ああ、それにしても痛い。

 

 

 

↓これの続きです。継続して痛いのです。

 

落ち着いてきていたのだが、痛みがぶり返してきた。
後退かぁ、などと思っていたが。
これちょっと痛すぎへん?とよーく患部を見たところ
別の場所で発作が起こっていた。
(前は足裏側は、今回は甲側)
おいこれ、ニューだよ。いわゆるおニューだよ。

と、今回は痛風が不治の病たる所以をお話ししようと思います。

丁寧に説明するために冗長になっていますがお許しください。

痛風発作とは、関節に溜まった尿酸の結晶がなんらかの原因で剥がれ落ちたところから始まります。
(メカニズムなどご存じという方もしばしお付き合いください。)

関節から剥がれた結晶を仮にジョージという名前だとして
ジョージは関節から剥がれて、飛び出し、独立したとします。
そうするとジョージは所属がなくなります。
そこへやってくるのが白血球さんです。
白血球さんは独立し所属のなくなったジョージが許せません。
こいつは異物だ」と判断し排除するために攻撃をします。
白血球さんは全力シャカリキで攻撃するので
高熱を発し、パンパンに膨れ上がり、激しい痛みを伴います。
今の今まで同じ体内にいて、同じ釜の飯を食べていたのに
独立した瞬間に敵になります。
ジョージという個人よりも、どこに所属しているか、が判断基準となります。
今まで一蓮托生でやってきたのに、プロモーションにだって投資したのに
勝手に独立するなんて許すか!という旧芸能事務所的なノリなのです。
要はジョージは干されたわけです。
これが痛風発作です


「いやいやジョージさん、これまであなたと取引してきたのは
 あなたが関節の一部だったからですよ。
 ジョージさんあなた悪い人ではないですけど。
 関節でなくなったのであれば、

 あなたと取引しても私にメリットないじゃないですか。
 そこをなんとか!と言われましても。
 私どもも生活がありますしねぇ。

 それにほら関節さんには大きい仕事いただいてますし、、ねぇ」
と、ジョージは途方に暮れてしまいます。
円満独立ではなかったようです。

体内で精製されてさっきまでそこにあったのに
剥がれた瞬間から「異物と判断し」白血球が攻撃する。
結果、激しい痛みが伴う。
つまりバグ。とんでもないバグ。
2000年問題級のバグ。
2000年問題のバグは、たぶん人類にとってあれが最初で最後。
もう起こらないだろう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/2000%E5%B9%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C

1999年の大晦日、高校生だった私。
コンピューターが制御する社会になって人類が初めて迎える最大級のバグに
どんなエラーが起きるかわからないと世界中が警戒し騒いでいた。
私の母親も眠りにつくその前にこんな不安を吐露していた。

 

 



明日のご飯ちゃんと炊けるんかしら
母親とはそういうものなのだと思った。
機械が誤作動を起こすとか、発電所が止まるんじゃないかとか

ミサイルが発射されるんじゃないかとか、戸籍のデータが消えてしまうかもとか
そんなことよりも、炊飯器のタイマーがいつも通りにちゃんと作動するかが大切。

あの大晦日の夜、全世界の母親が炊飯器に不安を抱えていたのだ。
お正月からご飯なかったら嫌だもんね。

そんな人類の歴史において1回しか起きないようなバグが

私にはもう5、6回は起きている
年1回、2回ペースである。
確率もバグってる。

ではなぜ、関節に結晶となって溜まってしまうのか。
それは、血液の中の尿酸の濃度が高いから。
これがよく聞く尿酸値ってやつです。
小学生のときに理科で実験したミョウバンの結晶を
思い出していていただければと思います。
液体の中の濃度が高いから

溶けきれなくなって結晶化してくっついていくわけです。

飽和水溶液ってやつ。
 
で、濃度が高くなる理由は大別すると2つ
・過剰に尿酸が作られる
・尿酸を排出する量が少ない


そして
尿酸が作られる量も、出ていく量もバリバリ個人差
だから遺伝だっつってんの
同じビールを同じ本数飲んでも
あなたと私では尿酸が作られる量も、出ていく量も違う
尿酸を精製する才能とか、尿酸を捨てる才能とか
人は時々口にするけど
そういうことって確かにあると
あなたを見ててそう思う

それをなに自分はちゃんとやってるからならない

みたいな顔して勝ち誇っているのかと。


たとえばイチロー選手と全く同じ練習をし続けても
私はイチロー選手と同じだけの成績を残せない。
だって私にはイチロー選手と同じだけの野球の才能も運動能力もないから。
そんなことは誰もが理解しているはずである。
なのに痛風に関しては
100%怠惰と決めつける風潮
結局はたまたまなのよ、たまたま。
痛風の発作が起こりやすい体質なのだから
より注意深く、より節制しなければならないというのは賛成っていうか、その通り、異論なし。
でもその度合いとか、難易度は個人によって大きく異なる。
あなたの2000倍節制していても、私はあなたよりも痛風発作が起こりやすいかもしれない。
痛風キャリアを下に見ている民は
そんな風に考えたことがあるだろうか。
つとに反省してほしい。
帰りの会で追求したい。
謝ってください。
 
まぁ私は節制など特にしてこなかったが。
節制してないと痛風発作を起こす体質ということですね。

遺伝ですね。
 
そしてここからこそが、不治の病たる所以である
さきほど私は節制してないと痛風発作を起こす体質だと言った。
そう聞くと思うでしょ、じゃあ節制すりゃいいじゃんって。
ほらそうくるでしょ。
さらに長くなるが話しましょう。
 
