LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH. H-XA025
ついにこのレンズを買ってしまった。
まだ届いていないので(正確には自宅の宅配袋の中に眠っている。早く帰りたい)
カメラ歴について抗いたいと思う。
*断っておくがカメラ初心者である。本格的な方々の沼はもっと深いことは理解している。
*しかしその沼には入りたくないし、結構その沼って人間失格的な沼なのでは、、、
私が初めて一眼レフカメラを手にしたのは社会人 2年目の冬。
まともな冬のボーナスを初めて手にし
小金を持っていた。
購入したのはキヤノンのEOS KISS X
当時はなんとなく買ってしまったのだ。
ダブルレンズキットだったと思う。
今から思うとバカだなと思うのだが
私はレンズ交換の意味とか
絞りとかシャッタースピードとかISOとか
全く理解していなかった
(当時でもバカさに気づけ)
カメラ本体に比べて交換レンズの高価さに憤ったりしながらも
ただ単に綺麗な写真が撮れるってだけでコンデジの延長として気付いたら買っていたのだった。
しばらくは嬉しそうにカメラを持ち歩き、
良さげな被写体を見つけては車を停めて撮影していた。
そして季節が変わる頃に思うのである
「めんどくせぇな、、、」
見て見ぬふりをしてはいたがめんどくさいのである。
心に秘めているうちはまだマシだったが、言葉にしてしまうともうダメである
次々と不満が溢れてくる
いちいち車を停める場所を探して、被写体のところまで歩いていき、写真を撮る
持ち歩く?こんなデカくて重い精密機械を?
こんなの入れて安心できるカバンなんて持ってない。
ちょっとぶつけたら壊れるの?
おかしくない?
メモリーカードやバッテリーなどを含めて800g弱だったと思うが
重い壊れ物を持ち歩く日々に嫌気が差していた
カメラを持ち歩くことにテンションが下がっていたのである。
カメラ持っていくの嫌だから出かけるのやめようとか
よくわからないことになっていた。
また、思いがけず大好きだと思えるような夕日の写真が撮れてしまったこともあり
だんだんとカメラを手にすることは減っていった。
当時はまだ23,4歳だった。ハナタレ小僧である。
だってあんなの持ってたら走り回ったりとかできないんだよ?
そしてクローゼットの中に仕舞われ、転勤のたび
段ボールに詰められ「壊れ物」と書かれることになったのである
当時はネットとか発達してなかったし
初めての一眼レフカメラとかいうムック本を買ったりもしたが
よく理解できずに、ただ単に重くて不便なカメラだったのである
次に一眼レフを買うことになるのは約5年後である
『そろそろレンズが飛び出してるカメラを持たなくては』
そんな風に思ったかはわからないが
2人目が産まれる前に妻がカメラを買うべきだと言い出した。
断言するが妻は私以上にカメラの使い方とか構造とかを理解していない。
しかしコンデジでは満足できていない様子であった。
1人目を連れて出かけるたびに、同じような年の子を
ゴツくて立派なカメラで撮影している方々を度々目にしたのであろう。
『もうあの(一眼)レフ(カメラ)は古いんでしょ?』
『だったらちゃんとしたカメラ買おうよ』
私がそういった類いの重いカメラを持ち歩かなくなる様子を
あなたは彼女として真横で見てきたのでは、、?
