引き続きサンフランシスコからです。しぶとく東海岸時間で生活中で、よって朝4時起床でブログ書いてます。今日はこれから当地の友人、日系4世のスーザン・タナカ女史(それ風の仮名)とブランチ。

 

こちらの出張先のオフィスにも日系アメリカ人が何人かいて、みんなフレンドリーで、優秀な人ばかりです。ニューヨークでも日系アメリカ人の知り合いがいますが、私の知っている人たちは皆古風な奥ゆかしさとアメリカ人のオープンさを兼ね備えた何とも付き合いやすいナイスガイ、ナイスガールが多いです。少ないサンプルかもしれませんが、今のところ日系アメリカ人で感じの悪い人に会ったことはありません。とても偏見かもしれませんが、他のアジア系は、つきあいになんとなく損得勘定持ってる感じがするんですよね〜。でも、日系からはあまりそれを感じない。

 

スーザンは、歴史的偉人から最近の有名人まで同胞日系アメリカ人の話をするので、話についていくうちに詳しくなりました。せっかくですので少し紹介したいと思います。2021年はそんな日系アメリカ人方々の大活躍が特に目立った年でした。今日は、私が勝手に選んだベスト3を紹介いたします。

 

 

まずは若い順に、プロゴルファーのコリン・モリカワ氏。1997年ロサンゼルス生まれの24歳です。名門カリフォルニア大学バークレー校を卒業後の2019年にプロ転向し、2020年のPGAチャンピオンシップで優勝、2021年全英オープンで初優勝。1934年以来2つのメジャー選手権で優勝した最速記録を更新したそうです。日本では松山選手の活躍が大きくクローズアップされていますが、アメリカでは、モリカワ選手もかなりの注目株です。基本笑顔でキリリとした姿勢は、まさに日系アメリカ人の鑑という印象です。ガールフレンドは中国系カナダ人のキャサリン・スー氏。彼女もゴルファーで、ゴルフ界の超爽やかカップルとして、アジア系のイメージ向上にとても貢献していると思います。

世界をまたにかけて今後の活躍が大いに期待される選手です。

キャサリンは自身もゴルファーで、コリンのキャディーを引き受けることもあります。

 

 

 

そして次は、映画監督で脚本家のキャリー・ジョージ・フクナガ氏です。彼もカリフォルニア出身で、現在44歳。お父さんが日系3世で、お母さんはイギリス、北欧、ドイツの血をひいたヨーロッパ系のようです。彼は、言わずと知れた2021年の大ヒット映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の監督。ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンド映画の最終作という記念作ですが、興行実績も批評家の評価も概ね好評でダニエル・クレイグの花道を飾るに相応しい実績を残しました。まさに2021年にエンタメ界の大御所の仲間入りですね。20年ほど前に、北海道に滞在し英語を教えていた経験もあるそうです。そういえば、映画の終盤にボンドとラミ・マレック演じる悪役が日本近海の要塞のような孤島で対決するシーンがありますが、その要塞の中の居間や庭園に日本的な雰囲気が醸し出されていました。ボンドがラミ・マレックに土下座するシーンで、ボンドに土足で畳に上がらせなかったところは流石です。日本人のアイドルタレントカップルの娘である2世タレントが、着物の帯の上に土足で乗っている写真が炎上騒ぎを起こしていましたが、そんな事象とは大違いで、こんなところにも日系アメリカ人が日本文化を尊重していることが伺えました。

 

並の俳優よりもイケメンですね。1枚目の写真を見たある知人は、フクナガ氏が次代のジェームスボンドかと思ったそうです

 

 

そして3人目は、2021年のノーベル物理学賞を受賞した、真鍋淑郎(マナベ・シュクロウ)氏(90)。温暖化研究に欠かすことができない「気候シミュレーション」の基礎を築いた功績を評価されての受賞でした。日本では、日本人として紹介されていることが多いように見受けられましたが、彼は米国籍を取得しているので、日本人ではなく移民1世日系アメリカ人です。日本は2重国籍を認めないので、彼は米国籍を取得した時点で日本国籍を喪失しているはずです。アメリカのパスポートには漢字表記はできないので、真鍋さんと漢字表記するのは通称であり、そして「日本人」という表現は厳密には誤りです。NHKですら日本人と誤報道していて驚きました。

 

 

 

ところで、真鍋氏は国籍を変更した理由に、「私はまわりと協調して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです。」と述べています。また、日本からアメリカへの頭脳流出に関する見解も述べられており、アメリカの研究環境の自由さを語っています。私は必ずしも日本をディスりたくはないのですが、彼の発言は、すでにアメリカ国籍を取得した元日本人や、現在永住権(グリーンカード)保持者でゆくゆくは日本国籍からアメリカ国籍への変更を考えている在米日本人にとってとても共感できる内容だったと思います。研究分野だけではなく、ビジネスの分野でも当てはまることであり、人材流出は結局イノベーションなどの枯渇に繋がります。私はどちらかというと、ゲイとして生きづらい日本社会が息苦しくアメリカに移住した派ですが、真鍋さんに共感する部分も多々あります。でも、久しぶりのベイエリア・シリコンバレー出張で意外にもたくさんの日本人がテクノロジーの分野で活躍しているのを知って、心強く思いました。こういう人材が日本に帰ったときに、経済界や産業界の老害達が活躍を邪魔したり、時代遅れの規制でイノベーションが阻害されたりしないことを願うばかりです。

 

 

この3人の他にも、結構いろいろな分野で日系アメリカ人が活躍しています。エンジェルスの大谷翔平投手とバッテリーを務めたキャッチャーのカーティス・キヨシ・スズキもハワイ出身の日系人。アイスダンスで有名なフィギュアスケートのアレックスとマイアのシブタニ兄妹も日系人です。2022年も各分野での日系人の活躍が大いに楽しみです。

 

そろそろ、スーザンとのブランチに出かける準備をする時間なので、今日はこの辺にししたいと思いますが、その彼女自身もやり手日系人。4世となってくると日本語を話せる人は稀ですが、彼女は完璧バイリンガル。代々継いできた家業を両親から引き継ぎ、自分の代でサンフランシスコのローカルビジネスからベイエリア一帯や内陸ベイカーズフィールドの方まで事業拡大した結構な実業家なので、久々に刺激のある話が聞けそうで楽しみです。