ニューヨークも暑い日が続いていますが、お盆前後の休みを利用して日本から訪問してくれた従姉妹夫婦によれば、まるで避暑地のようだということです。こちらでは、朝からいきなり30度越えはないし、そろそろ秋の足音も聞こえます。

 

その従姉妹は20年近く前に元マンハッタン在住。ニューヨーカーとしては大先輩に当たるのですが、日本がバブル経済から転落していく過渡期にマンハッタンに住んでいた貴重な経験を持っています。これまでにも何度か旅行で訪問していましたが、今回はコロナを挟んで5年ぶり。

 

彼女が驚いたのは、やはり物価の高さのようです。それと、日本食のメインストリーム化のさらなる進化。こちらは日本人としては嬉しい気もするのですが、そんなマンハッタンの日本食が、我々日本人にとっては高嶺(高値!)の花になりつつあることも事実です。

 

前置きが長くなりましたが、従姉妹のリクエストで滞在中にいくつかお勧めなお手軽ジャパニーズ・レストランを紹介しました。今日は、そのうちウエストビレッジの2軒を紹介します。

 

まずは、カジュアルな寿司屋から。ウエストビレッジでも一番開放的な雰囲気のCarmine Stにある「Nami Nori」です。寿司といえば王道の握りや、カリフォルニアロールに代表される巻寿司に続くニューウェーブとして最近流行っているのが手巻き寿司です。ハンドロールと呼ばれます。最近マンハッタンでは至る所で見かけるようになりましたが、こちらは日本人も参画していて、お店が非常に清潔で安心感があります。

 

 

 

客層は学生風の若者、近所のおかまなど。

 

これで約1万円。日本からの旅行者には目が飛び出る額

 

開店当初は予約が取れない状態が続いていましたが、寿司が苦手な旦那Dがいない時の一人遊びの日に初挑戦しました。チェルシー界隈歩いてランチ難民になりかけた時の遅いランチで野外席が空いていたので、迷わず入りました。メニューが多様で目移りしますが、とりあえず、日本人であれば、オーソドックスなマグロ(ネギトロ)、サーモン、イクラなどを選ぶのが無難かと思います。5-6ロールくらいが適量だと思いました。1ロール10-12ドル程度しますので、つまみで枝豆、そしてビール一杯加えて最低60−70ドル。税金、チップ含めると70−80ドルになります。日本円換算ですと1万円程度ですね。ランチに行った従姉妹はその値段設定に驚いてましたが、いかにもNYCにいるという感じがとても良かったと言ってくれました。ただ周りの若い子たちが全く値段を気にせず、次々にオーダーしているのを見て、日本円の弱さを憂い、日本の国力って落ちたのねと身を持って体感したそうです。

 

そして、ラーメン屋。ウエストビレッジでのお勧めは「ラーメン暖暮」です。従姉妹夫婦にはせっかくニューヨークにいるのに、ラーメン食べるの〜?と余計なお節介をしてしまいましたが、アメリカを訪問した芸能人がSNSでよくやる「ラーメン一杯5千円したよ〜」アピールの真偽を実証してみたかったそうです。それでも、マンハッタンに着いてから食費だけで二人合わせて一日3−4万円かかっているという二人のリクエストで、お得だけど、ちゃんとしているラーメン屋さんということで、真っ先に思い浮かんだのがこちらです。本家は福岡、もちろんとんこつラーメン。日本にいるときは知らなかったのですが、全国展開しており、アジアやアメリカにも店舗を広げているようです。

 

 

 

おかま御用達のヨガ教室があって、ゲイ密度高い界隈

 

一番安いメニューで12ドルから。NYCでは良心的価格設定

 

日系なのに、中国語と英語対応。これが寂しい現実

 

この近くの映画館によく通っているので、私は何度も利用させてもらってますが、味は正統派のとんこつラーメンだと思います。ただ、アメリカ一般的ですがここもラーメンのスープがぬるいので、熱々のラーメンを期待するとがっかりするかも。それでも、麺の硬さや種類、トッッピングなど日本のラーメン屋さんの雰囲気を味わいたい方にはお勧めです。マンハッタンでは貴重な一人席も豊富にあり、一人でふらっとという日本的ライフスタイルにはちょうどいいです。

 

なお、注文は全てスマホからオンラインです。店員さんは席への案内と、食べ物を持ってくるときだけ登場します。QRコードを読み込むと、上の写真のようなメニューサイトが出てきて、そこで全て注文し、支払いもできます。それでもチップ記入はデフォルトで税込額の20%になってますが(笑)。スマホがない人にはクレジットカードでのマニュアル対応やっているようですが、現金は扱いたくない感じでした。

 

以前はマンハッタンのラーメン屋といえば、「キャッシュ・オンリー」が多かったのですが、コロナでビジネスモデルがタッチレスに一気に変わりました。まだ現金での旅行に慣れている日本人には利便性が損なわれるかもしれませんが、NYへの旅行の際には、スマホ内で注文から支払いまで済ませられるように、日本のスマホを海外でも使えるようにしておいた方が選択肢が断然広がります。

 

それと、これは日本人として、残念な現実ですが、最近英語とスペイン語以外に中国語対応というレストランが増えてきました。上の写真見てもわかるように、日本から来たラーメン屋ですら日本語メニューがなく中国語という現実です。まあ、金をより多く落としてくれる客の利便性が優先されるのが資本主義。日本人としては寂しい限りです。


今回の滞在中従姉妹夫妻がマンハッタンのレストランで見かけた日本語表示は、ミッドタウンのステーキハウスでの「会計にチップは含まれておりません(なので、ちゃんとチップ払ってね、)」と「メイン料理のシェアはご遠慮ください」だったそうです(笑)。特に2点目、1人1品メイン料理頼んでくださいっていう点、海外に慣れた方でも、特に今のマンハッタンでは大切です。母娘旅などの女子旅2〜3人組や若いカップルが海外でよくやる、アルコール頼まない、さらにメイン料理を一品だけ頼んで2人で共有する、という行動パターンは高額賃料と高騰する人件費に悩むマンハッタンのレストランでは相当嫌われます。日本とは違って、お客さんは神様ではないので、ロクに注文しなければ、金払いが悪い客と見なされ、それ相応の扱いを受けます。どうしてもそのお店の味を試したいなら、Uber eatsや持ち帰りは高級店でも対応してます。レストランの雰囲気を楽しみたいのなら、やはり一席占領するに見合う分オーダーしましょう。以前は量が多すぎて食の細い人には食べきれない、という問題もありましたが、最近のニューヨークではメニューも多様化してるし、一皿の分量もわりと適正化してます。

 

世知辛い話になってしまいましたが、本題に戻り、ここで紹介したお店は比較的手頃にカジュアルなマンハッタンのいまを味わえます。2軒ともニューヨーク内でいくつかチェーン展開を始めたようですので、ウエストビレッジに出向かなくとも、お住まいや滞在中の近所に店舗があるかもしれません。