2年前のちょうど今頃、旦那Dの会議出席に帯同して首都ワシントンを訪問し満開の桜を愛でて来ましたが、今年も運よく会議出張の週が満開の時期に重なりました。前回同様、旦那は週末滞在を延長し、私は金曜の午後に合流し、先週末いっぱい桜やマグノリアが咲き乱れるワシントンの街を満喫して来ました。

 

私がDC入りしてまず向かったのが、全米ナンバーワンと言っても過言ではないであろう桜の名所Titdal Basin(タイダルベイスン)です。1世紀前に当時の東京市長から贈呈された桜の木々が池を取り囲むように植えられています。今も、東京とワシントン、そして日米親善の証です。この春のシーズンの終了とともに、温暖化の影響で年々水位が上がる河口に近い南岸の岸壁補強のために桜100本程度が伐採されてしまうそうで、光景が変わってしまう前に見ておきたかったのでした。着いた時には既に夕暮れになり、あたりは暗くなっていましたが、ライトアップされていて綺麗な夜桜でした。日本だと、この時期の金曜の夜の桜の名所といえば、花見の酒盛りで大騒ぎが定番だけれど、こちらは人気もまばらで静かな雰囲気でした。花冷えというんでしょうか、真冬みたいな寒さでした。なお、伐採されるのは1世紀前に東京市長から贈呈された桜の木々ではなく、その後植えられた桜だそうです。既に根が冠水して弱っている木もあり、やや痛々しい気がしました。気候温暖化の影響がこんなところにも現れているのかなと思いました。

 

思った以上に寒くニット帽とダウンジャケット持ってきた旦那の後ろ姿

 

このあたりの桜が切られてしまうらしい

 

市内を走るバスには日米友好のラッピングも

 

さて、翌日は、旦那が長年寄付を続けている歴史的建造物の映画館「アバロン・シアター」に行って来ました。仕事の付き合いで寄付を始めたようですが、映画好きな私も出資を始めて今は家族会員になっています。今までに来たこともなかった、遠く離れた映画館のドナー会員になってなんの特典があるのか不思議に思われるかもしれませんが、実際に訪問してみて、こんな素敵なレトロな映画館の維持に微力ながら貢献できていることを嬉しく思いました。また、アメリカ各地に点在するこういった歴史ある映画館の数々は、大手のシネコンに対抗してアライアンスを組んでいます。私がよく行くマンハッタンの何軒かのミニシアターもこのアライアンスのメンバーで、会員特典を享受できるようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

この日は、映画の上映が始まる前の朝の時間に建物の中のツアーに参加させてもらいました。映画館の建物も、インテリアもまさに映画の中の世界と言った様相で、まるで博物館。こういった歴史的建造物を維持するために貢献できて嬉しいと感じました。また上映しているのは古き良き名画から、良質ドキュメンタリー、海外作品と、大型シネコンではあまり日の目の見ない作品が上映されており映画文化を自らの手で守っていこうという草の根的なパワーを身にしみて感じました。この日は役所広司主演「パーフェクトデイズ」の上映も予定されていました。上の写真、帰りがけに何気なく映画館内の掲示板を見たら、長年の寄付者であるDの名前も発見。今年から家族会員に変えたので、次のアップデートからは私の名前もここに掲載されるそうです。

 

 

アバロン・シアターを後にして次にワシントン大聖堂(Washington National Cathedral)に向かいました。ステンドグラスの窓、ゴシック様式の尖塔など重厚な作りでまるでヨーロッパの教会のように古く見えて実は意外に新しく、20世紀になってから建てられました。歴代大統領など要人の葬儀などが執り行われます。大聖堂自体は過去にも訪問したことがあったのですが、大聖堂の周りは公園風に整備されており、いつか訪問したいと思っていました。大聖堂の南に位置する石の壁に囲まれた中世風のビショップスガーデンには、ハーブやバラ、チューリップその他様々な花木が植えられています。さらにその南の小径は、ワシントンDCで唯一の原生林であるオルムステッドウッズを通り抜けます。またこの周辺は高台に位置しているので、大聖堂の南端からはワシントンの街を眺めることができます。この日は晴天に恵まれ、とても気持ちのいい午後でした。

 

国立大聖堂と満開の桜

 

大聖堂南の公園のマグノリア林。筋肉イケメンが半裸で太極拳やってた

 

 

 

ニューヨークもあと2週間程度で桜をはじめ様々な花の盛りを迎えますが、ワシントンD.C.の魅力はその密度でしょう。どこを歩いても、常に桜の木々が視界に入るというか、どの街区にも桜が植えてある印象。100年前の東京からの贈り物が、今もなお日米両国の親善の橋渡しをしていると思うととても嬉しく思います。また、桜が満開の時期の日本にしばらく帰っていないので、街角のあちこちで何気なく桜を見るととても郷愁を誘います。


こうして満開の桜に囲まれて過ごす時間が惜しく、日曜の朝も早起きしてホテルの周辺を散策しました。そして、ニューヨークに戻る電車の乗る前にもまたタイダルベイスンに戻り池の周りを1周し、ワシントンの春を名残り惜しみました。我々の場合、またニューヨークでの桜のピークを迎えられるのは幸いですが、この時期のワシントン訪問は私と旦那の春の恒例行事になりそうな予感がします。

 

朝の散歩。ホテルに近い住宅地の桜も見事

 

日本の春が連想され、感傷的な気分

 

花より男子的に、お約束でイケメン鑑賞。

 

ワシントンは、品が良さげな男が多い街という印象