ニューヨークでのキャリアチェンジの体験を現在進行形でお届けしてきた転職シリーズ、ついに完結編です。コメントをくださり応援いただきましたブログ仲間の皆様ありがとうございました。50前にして、転職を決断いたしました。

前回のブログで、オファーされた給与の上げ幅は思った程ではなかったけれど、その他福利厚生がとても良かったということを書きましたが、そういった条件面ではほぼクリアして、旦那の合意も得ました。色々悩みましたが決断の決め手は、転職先の雰囲気や人間関係が良さそうだったことです。やはりこの歳になっての転職は、新しい経験を積むことも大切ですが、職場の人たちがいい人達なのか、チームでうまくやっていけるかということがもっと重要なのかなと思いました。幸いにして、あちらの会社には何人かうちの会社から転職して行った人たちがいるので、色々相談に乗ってもらいましたが、例の超絶イケメン上司のベネディクト・サンタバーバラ氏は私の見立て通り面倒見のいいボスで彼を嫌う人はいないとか、みんな彼のチームに行きたがってるとか、いい話ばかりでした。チームの一人一人もごく普通の人たちで、サイコパスみたいな輩はいないとのこと。世界中どこでもそうだと思いますが、たまに職場の癌、地雷社員みたいなのが生息してたりするので、要注意なのです。競争が激しいニューヨークは特にそういう傾向がありそうな気がしています。もちろん、入ってみないと本当のところはわからないと思いますが、知り合いからの内部情報は心強いです。

 

 

超絶イケメン上司にお世話になることにしました

 

そうして、もう一つ転職の決め手は、キャリアディベロップメントの可能性です。今の職場にも愛着はありますが、これ以上同じ環境でキャリアアップしていきたいかと問われると即答できない自分がいました。なんとなく10年後も同じようなことしているイメージしかなかったのです。具体的には表現できないのですが、今の会社にはあまり期待されていないというか、生かさず殺さずみたいな扱い。それに組織が小さい分ポストも限られているので自分でも動こうとしない、という悪循環。よって新しいことに挑戦できず、今までの経験をアウトプットするだけ。若い人たちから追い付かれて、こちらが知識や経験を全て共有したら、給料の安い若い社員たちにとって変わられていづれはお払い箱になるのではという不安はいつもありました。一方転職先は組織が大きい分、上にも横にも動ける可能性があると思いました。サンタバーバラ氏との面接の時に、将来的にマネジメント職への興味や可能性を打診されとても新鮮に感じました。転職先がそういうポテンシャルを私の中に見出してくれていることは決断のファクターになりました。

 

結局、正式オファーをもらってすぐ自分の中では意思決定したのですが、返事は期限ギリギリまで引っ張りました。というのも、同時に今の会社をきれいに辞めるシナリオを考えなければらなかったのです。

 

アメリカではAt willと言って基本的に、社員側はいつ辞めてもいいし、会社側も社員をいつクビにしてもいいような習慣がありますが、大抵の会社では辞職するときはある程度の余裕を持って上司に知らせることになっています。私の会社は予告期間1ヶ月前に設定されています。職種や会社によっては、辞める意思を伝えたと同時に追い出される場合もあります。これは社員へのリベンジや意地悪ではなく、機密流出を防ぐという合理的な理由があります。商品開発をやってる部署の社員とか、上級管理職の社員がやめる時にはこういう扱いを受けることがあります。予告期間の1ヶ月分の給料払いますから、明日から来なくていいですよ、という感じ。もちろん未消化の有給なども払い戻されます。

 

私の部署はそれほど機密性の高い仕事をしているわけではないので、1ヶ月前に辞表出して、引き継ぎして、余裕があれば有給とって有給未消化分は最後の給与で精算していくという流れで辞めていく感じです。有休消化に入る時にパソコンは返却させられるかもしれないくらい。ここ数年でうちの部署から辞めて行った人の様子を見ると、いきなり辞表を出すのではなく、口頭で辞意を表明して、退社日を合意して正式な辞表を提出するというパターンがほとんどなので、私も今週の初めに上司に辞意を伝えました。

 

見慣れたこの景色ともあと少しでお別れ

 