そもそも私が最初の痛風発作を起こしたのには
節制が大きく絡んでいる。
その当時、私は痩せたのだ
それはもう一生懸命痩せた、37歳になる年のことだ。
健康のことを考え、食べるものを変えて、お菓子を我慢し、運動もやった。
元来やり出したらストイックなのでガンガン痩せた。
たぶん2ヶ月くらいでほんと7,8キロは痩せた。
スリムになった、カッコよくなった、健康になった。
そして痛風になった。
意味わかんネーゼ、セレナーデ
 
きっと体内環境も良くなったのだろう
尿酸値だって改善したはずだ
なのに発作が起きた、ミステリー、ヒステリー
おそらくそれまでに、関節に溜まっていた結晶へ影響を与えるほどに

尿酸値が改善しすぎたのだ
ミョウバンの結晶をいきなり真水に放り込んだらどうなるだろうか
たぶん割れる
 
冷凍庫で凍らせたグラスにお湯をかけたら?
熱した窓ガラスに冷水をかけたら?
そういうことなのだ
節制すれば良いってもんじゃない。
氷水の入ったグラスが割れない程度に

でも中の氷は融ける程度の温水をかけ続けなければならない。
そしてそれにはデータの蓄積も温度計もない
当てずっぽうで2年とか3年の期間、正解を出し続けないといけない

適切な食事制限をして、適切な運動、そして適切な尿酸値にする
どんな確率よ?
しかも繰り返しになるが、全力で頑張ればいいってものじゃない
頑張って改善しすぎると発作が起こるのだ

(雄大なる氷河を崩落させずに融かすようなもの)
 
これは尿酸値を下げる薬を飲んでも同じで
薬を飲むことによって尿酸値は改善するが
尿酸値が下がることによって発作が起こる
当然、めちゃくちゃ痛い

改善に取り組んでいる中で起きた発作だからセーフ!!とかはない
平等に痛い

痛くなるのが嫌だから、薬飲んでんのに
薬が原因で痛くなる

痛風になるようなライフスタイルを改めることができたから発作が起こる

どんなご褒美よ?
こんなふざけたとんち問題があるだろうか

意味不明、支離滅裂、非論理的
こんな馬鹿げたことがまかり通っているのが
痛風さん界隈であり、白血球さん界隈なのである

また当然ですが、尿酸はプリン体を分解する以外にも
体内で精製されているわけでして
有名なのはアルコール
プリン体を含んでるとかないとか関係なくアルコールを摂取すれば
体内で尿酸は精製される。蒸留酒だからオーケーとかない。
他にも運動、特に筋トレやダッシュなどの無酸素運動でも精製され
激しい有酸素運動でももちろん精製される。
発作を嫌がって痩せるために

筋トレを頑張れば頑張るほど尿酸は精製され

尿酸値を高め、結果として発作を引き起こす。

運動すれば汗をかく
尿酸は汗では排出されない。
汗で水分を失えば、相対的に尿の量は減る
尿の量が減れば、尿と一緒に排出される尿酸の量が減る
結果、尿酸値が上がり、発作を誘発する。

(まぁ素敵なわらしべ長者

もはや桶屋が儲かったら発作が起こるレベル。
運動を頑張ったら、セットで水分を補給しないと
発作の確率が上がってしまう。

このバランス感覚はちょっとやそっとじゃ身につかない
非常にセンシティブなのである

だから目の前の痛風発作で悩んでいる人の原因が
怠惰から来ているのか、節制のバランスを欠いたためなのか
わからないのである。
それなのに一緒くたにして、不摂生が原因と決めつける勢力の方々
「いやいや、痛風っていうのはね」と説明しようとしても
もう視線は合わない、焦点の合わない斜め上を見たような顔して
聞き流すのである、音として耳に届いても信じないのである。

もう痛風発作が起きたら声も出ないようにしてほしい。
なんで痛風にもなったこともない、調べたこともない自分の知識が
痛風に苦しんでいる当事者よりも正しいと思い込めるのか。
それこそもう才能、すごい才能、稀有ではないけど。
欲しくもないけど、圧倒的才能

(これもバグなのかしら)

ほんでねほんでね
もはや医学的にわかっているんですが
尿酸の原因となるプリン体の総数のうち
食品として摂取されているのは全体の1割とか2割なの
残りの8割以上は体内で作られているの
つまりね、贅沢病とかほんとにほんとに当てはまらないんだ

最初からそれを言えって?言ってたらそれで終わりやんって思った?
でもそれじゃあ信じてくれないもん、聞いてくれないもん

だからこそ痛風は不治の病なのであり
痛風は才能なのである

ほんとに発作が起きるくらいなら
10時間金縛りになるとか、気絶するとか
隕石とか落ちてきてそのまま死なせてくれたらいいのにって思う。

「あっっ!あいつの結晶剥がれ落ちたぞ。隕石いけーー!」みたいな。
でも人間なかなかそんな風に綺麗には死ねない。
苦しんで苦しんで生きて、死んでいくのだ。
できるだけ苦しまずにダラダラと死に向かうことを健康と呼ぶのかもしれない。
そしてそれこそが幸せなんだと。
人は健康でないと苦しむんだ、ということを42歳を目前にして解釈することができた。
であれば健康に恐ろしいほど執着する人のことも理解できるし
私も健康でありたいと思う。

もう今さら痩せたいとも思わなかったし、太ってて醜いのも良いと思っていた。
でもこんなに痛いんだったら、痩せた方がマシだと切に思う。

三大欲求のうち、とうとう最後になってしまった食欲さえも手放すときが来た。
激痛にあう確率が下がるのであれば、痩せるのも悪くない。
ウニのように海藻ばかり食べるのも耐えてみようかと思える。
(磯焼けさせたろか)

結局私は消去法で楽な方にしか人生を選べないし、モチベーションも湧かないのだ。