ニューヨークを襲った集中豪雨から数日後、旦那Dが出張で留守の最中にDのお兄さんがNYに出張でやってきて半日一緒に過ごすことになりました。義兄には家族旅行に呼んでもらったりと、義理の家族としては交流はある方だと思うのですが、一対一で会うのは人生初です。義兄とサシで会話したことなんて、3人で食事に行ってDがトイレに行ってる時の最高5分くらいだと思います。乗り気ではなかったのですが、前々から知らされていたし、他に用事もなく言い訳もできないので、義理の家族へのおもてなしということで、義兄と二人で会うことになりました。義兄に会ったのは、メリーランドでの海軍学校見学の時以来です。

 

兄弟だからやはり面影がある。バックパックは娘か奥さんのお下がり?

 

空港近くの駅まで迎えに行って久々の対面。彼はゲイではないので、久しぶりの面会でもハグとかする感じでもなく、ストレート男性風の固い握手。でも、兄弟だけあって、顔は好みの系統ではあるし、ミリタリーにいたのでDよりも筋肉質で、その上に脂肪が乗った体型で密かな妄想を掻き立てます。いつもDと歩いてる時みたいに、後ろから肩揉みもみかハグしたくなる感じでしたが、そういう欲望は抑えて、電車での移動中は、義理の家族らしくお子さんたちの近況とか今の仕事の話とか色々聞かせてもらいました。

 

でも途中、やはり会話が途切れ途切れになり、やはり持たないな〜と思いつつも何とかくだらない話で持たせて、彼が予約してたホテルに着きました。チェックインしてもらって、ほっと一息ついてロビーで待てましたが、すぐに降りて来ました。もっとゆっくり荷解きしてくれてもよかったんですけど。昼にしては遅いし、ディナーにしては早い時間でしたが、義兄の州とは時差があり、彼にとってはちょうど昼時。何が食べたい、という話になり、「寿司でも、チャイニーズでも、Nが好きなものでいいよ、と」いうので寿司にしました。なんでその2択なのか不思議ですが、Dの実家に行くと、いつも超アメリカンな食事ばかりで飽きてしまうので、Dと私がたまに隠れてアジアンレストランに行っていることを知っているようでした。気を遣ってくれているようで嬉しいです。義兄はあまり生モノは食べないはずだったのですが、娘たちの影響で寿司の良さに目覚めたような話をしてました。都会に憧れのある娘たちに、「パパって超クール!」といいところを見せつけるために、マンハッタンで寿司バーに行ったことを自慢したかったのかもしれません。私の目には、しっかり者の奥さんと明るく無邪気な娘たちの女系家族で飼い慣らされた穏やかな南部のアメリカ人男。奥さんが持たせたと思われる小分けパック入りのにんじん🥕とか、バックパック等持ってる物も彼女達のお下がりだったりして、何だか可愛い。ニューヨークにいるとあまり気がつきませんが、義兄に会うといつも古き良きアメリカ人一般家庭ってこんな感じなんだろうなと思います。

 

さて食事のチョイスの話に戻ります。ここで、ハンバーガーとか、ピザとか行きたいと言われたらどうしようと思ったのですが、寿司だったら、行きたい寿司レストランもいくつかあったので、義兄も娘たちと話すネタになるし、私自身も楽しめると思いました。出張で来てるので彼の分は出張旅費のランチ代の範囲に収まりそうで質の良いお店に行こうと思い、向かったのは、SOHOにあるSugarFish by Nozawa。高級おまかせコースで有名なノザワのカジュアルバージョンです。最近マンハッタン内でチェーン展開していて、私もずっと行ってみたいと思っていたのです。

 

 

おまかせ以外にも季節のおすすめもある

 

