痛い。痛くて仕方ない。
それが痛風。
死ぬほど痛いのに死にはしない。でも死にたくなるくらいに痛い。それが痛風。
いま、わたしには秋のアンヨ痛い痛い週間が始まりましたと言わんばかりに発作が起きている。
朝起きた瞬間に、こ、これは、、、と思わせるあの痛み。
この痛みについて解説しようと思います
今回の発作は規模でいうと「中」にランク付けされる
痛みを表現すると
「足の裏側から親指の付け根の関節に5センチくらいの釘が2本刺さっている感じ」
「さらにその付け根を含めた親指全体を硫酸に浸している感じ」である
(硫酸を触ったことないけど)
あなたの周りに痛風キャリアの方はいないだろうか
ちゃんと優しくしてあげていますか
痛風は自業自得みたいな風潮ありませんか
「痛風は贅沢病である」などと
この2025年にも真顔で思っている方はいないだろうか
もしいたならばぜひこの機会に認識をアップデートしてほしい
運動部なのに真夏に水分を取らせない
成長期なのに兎跳びをさせる
プールでゴーグルを使わせない
しかもその後、強烈な水流で眼球を洗わせる
(なんやったの、あれ)
小学生中学生にエアコンは贅沢なので許せない
例をあげればキリがない
痛風は贅沢病、などというのは
これらとなんら相違ない
我はいつまでも古い間違った認識を持ち続けていたのだと
恥じてほしいと心から強く思う
痛風と聞いたとき、あなたの返す言葉はなんだろうか
・良いものばかり食べてるからだ(ざまを見ろ、と)
⇒家計消費額と比べて何が多いか言ってみろこのやろう
・ビール好きなの?(バカみたいに飲んでるからだ)
⇒美味しいと思えたの最近だよ、ばかやろう
・肥満だからだよ(不摂生なんだよデブ的なニュアンス)
⇒それは正直ごめん
はっきり言って、痛風は遺伝である
悲しいほどに遺伝なのであり才能
神の采配であると言える
よくテレビ番組などで
痛風飯とかって、おもしろおかしく言っているが
そりゃあんなに美味しいものが体に良いわけがない
体に悪いものほど魅力に溢れ、美味なのである
しかし痛風飯と呼ばれる、その実ただの美味しいだけのご飯を
食べ続けても、それだけでは不十分、残念でした
痛風を発症させるには才能が必要
結局は、元外務大臣、かの田中眞紀子氏の名言
「しこる人は、しこるし
しこらない人は、しこらない」
に尽きるのである
と、説明しても
今日も元気に昭和の時代を生きている方々には届かない
今は令和だよ、と丁寧に説明しても昭和が好きなのだ
あの頃は良かったと、モボだのモガだの言っている
ゲートボールは弾けても、思い込みは弾けない
認識を改めることができない
認識を改める遺伝子を持っていないんですかね
そうですか、じゃあ仕方ないですね
あなたがもしも、痛風のキャリアでないならば
それはあなたの行動がもたらしたものではなく
あなたが痛風になりにくい遺伝子だから
という要因の方が大きい
つまり、たまたまである
たまたまバラモンに生まれただけ、カースト制度ならば
なのにバラモンたちは嗤うのである「努力が足りない」と
痛風と聞いたときあなたはちゃんと言えているだろうか
「遺伝ですか、気の毒ですね」
「最近ストレスが多かったですか、苦労されてるんですね」
そう、最大の要因はストレスなのである
自身の経験則で申し訳ないが発作のトリガーは
エブリタイムいつでもストレスなのです
昔の人は言いました、体は正直と
ストレスフルな環境に対して
腹痛になる
頭痛になる
熱を出す
不眠になる
痛風になる
全て同じ
動くな、体を休めなさいと言っています
強烈な痛みや業苦によって
考えてみてほしい
痛風の発作が起こるほどストレスフルなのに
足までとてつもなく痛いのである、常に
風が吹くだけで痛いのに
っていうか無風でも痛いのに
ロキソニンも効かないのに
流石につらい
そんなメンタルでも頑張って足を引き摺って歩いている
不憫以外の形容が出てこない
なのに嗤う、嗤われる
背が低くて悩んでいる子供のことを誰が嗤うのか
努力が足りない、生活が悪い、自業自得である、と責めるのか
ぜひ認識を改めてほしい
私の場合、発作が起きるのは右足親指の付け根
発作の規模には4段階あり
小、中の下、中の上、大にカテゴライズされている
⚫︎小
前兆の痛み、じんわり痛い、警告
痛みはあるが普通に歩ける
不気味に微笑んでいる
微笑みの爆弾
びゅびゅっと、ひとりぼっち
爆弾岩
この時点で機を見て敏に薬を飲めば無かったことにできることも多い
用もないのに現れることもあれば、観測気球的な一面も持っている(誰の?)
