フィオナの脅威 | SFショートショート集

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SFショート作品それぞれのエピソードに関連性はありません。未来社会に対するブラックユーモア、警告と解釈していただいたりと、読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。長編小説にも挑戦しています。その他のテーマもよろしく!!

本編は「同 調」・・・続編です。

 

 サリームメンバーとサラとニナ、そしてルフィナはリオネルたちが待ち構えているはずのタール砂漠のオアシスにテレポートした。鳥のさえずりさえ聞こえてきた。大きな鳥が水面に向かって舞い降りてきた。いきなり水面にくちばしを突っ込み、大きなナマズをくわえて飲み込んだ。当然リオネルたちは待ち構えていると思っていたが、きれいな湖水と緑の生い茂った閑散として落ち着いたまさに「憩いの場所」であった。

 用心のためスーパーツインズは防護スーツを身にまとっていた。そして、サラとニナがスーパーツインズに化身していた。

 サラが

「ルフィナ、ここで間違いないんだよね?」

「間違いないよ!」

 

 その時だった。湖水の水面がざわめきだした。それと同時に水面から何十体ものサイボーグたちが飛び出してきた。そして一斉にサリームめがけてビームを照射してきたのである。これはエネルギーを吸収するバキューム・ビームだった。案の定彼らはドゥルーズ星のサイボーグを差し向けてきたのだ。しかし、スカイ・フォーとファンタスティック・スリーはルスラン博士のつくった防御バリアで難を逃れた。すかさずサイボーグたちは接近戦に対応してきた。手にはサーベルを握っていた。すぐさまスーパーツインズとスカイ・フォーたちはテレポートして距離をおいた。だが、ファンタスティック・スリーはここぞとばかりにヒート・セーバーを取り出した。ヒート・セーバーの切れ味は目を見張るものがあった。次から次へとサイボーグたちのサーベルを相手に攪乱していた。あっという間に十体以上のサイボーグたちは腕や足を負傷して機能不全に陥っていた。たまりかねたサイボーグたちは、熱線ビームを照射してきた。サリームたちは一気に散らばった。今度はスカイ・フォーが前面に出て相手をした。フラッシュリングの猛攻である。大小様々な大きさのフラッシュリングを繰り出すスカイ・フォーに翻弄されていた。サーベルを持った腕を狙った手裏剣殺法。そして、大きなフラッシュリングで熱線ビームを反射させていた。機能不全のサイボーグたちはさらに増えた。続いてスーパーツインズが防護スーツのまま、サイボーグたちをテレキネシスで攪乱していった。サイボーグ同士をテレキネシスでぶつけ合って機能停止に追い込んでいた。さらにスーパーツインズに化身していたサラとニナがパワービジョンで応戦していた。パワービジョンはサイボーグの内部チップに負荷を与えて機能停止を誘発する。

 

 サリームたちの応戦で、五十体以上いたサイボーグたちのほとんどは機能不全に陥ってしまっていた。

  

 だが、マリコフたちはこれで終わらせてはくれなかった。

 

 リオネルがついに姿を現した。リオネルの隣にはフィオナがいた。

 

 

「お遊びはこれまでだ。これからはフィオナが相手だ」

 ルフィナが最も恐れている事態だ。

 ルフィナが

「フィオナに気をつけな、彼女は強力なマインドコントロールを持ってる!人間を動物と同じように即効で支配できてしまう。何があっても無視するんだよ」

リオネルがルフィナの身体を食い入るように見つめた。

「ルフィナ、いい身体を手に入れたな」

ルフィナのサイボーグボディを眺めて挨拶してきた。

「新入りがいたとは初耳だ」

リオネルは防護スーツをまとったスーパーツインズを凝視していた。化身していたサラとニナが本物のスーパーツインズだと勘違いしていたのだ。

続けて

「今からでも遅くない、帰ってこないか?悪いようにはしない」

「あんたこそマリコフの操り人形は卒業しなよ。あんたもフィオナもいい加減に目を覚ましな。あたしやラルス親子、クリスタたちも皆、マリコフの狂気の沙汰に気づいたんだよ」

フィオナが何かを言いかけたが、リオネルが制止して

「フィオナ、ルフィナに惑わされるな!」

 

 次の瞬間、フィオナの目が異様に光った。

 

 サリームたちはルフィナが言うように「無視」を決め込むはずであった。しかし、無視しようとすること自体、既に無視できていないことの表われであった。

 

 突然ラウロが隣のサイモンに掴みかかった。サイモンは不意をつかれたかたちでラウロと対峙していた。ラウロとサイモンの目が異様に据わっていた。二人ともフィオナに心を支配されている証拠だ。すかさずフィオナはターゲットをジョージとミニョンに絞った。ほどなくジョージとミニョンは心を動物の本性に支配されてしまった。さらにルフィナはデビットとリリーをも支配していった。本来動物が持っている心的意識に支配されているメンバーたちは、お互いにいがみ合い格闘を繰り広げてしまっていた。そして、ついにスーパーツインズの二人もお互いに熾烈な戦いを始めてしまった。スーパーツインズに化身していたサラとニナも、フィオナの支配から逃れることはできなかった。いずれの戦いも互角で決着はつかない。残されたクリスチーヌはどうすることもできなかった。

リオネルが

「見ろ、お互いに傷つけあっている仲間を・・・これが動物の本性だ」

 

 ルフィナがフィオナに掴みかかった。

「今すぐに止めさせろ、フィオナ」

リオネルが笑みを浮かべながら警告した。

「今フィオナをどうにかすれば、彼らはエネルギーが切れるまで互角のまま格闘を続けることになる」

 

 

…続く