以前インタビューをした夏麦氏の著書「成功する人には共通点があった --- なつむぎ式『うはうは』の法則」にゴーストライター疑惑が生じています。 ●ここ
80万部を超えるベストセラーとなった「うはうはの法則」ですが、実の所、氏は一行も文章を書いてないのではないかともっぱら噂になっています。
本日は、夏麦氏に事の真相をうかがおうと思います。
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----- おはようございます。元TVSの大林ですが、夏麦さんはご在宅でしょうか?
あっ、えっ…… ま、麻那ちゃんでございますか?
しっ、失礼しました。えぇ旦那さまが「麻那ちゃんのインタビューを受けた」「生麻那(なままな)ちゃんをこの目で見た」と、あの後ずっと騒いでいたものですから、つい、麻那ちゃんなどとお呼びしてしまいまして。
えぇ、私もたまたまその日は屋敷におりましたので、というより執事ですから屋敷にいるのが普通なんでございますが、たまたま生麻那(たまたまなままな)ちゃんを…… えぇ、かまずに申し上げるのはとても大変でございます。
つまり旦那さまは、ただ今外出中でございますです。
----- あたなたが、この屋敷で執事をされているセバスチャンさんですね。
はい。左様でございます。
いえ、セバスチャンさんでなくて、セバスチャンちゃんで結構でございます。
はい? はぁ、それでは、アグネス・チャンちゃんみたいですかね。あ、古い? じゃ、ローラ・チャンちゃんみたいですかね。ふふ。ローラ・チャンの方が好きでございますけど。
では、セバス・ちゃんとお呼び頂ければ。いえ、よろしければ、セビーと呼んで頂いても結構でございます。
----- セバスチャンさん。夏麦氏にいちばん近くいらっしゃる執事の方にお伺いしたいと思いますが、夏麦氏の「うはうはの法則」なんですけれど、実はご自身では一行も書かれていない、ゴーストライターが書いたものだとの噂です。これは、本当なのでしょうか?
えっ、その、その件でしたら、えっと…… 弁護士の方を通して頂きたく存じますが……
(小声で)あ、旦那様。またタイミングのお悪い。こちらに来てはいけません。ダメです。あっ。
いやぁ、麻那じゃないのぉ。うれしいなぁ。また来てくれたんだぁ。セバスチャンったら、麻那ちゃんを独り占めしようとしてたな。
また会えるなんて、やっぱり1日30ペタしてたおかげかな? えっ? ペタは1日1回しかつけられないって。
ちっ、宇津呂沢のやつ。任せて下さいなんて言っておいて、ウソつきやがった。
----- 宇津呂沢さん……? なるほど。その宇津呂沢さんという方ですけど、夏麦さんとはどういったご関係なんですか? 夏麦さんの著書とされている「うはうはの法則」にはゴーストライターが居るって噂になってますけれど、その宇津呂沢さんが実際には書かれたのではないですか?
おやおや? 麻那、鋭いね。やっぱ、わかっちゃった? あはは、そうだよ。宇津呂沢がみんな書いたんだよ。やっぱ、わかっちゃったかぁ。
----- つまり実際には、夏麦さんは宇津呂沢さんにお話になっただけだということですね。ご自身では一行も書かれていない。
ちがうよぉ。ちがうってば。
----- ということは、ご自身で書かれた部分もある。
逆だよ、逆。宇津呂沢が全部考えて書いたんだよ。ボクは話しもしてない。
だってボクは、祖先の残してくれた不動産の管理や、家族経営のホテルチェーンのマネージメントで忙しいんだよ。麻那だって知ってて、この前そう紹介してくれたじゃないかぁ。
それに、このところはボルドーのシャトーと、ヌワラエリアの茶畑と、コロンビアのコーヒー園の経営を見るのに忙しくてさ。とてもじゃないけど自分で本なんて書いてる時間ないじゃん。
----- あら。書いていないだけじゃなくて、考えてもいらっしゃらなかったんですか。それにしても、ずいぶんとあっさりとお認めになるんですね。
そだよ。だって、悪い事じゃないでしょ?
宇津呂沢が書いたことなんてちっとも目新しいことはなくて、いままで何度も言われてきたつまらない事を順番変えて書いただけだし。でも、それをボクが書いたってことにすれば、売れる。これ分業でしょ?
ゴーストライターがダメだってことになったら、あの経済評論家や、この飲食店経営者や、あっちやこっちの大中小の創業社長の本なんて、全部だめじゃん。
----- いや、えぇ。まぁそうですが。そうではあっても読者の人たちは、こういう経歴のこういう人がこんな考えを持って成功したんだって、そう思って読むわけですから。
もぉぉぉ。だから分業だって言ってるじゃん。「こういう経歴」の所をボクが担当して、「こんな考え」ってのは宇津呂沢が考えたってことだよ。
言い方は悪いけどさぁ。このくらいのごまかし、って言って悪ければ脚色は、麻那が元いた会社の中だってしょっちゅう有ったんじゃないの?
あのね。ボクはね。宇津呂沢じゃ書けないような自分の本当の考えを表現したいときはね、自分で書くんだよ。ちょっとインタビューを受けて、実際はゴーストライターが書いたような成功本はいくらでもあるけどさぁ。つまり、その手の成功本は、その程度の内容だってことだよ。
それでも、その内の何冊かはベストセラーになってさ。本人は調子づいてコメンテーターとかやったりしてさ、自分の専門外の事柄にも意見を言うようになったりするのさ。
一方ゴーストライターは、印税の取り分で「うはうは」。
麻那さぁ。この前のインタビューの時は、ベストセラーの作家にインタビューできるって、そんないい気分だったでしょ。でも今日は、ニセ作家の化けの皮をはがすつもりで来た。図星? ねぇ、ねぇ、図星?
ふふふ。ちょっと世間知らずだったかもな~。でも、そこも含めて可愛いなぁ。うん。
----- え、あの。そういうものなんですか。今日はすごくびっくりしましたけど、いずれにしてもあの本は夏麦さんが書かれたものではないと言うことでいいんですね。最後に、おそらくがっかりされている読者の皆さんに、なにかメッセージをお願いできますか。
あはは。本を読んで感銘したのなら、誰が書いた本かなんて関係ないはずですよね。
次作「もてもての法則」も宇津呂沢が書きますんで、是非楽しみにしていて下さいね。
----- なつむぎさん。今日はありがとうございました。
で、麻那。今日は一緒に飲みに行けるの?
え? いや? 絶対にいや?
はい? 毎日メッセージやペタ、迷惑ですか?
あ、あの。あれも宇津呂沢がやってることなんです……
「ますます、最低!」
しっ、失礼しました。
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この記事ははフィクションです。実在する元アナウンサー、団体とは一切関係ありません。
それにペタは、宇津呂沢じゃなくて自分で付けてます。えぇ、記事を読んだ時だけ。

なつむぎは、今年に入ってから「ライターセミナー」ってヤツに通ってます。
ホストになった時に、お嬢さまやお姉さま方に上手にタバコの火を着けられるように。
で、先生からゴーストライターの裏話あれこれを聞いてる内に、なんか書きたくなっちゃって 笑