今週は旦那が実家に帰省中。そんな時の私の楽しみは、一人寿司屋めぐりです。寿司は今もマンハッタンの日本食ブームの中心、老舗から新しいお店までしのぎを削っていますが、2018年にオープンして、ずっと行ってみたいと思っていた「Sushi Ryusei 」さんにお邪魔して来ました。

 

 

ミッドタウンの裏通り、隠れ家的な佇まい

 

グランドセントラル駅から徒歩5分程度、ミッドタウンイースト2番街と3番街の間の比較的往来の少ない場所にありました。平日の仕事帰りに行きましたが、ほぼ満席のよう。ハッピーアワーで一見さんが入ってくるような立地のお店ではないので、きっとすでに評判が確立されてリピーターの付いている店と直感しました。ちなみにニューヨーカーがこういう路地裏のレストランやバーを指すのに、よくHidden Gemという言葉を使いますが、まさに隠れ家的雰囲気です。

 

そんなことを考えながら気分上がりまくりで入店。この日はおまかせメニューと決めていたので、シェフの目の前、奥のおまかせ専用カウンターに通されます。オーナーシェフの大山さんは、マンハッタンの有名寿司店でもご経験のあるNYC日本食業界では有名人です。アメリカでは、日本の寿司イコール築地(ツキジ)直送というブランディングをしているところがいまだ多いですが、こちらはいち早く「豊洲」を使ったブランドを展開しています。まさに先駆者。このYouTubeビデオ、大山さんの人となりや、今のニューヨークの寿司シーンの一端が見えて面白いです。

 

 

本題に戻り、こちらのおまかせメニューには量とネタに応じて5コースありますが、私は迷わず刺身5種、旬の寿司12カンの$180ドルの最上級にコースにしました。このコースには前菜小鉢、サイドディッシュ、手巻き一本、さらにデザートが着きました。この量のおまかせですとマンハッタンの相場は最低$300ドル、よってそれが$180ドルですからかなりお得だと思います。そして、質はというと、さすがベテランシェフの目利きで豊洲直送の名にふさわしい新鮮さでした。高い店に行ってもたいしたことないネタ出して、炙りとか、ピリ辛ポン酢あえとかでネタの新鮮がわからない小手先創作寿司に騙されがちなNYCの寿司シーンですが、久々の王道江戸前に出会った気分です。

 

刺身5種盛りというと5切が相場ですが、ここはこの量!

 

刺身盛りが出て来たところで、自分の中で「リピーター確定!」サインが点灯しました。刺身5種盛りとメニューには書いてあったので、てっきり5切の刺身が小さい小皿で出てくるものとばかり思っていたら、それぞれのネタ2−3切れが大きなお皿に乗っていて期待以上の満足感。


有名シェフの目の前で写真ばかり撮るのも「体験」が勿体無いので、料理の撮影は最低限にしましたが、その後も目にも舌にも満足する握りの数々。サイドディッシュはなんと鮎の塩焼きや松茸の土瓶蒸し。ビールもキンキンに冷えているし、魚の風味を凌駕しない絶妙な酒のチョイスも豊富。日本人で良かった、と思える久々の体験をしました。

 

 

 

個人的に一番良かったのはこの土瓶蒸し

 

こちらにまた来たいな、と思った理由は料理の質と量だけではなく、雰囲気のよさです。これは、シェフの大山さんの人柄によるところが大きいと思います。オーナーシェフでありながら、妙な老舗感が全くなく、スタッフ間でアットホームな感じが伝わってきます。ニューヨークの寿司職人は日本人だけでなく、他のアジア系のほか、ヒスパニックの人も多く、たまに日本人シェフが若い職人さん達に威張り散らして、カウンター越しに見ていても、嫌な雰囲気が伝わってくるところも実際にあります。しかし、こちらはそんな感じが全くせず、きっと、このシェフはいいボスなんだろうな、なんて思いながら気持ち良くおまかせをいただきました。

 

ということで旦那の留守中の楽しみである、マンハッタン寿司屋巡り、大成功でした。最近は高級日本料理店に行く時は一人と決めています。その方が気を遣わなくて済むし、予約も入れやすい、そして何より味をゆっくり楽しめます。また、他の人と一緒だと、ペアリングの酒などは単価が高いので、お支払いの方法が気になって集中できなくなることもあります。そんな心の狭い私には、ひとりごはんはメリットばかりなのです。また、私の経験で、マンハッタンに長い日本人経営のお店は、私のようにアメリカに長く住んでいる日本人を察知してくれて、おひとりさまウエルカムでとても親切にしてくれます。今回のRyuseiさんもそんな感じの対応をしてくれました。

 

新たなお気に入りのお店を見つけることができて良かったです。ほろ酔い気分でお店を後にして、帰宅ラッシュの終わったミッドタウンを家路に急ぎました。

 

 

ご馳走様でした、、。ほろ酔い気分で家路へ