「運命の男を求めて」の続編です。婚活ブログみたいなタイトルにしてみました。ゲイでも状況は同じなので、このカテゴリーで書いてみようと思います。

 

ニューヨークで親しくしているゲイ友の一人、中国人Zhao。40半ば、数年前に年下の白人夫と離婚したバツイチ。誰もが知る超大手企業勤務。身長180cm、性格は温和で、見た目は香港映画の俳優レオン・ライ、福原愛の台湾人元夫の系統の中華系の正統派なハンサム。去年運命の出会いをしたはずの年下のユダヤ人(Jewish)ボーイフレンドのジェイコブと最近別れて、再び婚活マーケットに舞い戻りました。前回は、どうしてジェイコブと別れたのかを書きましたが、今回はその続きで、Zhaoにどうしてなかなか結婚相手が見つからないのか、について考察してみます。(←論文調!)

 

 

どうして結婚相手が見つからない?

 

ニューヨークには、老若男女、ゲイもストレートも、「運命の人」を追い求めている人はたくさんいます。保守的なアメリカの田舎ならまだしも、ゲイがたくさん住んでいるニューヨークは出会いが多いはずなのですが、出会いに恵まれないシングル・ゲイがわんさかいます。中には、本当に心底シングルライフを満喫している人たちもいますが、少なくとも私の周りには、結婚したいけれど、いい相手が見つからないと嘆くゲイが結構います。ちなみに、そういうストレート女性も多いです。

 

どうして結婚相手が見つからないか、結論から言うと、自分を棚に上げて、相手に色々求め過ぎで理想が高すぎるからです。ちなみに、シングルのノンケ男性も大勢いるんでしょうけど、結婚を急がないのか、可視化されてない印象。「結婚したいけど、誰かいないかな〜」と公言する男性にはあまり会いません。

 

このドラマ面白かったですが、NYのシングル事情はもっと厳しい

 

自らも参戦し、そして20年近くにわたって国際婚活市場を観察してきた私の結論では、ある二人が出会って結婚に至りさらには結婚生活を長く維持するには、人種や体型など含めたルックスの好み、性格の相性、経済的背景、文化的許容性の4つの項目で、二人の間で一致していなければなりません。このうち何かが欠けると、お付き合いに至っても、結婚までに破綻することもあるし、たとえ、違和感に目をつぶって結婚したとしても、いつか破綻が訪れます。破綻とは、離婚だけではなく、浮気や不倫、家庭内離婚、もしくはDV、モラハラ、メンタル不安定、なども含みます。しかし、百点満点の相手を探そうとすると、永遠に結婚相手は見つかりません。ようはバランスや譲歩が大切です。

 

Zhaoの最初の結婚では、年下旦那の俺様気質や、性格の不一致を感じていながら、見た目重視で結婚したようですが、結局うまくいきませんでした。旦那からZhaoへのモラハラという形で綻びが出て、離婚に至りました。(その後も体の関係だけはあったと後で聞いて笑っちゃいましたが)

 

やっと立ち直り、ジェイコブに出会ったわけなんですが、音楽関係のキャリアためにシカゴに移りたいジェイコブに対して、Zhaoはマンハッタンを離れることを考えられないことが直接の別れの原因でした。でも、私的には、もったいないな、と思ってしまいます。何でそんなにハードル高くしちゃうんだろ〜と。

 

Zhaoの中で譲れないものはまずルックスです。比較的筋肉質な白人が好きで自分よりも若ければなおいい。でも若い白人ゲイで年上のアジア人に興味がある人は稀なので、まず恋愛対象を探すだけでも一苦労です。数で言うと、Zhaoがリーチアウトしうる婚活マーケットにいるゲイ男性が100人いるとしたら、年上のアジア人を結婚の対象に考える若い白人はせいぜい10人くらいかそれ以下だと思います。初めから相当厳しいです。その上で性格の相性もいい白人はさらに少なくなります。彼はよく「普通の男と結婚するだけなのに、どうしてできないんだろう」と言っていますが、彼が求めているのは、統計的には普通の男でなく、婚活マーケットの中の希少種です。好んで一回り年上のアジア人と付き合ったジェイコブはそんな貴重な希少種なのです。

 

