時間飛行のアメリカ国内線でよく見かけるのですが、ハイジャック防止なんでしょうか。なんとも牧歌的なプロセスだと思います。我々が乗った成田行きの便ではB737機の狭い操縦室に3人の操縦士が乗り込んでいました。全員身長2メートルくらいありそうな恰幅のいい男ばかりで、かわいかったです。トイレ休憩に出てきたパイロットが、キャビンに入ってきて、うちの旦那のことを見て自分の義理の弟かと思った、とか意味不明な挨拶かわしてきたり、、。またビジネスクラスを担当した客室クルーは、でかいポリネシア系のクマさんと、これまた大柄なおばさんのペア。狭い機内で圧迫感がありましたが、みんなフレンドリーで何度もドリンクのおかわり持ってきてくれました。

 

乗務員の皆さん、楽しそうにしてました。仲間に入れて〜って感じ。

 

成田便のランチは味噌サーモン。見た目は?だけど味は良かった。

 

最近は事前に機内食のチョイスを受け付けていて、数日前からアプリで予約できるようになっていました。写真とは全く違うものが出てきたり、サイドディッシュが微妙に違っていたりもしましたが、機内食のクオリティを酷評されていた数年前に比べたら頑張ってる感じはしました。


NY〜ハワイ〜グアム〜東京とプレミアムシートでは、絵柄の異なるトロピカルなデザインの可愛いハンドポーチが配られていました。おかげで写真のようにほぼ全部の絵柄を制覇しました。

 

 

太平洋を移動中はブログの更新をサボってしまいましたが、今は東京滞在中。静かだったホノルルとグアムと比べたら、GW中の東京はにぎやかですね。初めは、GWとバッティングしてしまって嫌だなと思いましたが、この雰囲気も捨てがたいものがあります。東京は喧騒を避けようとすればいくらでも選択肢がある街。あと数日、GWの旅行者に紛れて楽しみたいと思います。