5月最後の週末は、メモリアルデーの祝日で3連休でした。メモリアルデーとは、アメリカの軍に従事しているすべての人々に敬意を表する日で、全米各地で記念イベントが行われます。

 

今年のメモリアルデーには、ニューヨークにフリート・ウィークが戻ってきました。フリート・ウィークとは、米海軍、海兵隊及び沿岸警備隊の艦艇が寄港し、さまざまなイベントが行われる一週間のことを言います。大きな艦艇がハドソン川を巡航パレードをしたり、一般公開され船上に入ったりするもできます。普段は洋上で過ごす水兵さんたちも、この週は陸に上がって羽を伸ばし、夏の始まりのニューヨークを彩ります。

 

街の至る所で記念撮影をせがまれる将校や水兵さんたち

 

地下鉄にて。上下関係が厳しいのか、リラックスしてる先輩兵卒とその取り巻きみたいな雰囲気。

 

放映されたのはちょうど20年前ですが「Sex and the City」で、NYに寄港していたルイジアナ出身の水兵ルイスとキャリーのひと時のエピソードがありました。色々印象的なエピソードがある「Sex and the City」の中でも、爽やかさではダントツで神回の一つだと思いますが、舞台はまさにこのフリート・ウィーク中のマンハッタンです。ドラマの中だけの物語ではなくて、この一週間は本当に、純白のセーラー服の水兵さんや、ビシッとした軍服を身に纏った兵隊さんたちが、マンハッタンの盛り場のあちこちに出没します。制服と制帽効果で、フツーのおじさんも数倍カッコよく見えます。クラブなどでは、「兵隊さん感謝ナイト」みたいなイベントが開催されていて、制服に身を包んだ若い軍人さん達がニューヨーカー女性達との出会いを楽しんでいます。ちなみに、制服で歩くことを義務付けられているわけではないようで、身バレしたくなくて私服に着替えてくる人もいるようです。私服の兵隊さんは、制服マジック効果でモテることや、自分が絵の中の被写体になるよりも、NYという大都会を冒険したい派のようです。(普段は隠れゲイもいてNYでひっそり羽を伸ばしているのかな〜などと妄想もしてしまいます、、、)

 

若き日のDaniel Sunjata演じる水兵ルイスとキャリーの出会い。

 

SATCファンには爽やかさ抜群で印象深いエピソードの一つかと思います

 

3連休だというのに特に予定のなかった私たちは久々に、マンハッタンに買い物に出かけましたが、別に狙ったわけではないのもの、あちこちにフリート・ウィークで上陸している兵隊さん達を見かけました。観光客でごった返す場所や地下鉄にも乗り込んできて、まるで芸能人並にどこでも人気者でした。アメリカでは、軍人は尊敬の対象であり普段はなかなか接することなないのですが、この週に限っては地元ニューヨーカーや旅行者とも交流して、この人たちも人間なんだな〜と実感します。記念撮影にも気軽に応じてくれますし、声をかければ気さくに話してくれて、米海軍、海兵隊、沿岸警備隊の活動をしてもらうとてもいいイベントだと思います。まだまだ男性が圧倒的多数ですが、女性隊員も結構見かけます。海軍を初めアメリカの軍人はきちんと髭を剃るように規則で決まっていて、髭面がいないので清潔感があります。近年、アメリカでは、髭を生やすのがいい男のデフォルトみたいになっているので、逆に軍人の髭なしは清潔なイメージを倍増させていると思います。また、マッチョで男らしい軍人はゲイにも当然人気なので、ゲイがセルフィーねだってるところも見かけました。

 

あどけない若い隊員さんたちが、タイムズスクエアで右往左往しているのがすごく可愛かったです

 

護身術の実演や体験も人気プログラムの一つ。こういう体験学習したいですね〜。

 

久々にタイムズスクエアをぶらついた後は、ブロードウェイーを北上し、コロンバス・サークル近くの日本風居酒屋に夕食に行きました。なんとこんなところにもセイラー服の水兵さん達のグループがいて、地元の友人らしき人たちとバーカウンターで談笑していてました。この一週間の間、普通のバーなどでは、水兵さんグループに居合わせた客は一緒に写真をとってもらったり、あちらもチヤホヤされるのに慣れているのだけれど、日本人のお客さん達はシャイで遠巻きに観察してる感じでした。うちの旦那Dは、軍人家系の血が騒いだのか、まるで引き寄せられるようにしてその輪に入っていきました。つけているバッジの色や制服のデザインで海軍内の地位がわかるようで、Dと同年代の司令官レベルの男性に行きつきました。そのオフィサーと彼が引き連れてきた部下数人は以前横須賀にいたことがあり、それで居酒屋フードを求めて来ているようでした。暗がりに目が慣れてよく観察すると、クラブ等でゴージャス美女達とダンスを楽しむような若い感じでもなくて、壮年の落ち着いた将校風な皆さん。

 

しばらく話していましたが、彼らが所属する戦艦は、Dの故郷近くを母港としていて、何とDとそのオフィサーは同郷で、しかも同じ高校の出身だということがわかりました。学年は被ってはいないようでしたが、何人か名前を言ったら恩師も同じで、共通の友人に行き当たり狭い世界だ(It's a small world!)などと盛り上がっていました。また、部下の中の一人はダルビッシュ投手みたいな風貌で、なんとなくアジア人の血が入ってるのかなと思ったらお母さんは日本人だそうで、彼の日本名が私の名前と同じ。そんな流れでカラオケにも誘われたものの、ここは爽やかに辞退して、我々はその後居酒屋フードをつまみつつ余韻に浸りました。

 

「Sex and the City」のキャリーとルイスのような雰囲気ではなく、美空ひばりの「港町十三番地」みたいな世界観で終わりましたが、彼らの去り際もやはり好印象でした。自分たちの乗り組む戦艦が一般公開されていて翌日が最終日だから見学においでよ、と誘われ、その司令官の携帯番号ももらいました。市外局番が確かにDが長年使ってる携帯と同じ。番号交換したからといってゲイ要素はなくて、古き時代の同郷オールドボーイズネットワークのような様相でした。

 

早速翌朝メモリアルデー当日、早起きしてハドソン川の桟橋(Pier88)に向かいました。果たして、オフィサーとは連絡が取れるのか。たくさん写真も撮ったので、続きは次回!

 

色々なところでカメラを向けられていますが、みなさん反応がお茶目です。髭なしが新鮮。