いきなり過去の話になるのですが、5年くらい前まで英語でニューヨークの日本食事情を発信するブログをやっていました。
私がマンハッタンに移ってきた8年前にはすでに日本食はニューヨークでの外食チョイスのメインストリームになりつつありましたが、寿司やラーメンブームに乗っかって、主に他のアジア系によるかなり醜い便乗商法も展開されていました。例えば、ジャパニーズ・レストランがミシュラン等に掲載されると、その店のコンセプトをそのままコピーし店名すら盗作してあたかも支店かのような装いで営業するなど、いくら弱肉強食のニューヨークとはいえ、日本人として許せないような状況も見受けられました。
そこでマンハッタンの飲食業に進出して奮闘している日本人や、純粋に和食を愛して日本で勉強してこちらでで広めたいと思っているアメリカ人の助けになればと思い、自分の目と舌で確かめた日本食のお店を紹介するというコンセプトのブログでした。当地の日本人の方が日本語でやってるレストラン紹介ブログはあったのですが、英語で発信しないとアメリカ人への展開ができないので、苦労しながらも英語で書いてました。和食にリスペクトのある日本食レストランと、なんちゃってジャパニーズレストランの違いを明確にしていこうというミッションは果たせたかなと自負しています。
ジャパン・ウィークの一環で、グランドセントラル駅のホールに回転寿司体験コーナーができたこともあった
そのうちアクセス数も増えて、新しいレストランのオープンイベントや、酒造会社の試飲会などに招待されるようにもなりました。ただ当時は労働ビザで働いていてグリーンカードを申請中だったので、移民弁護士さんからブロガー・インフルエンサー活動は会社スポンサーの労働ビザで認められている領域を超えグリーンカード申請時に移民法に抵触する恐れがあるとなりました。ブログの身売りも考え、実際買収してくれるというオファーもあったのですが、これも労働ビザ目的外の収入になるということで泣く泣く閉鎖したのでした。しかし、ブログを書いている数年間マンハッタンを始めニューヨーク近隣の日本食レストランの動向にアンテナを貼っていたおかげで今も大体のトレンドは掴んでいます。
そんな私の過去の歴史(大袈裟ですが)を新しく日本からマンハッタンに越して来た方に話したら、信頼できるニューヨークの元祖和食はどこのお店ですか?と尋ねられました。折角なのでメールで回答した内容をこちらで紹介させていただきます。日本食自体に定義が色々あり、元祖を名乗るお店もいくつかあると思いますが、大方マンハッタンに長い日本人の間で元祖和食のお店として知られ、かつ現在も営業を続けているのはミッドタウン・イースト52丁目の「レストラン・ニッポン」でしょう。1963年の創業で、創業者・倉岡伸欣氏はニューヨークに於ける日本食レストランのパイオニアとして知られています。残念ながら倉岡さんは数年前に亡くなりましたが、現在も日本人スタッフで運営されています。
ミッドタウンの東52丁目に位置する。写真はコロナ時に野外席での飲食が解禁された頃。
個人的には天丼が私のお気にり。懐かしい味の蕎麦屋の天ぷら風。
こちらの売りはやはりなんといっても、期待を裏切らない正統派和食の数々を味わえることと、日本食は好だけど魚介や生物を食べられないアメリカ人(←意外に多い!)を連れて行っても、必ず何かしら選べるメニューの豊富さです。当地のアメリカ人である程度の年代の人はここで初めて日本食を体験した、という方が多いように思います。日本人としても、すき焼き、天ぷら、自家製そば、寿司刺身はもちろん、季節の小鉢など飽きの来ないメニューで、和食が食べたいけどどこに行ったらいいかわからない、という時に便利です。それと、刺身や寿司ネタの魚の種類がきちんとわかることも信頼感高しです。アメリカの寿司屋の中には、商品名と異なる魚介類を出しているようなところもあります。例えば、日本人から見ればどうみてもただの赤身のマグロを大トロとして販売したり、White Fishと表示してあっても何の魚かわからなかったりです。アメリカの寿司屋のメニューによくあるWhite Tuna など、実際はマグロではなく深海魚アブラソコムツだというようなケースもあります。なお、アブラソコムツは油分が多く下痢や食中毒の原因になるので日本で販売が禁止されいます。アメリカでも食品医薬品局(FDA)が妊婦や子供は摂取しないよう勧告しているような魚です。「レストラン・ニッポン」に行けば、刺身や寿司を頼んだ時に、訳のわからない生魚を食べさせられるようなことはないでしょう。
寿司ネタや刺身はいつも新鮮
ランチメニューも充実しており、松花堂弁当はお得
ミッドタウン・イーストという立地柄、大使館関係者など日本の外交官、日系企業の駐在員らしき人たちもよく見かけます。なお、テニス選手の間で有名とかで、大坂なおみ選手や、今年のウインブルドンで4連覇を達成したジョコビッチ選手も全米オープンの開催中にお忍びでやってくることがあるそうです。
この「レストラン・ニッポン」、海外での日本食展開に献身した人たちを取り上げたドキュメンタリー映画「Wa-Shoku~Beyound Sushi」でマンハッタンにおける和食レストランのパイオニアとして取り上げられています。今やマンハッタンのみならず全米の都市で外食シーンに欠かせない日本食がここまでポピュラーになった裏で展開された様々なドラマを窺い知ることができます。もしご興味があればぜひご覧になってみてください。
全世界的な日本食ムーブメントを扱った良作ドキュメンタリー
レストラン・ニッポンが創業当時にニューヨーク・タイムスに取り上げられた記事
ある日の夕暮れ、たまたま通りかかった時に見て癒された看板








