もちろん、飲めますとも。
しんみりとした酒は好きですからね。
初めての街で、一人飲みが似合う店を探しながら夜の街をブラブラするのも、これまた好きだな。
ホテルのバーなんかで飲むのが似合うタイプの人間じゃぁないし、だから地元の人たちが気軽に集まる居酒屋のようなところがボクにはいい。
あまり騒がしくなく、かといって閑散としているのも嫌で、飲み屋の大将にしょっちゅう話しかけられるのは好きじゃないけど、すっかり放っておかれるのもなんか寂しくて・・・・
わがままだなぁ。
だから、一人飲みの店を選ぶのはとても難しい。
でも、店を探しながら夜の街をブラブラするのは、楽しい。
この店にしようかな? どうだろう。 向こうの方になんかいい感じの一角がありそうだし・・・ なんてね。
そして最後は勢いで店に入るわけだけど、ここの酒が旨かったり、店員の気遣いが気持ち良かったりすると、「うん、この街はいい街だ」とまで思えてしまう。
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一人飲みは、一人旅に良く似ているしね。
自分ひとりで場所を選んで、たっぷりな時間の中、自分ひとりで何かしらを考えていて、時に他人と話をし、ごくまれに心に残る良い出会いがある。酒とか、料理とか、人とか、街とか、と。
人生は孤独かも。でもそれも悪くないかも。たまの良い出会いがそう思わせてくれるかもしれない。
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旅を人生として生きて行くわけにはいかない。
だから、いつもの街のいつもの店であっても、お酒の力をちょっと借りてちょっと一人旅の気分になる。
放浪の詩人に一瞬だけでもなる。
それが、一人飲みってやつです。