何もしなくても機嫌をなおしてくれることもあるが
「小」がなく次の「中」から始まることもある
気まぐれ、神出鬼没、いたずらキャット
栗山千明様的に言えば
「ビー、これは警告です」
⚫︎中の下
⚫︎中の上
絶望、この世の終わり、激痛
目覚めた時に「中」から始まっていることも多く
痛みを認知した時の感情は
あの目覚めた瞬間に寝坊・遅刻を悟ったときのそれの
8兆倍くらい嫌な感じである
ロキソニンはまだ効くが
常に患部を庇わなければ歩けない
というか、ほんとは歩きたくない
ここまでくるともう早期回復は望めず
まともに歩けるまで1週間から2週間くらいかかる
実は「下」も「上」も痛みの規模に差はないが
このあと「大」に発展するか否かで区別される
「大」に発展すれば結果的に「上」
分水領、中央構造線
全力、全身全霊をかけて「下」であることを願う
栗山千明様的に言えば
「私の全存在をかけて、あんたを否定してあげる」
⚫︎大
無、虚無、もはや、むしろ逆に有、ダルビッシュ有
starting over、終わりは始まり
宇宙はわたし、わたしは宇宙
深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ
輪廻転生、転生永劫回帰、吾唯足知、森羅万象、墾田永年私財法
生まれ変わったら蝶々になりたいなとか考え出す
とにかく脳内でしきりに「ごめんなさい」を連呼し
できるだけ綺麗に五芒星を書こうと試みたりする
患部は2.5倍から3倍に膨れあがり、灼熱の痛みが押し寄せる
痛みは衝撃系と神経系に分かれ、パターンでやってくる
衝撃系は、関節に極太の剣山が刺さっている感じ
しかも上下左右、全方向剣山少女
神経系は、溶けていく感じの痛み、脳が痛い
じーん、じーんと溶鉱炉級の熱を持って攻めてくる
Aメロ(衝撃)→Bメロ(神経)→サビ(衝撃&神経)のように
入れ替わり立ち替わり、蹂躙してくる
ときにCメロ(もはや形容不可)もある
Let it be なすがまま
don’t make it bad
ロキソニンも効かない
痛みの最大ピークは3日〜5日間ほど継続し
その後も「中」の痛みが続く
常に足首を固定して患部を庇うため違和感も残り
痛みが消えたのちには歩くリハビリも必要
全治まで1ヶ月以上要することも
栗山千明様的に言えば
「神様もう一言だけ良いですか?」
こんな感じなのである
こんな感じなのです
そしてあまり知られていないが、発作に苦しむそのさなか
苦しみは痛みオンリーではないのです
足は痛い、確かに痛い、引きずっている
腫れあがっている
それは見たら分かる
しかし
私自身も見えないところで
白血球を総動員して異物を攻撃しているのだ
体内が正常であるわけがない
盆と正月と葬式とギャングと夏木ゆたかがいっぺんにやってきて
お宅の家庭内は平穏なのですか、と問い詰めたい
頭も痛い、お腹も痛い、そして気持ち悪い
なんかフラフラする
平衡感覚がない
そしてやっぱり足は痛い
とはいえ
そんな遺伝子が悪い
神様が悪い
とか言っていても結局痛みはなくならないので
単純に痩せるしかないのである
神の与えし才能が憎い
5年に1回くらいの割合で
国民全員による持ち回りでの
痛風体験会を義務付ければいいのに