普段おとなしい私が、「二人で話したいことがあるので、時間を割いていただけませんか?」とアプローチしたのであちらも雰囲気を読み取り覚悟していた感じでした。どこに転職するかなどはいう義務はないのですが、同じ業界内なので今後の関係も考えて転職先の会社名はこちらから出しました。そしたら、上司は、「やっぱりね」みたいな顔してましたが、向こうでどんな仕事するのとか、転職の期限は、とか一般的なやりとりになりました。上司はチーム内の仕事の割り振りを考えたいので、翌日もう一度話せるかと聞かれ、こちらも承諾しました。こちらは、1ヶ月後には転職したいという希望を伝えようと思いましたが、今までお世話になっていたのであくまで双方合意、円満退社を目指しました。上司の立場では「パソコンと社員証置いて出ていけ、」といって即日私を追い出すこともできたはずなので、穏やかな反応に感謝するしかありませんでした。

 

翌日、結局6週間後の退職ということで合意し正式な辞表をメールで提出しました。有給が80日分くらい溜まっていて、理論的には全部消化して数ヶ月海外放浪生活などもできるですが、現実問題それは夢物語で、転職先もそんな先までは待ってはくれないだろうと思います。落とし所はこんな感じかなと思います。社内規定で有給を買い取ってくれるのは60日分が最長なので、20日分くらいは捨てるか消化しなくてはいけない、ということで、この6週間は、初めの2週間で今の仕事を片付け、引き継ぎできるものは引き継ぎして、それが済んだら有休消化に入るというプランにしました。こんな時ではないとゆっくり休めないので、この間に日本に一時帰国でもできればいいなと思っています。

 

余談ですが、大昔に日本の会社を辞めて留学したとき、当時の会社から、有休消化は認めないとか、後任が決まって引き継ぎが終わるまでは辞めさせないと言われたことを思い出しました。実際に留学するために日本を出発する3日前まで働かされました。別に社費留学でもないのに、そんな義理はなかったんですが、当時は純粋で従順だった私、まんまと日本の会社の価値観に染まっていたんだなと思います。もう時効かもしれませんが、不当労働、賃金未払いで訴えてもいいかもしれません。こういう時にアメリカで働いていて良かったなと思います。アメリカの会社は後任の手配などは上司の責任であって辞める社員にその責を課すことはないです。ましてや未使用分の有給休暇は年俸制で働く社員の場合契約に定められた賃金同様なので、有休消化は権利で、未消化分の支払いは会社の義務です。日本ではいまだに有休消化も買取も認めない慣行があると聞きましたが、こちらでは、そんなことしたら契約不履行、労働契約違反、場合によっては詐欺で会社は訴えられるでしょう。

 

過去のことを色々思い出し、日本企業を辞めた時の恨みつらみへと話が脱線してしまいましたが、今回の転職話に時系列を戻しますと、円満退社の環境が整いそうだと確認したので、転職先にも正式な返信をしました。手続きは全て採用ポータル上で進みます。オファーレターや条件が示された個人アカウントにログインして、「Accept」(承諾)をクリックするだけです。スマホのアプリケーションでもできます。「Accept」したら、あちらの会社の人材情報に正式に社員として登録が始まる、、という流れで、早速ソーシャルセキュリティーナンバー(社会保障番号)とかパスポート番号を入力するリンクが次々に送られてきました。ああ、ついに転職するんだな〜と実感しています。6週間以降に開始というのも認めてくれました。

 

採用手続きは全てキャリアポータルやアプリ上で進行していきます

 

数時間後には上司となるサンタバーバラ氏からウェルカムメッセージのメールが来ました。本当はこちらからも連絡しようと思ってたのですが、先手を打たれました。以下、サンタバーバラ氏からのメール文面です。

 

Dear NW, 

I have heard you accepted the job offer. Congratulations on your new assignment, and welcome to our team again. I am very looking forward to working with you, and hope to see you in few weeks.  

 

日本語訳:NWさん、ジョブオファーを承諾していただいたと聞きました。転職おめでとう、そして我がチームへようこそ。あなたと一緒に仕事をすることを楽しみにしています。数週間のうちにお会いしましょう。

 

もちろん嬉しいことは嬉しいのですが、すごくアメリカ的というか、チームメンバーを常にモチベートして鼓舞し、チームのパフォーマンスを最大限に引き出そうとトレーニングされているリーダー、という感じで、妙に感心してしまいました。

 

こうして来月の下旬には新天地にて勤務を開始することになりました。とりあえず、この転職シリーズはここで終幕を迎えますが、これから6週間で仕事を片付け、新旧の同僚に挨拶したりと忙しくなりそうです。その過程で面白いことがあれば、ブログに書いておきたいと思います。また、もしかしたら日本に一時帰国してゆっくりするかもしれません。普通の休暇だと溜まったメールとか気にしがちですが、新しい会社に入るまではメールを気にしなくてもいいので、思い切り休めそうな気がしています。