Zhao自身は経済的にも安定してるし、ルックスもいいので、なんとかその希少種であるジェイコブと出会って、恋人同士になりましたが現時点での人生の優先度合いが違って別れてしまいました。しかし、よく考えると、自分より若い人に自分と同等かそれ以上に経済的に安定している男を求めること自体理想が高すぎると思います。ジェイコブはZhaoに金銭的な援助を求めているわけでもなかったようですし、しっかりしたキャリア目標があってシカゴに移ろうとしているので、長い目で見たら、投資しがいのある男とも思えます。最初は遠距離で続けてみて、どう乗り切っていけるか二人で考えながら関係を続けるという選択肢もあっただろうにと思います。好みのルックスで、人柄も良く、まともな考え方のゲイとすぐに会えるとは限りません。

 

上から目線なのはわかってるんですが、Zhaoには「ジェイコブを運命の人だと思ったなら、彼についてシカゴでもどこにでも行きたいと思うはずだよ、」と言ってみました。私も10年以上前に旦那Dと出会い、当時はテキサスと東海岸で遠距離恋愛してましたが、Dと今後もずっと一緒にいる予感めいたもの(いわゆる、「運命の人」認定)があったので、東海岸で転職活動して足掛け3年掛けてニューヨークで仕事を見つけて転職し近くに住み、結婚に至りました。Dもペンシルバニアから移って来てくれました。Zhaoは家も賃貸だし、学齢期の子供がいるわけでもないし、グリーンカードも持っている上に転職しやすい仕事なので、ジェイコブを追ってシカゴに動くには条件揃いなのですが。若く見えるZhaoもあと数年すると、50歳。容姿も衰えてくるだろうし、ジョブマーケットでの価値も今のまま維持できる保証はありません。

 

 

昨年Zhaoの家でのホームパーティ。婚活宣言してた。

 

ワンコを介したジョンとの出会いも不発に終わった

 

さらに、Zhaoが結婚できないもう一つの理由に、果たして、彼自身が本当に結婚を必要としているのか、結婚向きの人間なのか、という根本的なこともあります。彼は思いやりがあって温厚な人間なのですが、同時に他人と壁を作りがちな気質です。一人時間が大好きで、ワンコ最優先的なところがあります。セントラルパークでワンコを通して出会った同年代のジョンといい仲になりそうだった時も、ワンコ同士の相性が悪そうだと心配していました。もしかしたらZhaoは結婚向きな人間ではなく、そもそも結婚しない方が幸せな人間なのかもしれません。これは、結婚したいけれど結婚相手が見つからない、と嘆く人に結構当てはまります。

 

結婚していることが善で、シングルでいることが悪という善悪や優劣の問題ではなく、価値観の問題なんですけど、そもそも他人と生活できない人が自分でそうとは気づかず結婚相手探しに駆けずり回り、自分も相手も消耗していく、というのはよくある光景だと思います。Zhaoは一人で生活して長くてなんでも一人でできてしまうのと、マンハッタン暮らしに恋していて、彼の日常にはワンコを中心にした色々なルールがあるので、他人がその生活に入り込む隙はあるのか?と心配してしまいます。

 

中年の婚活市場で「ありのままの人の自分を受け入れてくれる人はきっといます」といった口あたりの良い幻想に惑わされて、なんの譲歩もなしに100%自分の要求を相手に求めるとロクなことになりません。そばにいて欲しいと思った時だけ一緒に居てくれ、ひとりになりたい時は、ひとりにさせてくれる都合の良い相手を探しているニューヨーカーは多いですが、人生、そうは問屋はおろしません。

 

と、偉そうなことを言っていますが、ぶっちゃけてこういうフィードバックをZhaoにしてしまいました。予想通り、偉そうにと言われましたけど。😆それでも、こんな本音トークを展開していったら、彼もついに、自分の許容範囲の狭さに対して気づきがあったようです。周りがガミガミ言っても、なかなか聞き入れないものですが、自分で気がついたということは大きな進歩だと思います。アメリカでは、こういった人生の優先順位の折り合いを見つけるのに、セラピストを雇うことも多いので、Zhaoにはカウンセリング代金として1時間500ドルくらい払ってもらいたい気分ですが、この日は四川料理のディナー奢ってくれたので、それでよしとしましょう。

 

それで、だったらどうしたらいいんだよ、という話になりまして、これまたちょっと長くなりそうなので、Zhaoが結婚相手探し問題にケリをつけるには何をすればいいのか?はまた次回。鼻についたら申し訳ありません。あくまでも、私とZhaoの友人間の会話をブログ化しているだけなので、お付き合いいただける方は続編をお楽しみに。