つい2か月前には予想すらしていなかった転職活動の真っ只中にして、本業の仕事も忙しく精神的に余裕がない日が続いていますが、先週末はプレジデントデーの祝日で3連休。久しぶりにブロードウェイに出向き、豪華絢爛で超ゴージャスだと評判の舞台「ムーラン・ルージュ」を観てきました。

 

 

ニューヨークに何年も住んでるのに、ブロードウェイのショーは1年に1回行けばいいほうです。大抵来客があったときに同行するとか、知り合いがなんらかの形で携わっているショーを見るとかですが、今回は珍しく旦那Dが行きたいというので行きました。毎年1月から2月にかけてはニューヨークの観光がオフシーズンのため、チケット半額セールをしていることもあります。今回は数日前にディスカウントチケットをゲットしてたのでした。オーケストラシートで二人合わせて200ドル切りました。同じ席を春夏のシーズンに買ったらきっと一人で300ドルくらいすると思います。

 

さて、「ムーラン・ルージュ」は若かりし頃のユアン・マクレーガーとニコール・キッドマン共演で映画化されて有名ですが、知らない方のためにストーリーを少しだけ書いておくと、、、舞台は19世紀末のパリ。有名ナイトクラブ「 ムーラン・ルージュ」の看板スターであるサティーンと英国人(ブロードウェイ版はアメリカ人という設定)作曲家クリスチャンは、ムーラン・ルージュで出会い恋に落ちます。一方、存亡の危機に瀕するクラブの再建のためにオーナーのハロルド・ジドラーが奔走し、裕福な貴族デューク公爵を劇場のパトロンとして迎え入れると、デューク公爵がサティーンを愛人にしようとする、、というお話です。映画版は20年前の公開で、私は日米を行き来するときの機内エンタメの映画で観ましたが、ニコール・キッドマンも今ほど大御所感はなかったし、男優のユアン・マクレーガーがあまり好みのタイプではなかったので記憶に残っていないというのが正直なところ。しかし、ミュージカル版は豪華絢爛の前評判も高く女友達とゲイ友がこぞって良かったと言っていたので、いつか観たいと思ってました。結果、大満足でした。

 

妖艶なムーラン・ルージュの雰囲気を再現

 

まず会場全体、本物のムーラン・ルージュ劇場を模したような妖しげな雰囲気が施されていて、開演前から気分ノリノリでした。ショーが始まる30分前くらいから、露出度の高いキャストが舞台に上がって観客を見渡しています。まるで仮面舞踏会のよう。男性陣はほぼ半裸。女性客たちがキャーキャー言ってました。この時点から写真撮影も禁止になるので、このセクシー男性軍団の登場はショーの一部なのでしょう。ニューヨークタイムスで「女子会にピッタリ」と紹介されていたようにみな楽しそう。ゲイである我々もおこぼれ的に目の保養として楽しませてもらいました。なお、この舞台版ムーラン・ルージュは、ジュークボックス・ミュージカルと言って、その時々の流行りの楽曲などを劇の様式に合わせて使用するスタイルで、この公演でもレディー・ガガの楽曲なども使われています。有名な曲や知っている曲が登場するため、初めてのブロードウェイ観劇でも馴染みやすいでしょう。

 

旦那Dが今回ムーラン・ルージュ行きたいと言い出したのは、80年代のスーパースター、Boy George(ボーイ・ジョージ)が今月からクラブのオーナーのハロルド・ジドラー役で出演しているからなのでした。薬物乱用などで一時期停滞してこのまま表舞台から消えていくかに思われた彼の大復活を祝福するファンも多いようで、この日は若い観客に混じり年配の観客も多い印象でした。

 

ハロルド・ジドラー役のボーイ・ジョージの大復活も話題

 

さて、ブロードウェイのショーは主要キャストを演じる俳優がローテーションすることが多いのですが、ニューヨークに住んでいる利点はお目当ての俳優が出演する日を狙って鑑賞できることでしょう。以前「王様と私」に渡辺謙さんが出演している年に、日本から友達が来て謙さん目当てでチケット入手してたのですが、その週に限って謙さんは休暇中で代役が王様を演じてたなんてこともありました。配役は直前まで確定しないことがあるので、こういう不幸な出来事もあり得ます。よって、お気に入りの俳優目当てに行けるのは地元在住者の特権です。

 

今回の私のお楽しみは、デューク公を演じたオーストラリア人俳優David Harris(デイビット・ハリス)でした。数年前の舞台で見て以来大好きな俳優の一人です。旦那がムーラン・ルージュを観に行きたいと言ってきたときは正直あまり気が進まなかったのですが、彼が出演しているのを知って急に心変わりしたのでした。全く女の噂がないのに歳とともに容姿に磨きがかかるパターンで、まあ当然ゲイなんだろうな〜とずっと思ってたのですが、ついに何年か前にカミングアウトしたのでした。彼みたいなアングロサクソン系の正統派イケメン俳優は歳を取るにつれて役の幅が狭まっていくことが多いですが、見事イケオジ路線に脱皮して50近くにしても未だ現役感バリバリでした。長身に均整の取れたスタイルで相変わらずの舞台映えする俳優さんです。

 

 

 

David Harrisの30代の頃。この髪型、オージーっぽくて好き

 

インスタから借用の写真。やはり鍛えてますね〜

 

おまけにもう1枚。。イケオジ路線まっしぐら

 

ボーイ・ジョージ、デイビット・ハリスの活躍に霞まず主演を演じた二人の若い俳優さんたちもなかなか良くて、大満足の「ムーラン・ルージュ」でした。女子会おすすめNo. 1のミュージカルだけあり、本当に女性の観客が多い会場でしたが、マンハッタンの活気や人間の飾らない俗っぽさを改めて感じる意味で清々しい観劇体験でした。そして、劇場を出ると観劇を楽しんだ女性客らを待つ自転車タクシーの集団が大挙して通りを占領していて圧巻の光景でした。東京にも浅草などに人力車夫が主に女性のお客さんをターゲットに客引きをしている姿を見かけますが、まさにあんな感じ。普段はマンハッタンの自転車タクシーには胡散臭く感じる人が多いと思いますが、今宵はどのドライバーも客を拾って次々と出発して行っているではないですか!

 

楽しい余韻に浸ることができた

 

会場の前でずら〜っと並んで客引きする自転車タクシー

 

まるでナンパ師軍団のような自転車タクシー

 

旦那が冗談で自転車タクシーに値段聞いたら、「悪いけど男性は重いから載せられないんだよ。」と鼻であしらわれてました。自転車タクシーではそんな遠くには行けないだろうし、座り心地もそれほど良くはないはずなので、実利的な乗り物とは言えません。きっと乗って行った女性達はとりあえず「ムーラン・ルージュ」の世界の続きでディーバ気分を味わっているのだろうなどと、Dと話しながら家路につきました。

 

ということで、祝日プレジデントデーの週末は久々にブロードウェイ体験を楽しんできました。ブロードウェイ観光の際にはぜひ「ムーラン・ルージュ」を選んでみてはいかがでしょう。

 

 

終演後真夜中近くのタイムズスクエアを散策