ランチのラストオーダーギリギリでカウンターだったらいいですよと言われ、カウンターに通されました。正直、義兄と面と向かってテーブル席に座るよりもカウンターの方が気楽なので、ちょうど良かったです。ノザワの本店にはかなり以前に1度行ったことがあります。どなたかに連れて行ってもらったので、自分でしみじみ味わう感じではなかったのですが、それでも、おまかせメニューが登場しはじめた当時のマンハッタンの最先端寿司シーンを象徴した感じでした。その日はボディコン(懐かしい響き!)姿のゴージャスなお姉さんたちがリムジンで乗りつけてきてて賑やかだった記憶があります。日本人シェフのお店だから少しはホーム感を味わえるのかなと思ったら完全なアウェイの洗礼でした。お会計もきっと結構な額したと思います。このSugarFish by Nozawaはそのノザワの雰囲気やクオリティーをよりカジュアルに、というコンセプトです。ニューヨークには他にも老舗寿司レストランはありますが、こうして多店舗展開して成功していることが示す通り、ノザワさんの感性がニューヨークにマッチしているのだなと思います。

 

 

ランチのおまかせは、寿司ネタの数により4コースありましたが、我々は「トラスト・ミー」という定番コースをオーダーしました。枝豆から始まって、寿司、刺身の全8コースで37ドル。ランチとしてはこの量と質を考えれば、かなりお得だと思いました。コースの最後に出てくる手巻きロールの海苔が超パリパリでした。もうちょっとだけ食べたい気がしたので、同じ海苔巻きを追加オーダーしました。追加オーダーで8ドル。やや割高感。その上のおまかせ「ザ・ノザワ・トラスト・ミー」は全11コースで48ドルなので、コストパフォーマンスを考えたら初めからにそちらにしておけば良かったと後でやや後悔。なお、どちらもデザートは含まれてはいないのですが、この近辺には美味しいケーキ屋を出すカフェやスィーツ店がたくさんあるので、デザートがコースに含まれていない方がかえって便利だと思いました。

 

握りはマンハッタン平均より大きめ。ネタも新鮮

 

この海苔巻き最高でした。奥は義兄。Dよりも毛深い。

 

さて、義兄とはコースの最初の頃こそ色々寿司のネタで話しましたが、メニュー後半からはほぼ会話がなくなり、義兄は早速娘たちに寿司の写真を送りはじめました。返信はなかったようですが、笑。Dとの幼少期の兄弟愛の話や、自分の弟がゲイだと分かった時の話をしてくれて、「Nよ、俺の弟をよろしくな〜」とかいう感動的な展開になれば、ブログネタ的には面白いんですが、全くそんな感じにはなりませんでした。私の仕事の話や近況は電車の中で話してしまったし、特に私のことや日本の家族についても興味なさそうださし、唯一日本の話をしたのは、地元のプロ野球の試合に行ったら対戦相手のピッチャーが日本人選手だった、というエピソードだけでした。その後、どういうわけかフットボールの話になり、相槌だけ打ってたら義兄は一人で話してました。見事に典型的なアメリカ人のストレートの男です。でもアメリカ人のストレートの男とこんなに長い時間過ごしたのは久々なので新鮮でした。逆にいうと、義兄こそ普通で、私の方がゲイのマイノリティー。ここ数年は、女友達かゲイの友人たちとばかり付き合ってきているので、ストレートの男との会話の技術が劣っていることを実感した午後でした。

 

後でDに電話で、あまり義兄とは盛り上がらなかったよと話したら、「兄貴はシャイなんだよ。でもNと一緒にマンハッタンのCozyな寿司屋に行ったって、FBで投稿してたよ」と言ってました。そう聞くとやはり喜んでくれたようで、わざわざ空港まで迎えに行って一緒に寿司デートした甲斐はあったかなと思いました。

 

ということで、SugarFish by Nozawaは使い勝手のいい寿司レストランだと実感。味もネタの質も良かったし、ランチは値段が手頃。ぜひお勧めです。開放的な雰囲気なので、色々なシーンで使い勝手のいい入りやすいお店だと思います。カウンターには女性一人客もいました。