今日はバレンタインデー。

 

日本みたいに、女性が男性にチョコレートをプレゼントする日というような変な習慣はこちらにはありませんが、レストランによっては通常メニューをやめて全て高いセットメニューにするなど、商業主義的なイベントであるのはアメリカも同じ。天気も悪いし、ウィークデーの真ん中なので外食でロマンチックに浸るような気分でもないということで、夕食は近所のスーパーのお惣菜を買ってきて済ませる予定。

 

それでも夜は仕事などしないで、ソファーでゆっくり映画でもというのが今夜のプランです。選んだ映画は、もう2年半近く前にニューヨークのLGBTQ映画祭「NewFest」で観て泣いた「Firebird・ファイアバード」。あの時見てもう一度見たいねと言っていたのですが、ストリーミングサービスでなかなか見つからなかったのでした。でもアマゾンプライムで見つけて早速購入。

 

映画祭で観た時の私の直感は大当して、映画はジワジワと世界中で公開されてなんと先週からは日本でも公開が始まったそうです。嬉しくてここで再紹介したいと思います。新宿武蔵野とか、閉館してしまったけれど岩波ホールみたいな外国のマイナー映画をよく上映するシアターで単館上映と思いきや堂々の全国ロードショーです。もしかして、私、海外映画のバイヤーになれるかも!と自画自賛気味です。

 

 

日本向けのポスターは意外に攻めてるなと思います

 

ストーリーをおさらいすると、「1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が同じ基地に配属されてくる。二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエト連邦では同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。」という話。(Youtube日本版解説より抜粋)

 

 

 

一回目に見た時には映画そのものと、俳優二人の演技と容姿(特に筋肉)に注目するあまり、リサーチしていなかったこの映画企画自体の誕生秘話も実はドラマチック。無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴った回想録「ロマンについての物語」を読んだペーテル・レバネ監督がこの回想録に感銘を受け、セルゲイを演じることになる俳優トム・プライヤーと共に、セルゲイ本人にインタビューを重ねて実の4年の年月をかけて映画化に漕ぎ着けるという壮大な背景がありました。その最中にはセルゲイ本人が亡くなってしまうという悲しい出来事もありましたが、それは作品をさらに濃密なものにする原動力ともなったのでした。

 

 

主演俳優トム・プライヤーとペーテル・レバネ監督

 

 

ネタバレをしないのが私の映画紹介のポリシーですが、1点だけお伝えしたいことが。この映画はぜひエンドロールの最後まで見てください。最後の最後に非常に重要な意味を持つシーンがあります。映画祭の時には、これを知らずに退出したファンが多かったのですがみなさん惜しいことをしたと思います。なお、まさに今週、ぺテール監督らは日本訪問中で主要映画館で舞台挨拶をするようです。日本にいらっしゃる方が羨ましいです。下のリンクに、訪日を控えた監督と俳優らの日本語字幕付きメッセージがあります。ご覧になってみてください。そして興味を持った方は映画館へぜひ。後悔はしないと思います。

 

 

映画とは関係ない、近くのスーパーのバレンタインデーコーナー。

 

それではみなさん、ハッピー・バレンタインデー!