とか言ったら喧嘩になるので思っても
声に出してはいけない。
この後も含めて妻がこんな感じでものを欲しがることは少ないのだが
当時は、とにかくコンデジではなく
レンズが飛び出してるカメラを持たなくては
という精神に支配されており
レンズが飛び出してるカメラを用意しない夫は敵である、と敵認定されそうだったので
私はとにかく軽い一眼レフカメラを探したのである
そんな中で購入したのはオリンパスのペンライト2。
これはとても小さくバッテリーとか入れても500g以下と軽かった。
そして念願のレンズが飛び出しているカメラである。
写りも綺麗だし素晴らしいカメラだった。
結構持ち歩いてたくさん写真を撮っていたが
しばらくすると妻が持ち歩かなくなった
『いちいち写真を消さないと次のが撮れないから嫌だ』とのこと。
私はこまめにパソコンへデータを移すことにした。
しばらくすると
『カメラで写真が見れないのは嫌だ』とのこと。
私は妻のお気に入りの写真をメモリーカードに戻してプロテクトをかけた。
しばらくすると
『また消さないと撮れなくなった』とのこと。
メモリーカードを見ると、たくさんの動画が容量を圧迫していた。
当時にしては最大級のメモリーカードに買い直していたのだが
妻はそのパフォーマンスに納得していないようであった。
しかし、こういったやりとりもそれはそれで楽しいものである
子供もある程度育ち、家族4人で初めてディズニーへ行くことになった。
もちろんカメラも持っていく。当然だ。
明日は初めてのディズニーランドとテンションも上がり
無意味にモノレールに乗ったりして楽しんでいた。
そんな夜、前泊のホテルのテーブルからカメラを落下させ
妻はカメラの液晶を破壊した。
撮影はでき(ている音は鳴)るが
何を撮っているのか確認はできない。
もはや盗撮に近い撮影方法である。
緊急夫婦会議が開催され、初めての家族ディズニーは
レンズの飛び出したカメラなしと決議された
(落としたのが私でなくてよかったと心から思う)
翌年ディズニーリベンジである
もちろん修理を終えたカメラも持っていく
(液晶は保証が効かないという事実を学び、憤る)
ディズニーへ行く前日、東京の外れに位置するかの臨海公園にて
妻はカメラをコンクリの壁にぶつけて
カメラは起動しなくなった。
(浅草や築地の綺麗な写真はバッチリ残っている)
(今でもたまに見る)
既視感のある緊急家族会議が開催され
(今回は言語を操れるようになった息子も参加)
ディズニーはスマホのカメラのみということになった。
妻の中でレンズの飛び出しているカメラの
順位が下がってきていることがわかった
・いちいち写真を消さないと撮れない不便なカメラ
・過去の写真を気軽に見れないいけずなカメラ
・(子供の荷物が少なくなった今)ちょっと邪魔なカメラ
・何よりもここぞで活躍できない役立たずなカメラ
スマホのカメラの進化や、LINEの発達もあり
そんなこんなでレンズの飛び出しているカメラは
転勤の時だけ段ボールに詰められるカメラに
成り下がっていったのである。
(今でも全然使えるいいカメラ)
あれからさらに約10年の時を経て
レンズの飛び出しているカメラが改めて
私のもとに届いたのである、文字通り。
休暇で家族とともに過ごす私のもとに。
本年25年の3月のことであった。
*時系列的にはipadminiを買った翌月であったが
*まだipadminiはバレていなかった
Lumix g99 m2である。
妻には「カメラを買ったので届く」としか伝えていなかったが
ウキウキしている私に少しイラだっている様子だった。
少しだけね、ほんと少しだけ。
その証拠に『へー、いいね』とは言うものの
価格は聞いてこなかった
私も敢えて追加のウキウキを前面に出して
無邪気さをアピールすることで
価格の話題にならないように振舞った
やがて、カメラのシュコシュコを皮切りにして
たくさんの段ボールが届き始める。
楽天のマラソンポイントを稼ぐために
ショップをわけたのが逆効果だったか
段ボールの数に妻は明らかにイラついていた。
『お前どんだけ買い物するんだ』とは決して口には出さないが
むしろ耳で聞いたほうがマシと思えるほどに
私の脳内に直接届いていた
(この分もマラソンポイントもらえますか?)
そして何個目かの段ボールでついにカメラが届き
お披露目のときが来たのである
『意外におっきいね、重いの?』
10年前は忘れていたくせに
15年前の私の前科を思い出した様子であった
しかし私だって多少は成長している。
もう走り回ったりもしない。
負けじと私はこういった類のカメラにしては軽いことをアピール。
撮影素子のサイズなどをスマホを例にも出して説明する。
同時にお財布の負担も軽いこともそれとなく散りばめる。
『うん』
『うん』
『へー』
『すごいね』
どっかの企業のAIチャットでも
もうちょっと気の利いた返事をするものである
全く興味のない生返事が続く
しかし私はこの話をやめるわけにはいかなかった
興味のない話でも続けておかなければ
興味のある話になってしまう
ちゃんと持ち歩くのか、とか
このカメラたちに使った総額、とか
そもそも何を撮るつもりなのか、とか
バッテリーの充電が終わった、と私はつぶやき
ひとり近所の公園にカメラを抱えて出かけたのであった
初めて写したのは集団から外れてたたずむハトだった
時は流れて本年25年の10月、先月のことだ
子供の学校行事で私と妻は体育館にいた
子供が合唱を披露してくれるのだ
もちろんカメラも持ってきている
「うーん、ちょっと遠いな」
カメラを抱えながら私はつぶやく
最初からついていた標準レンズでも
そこそこズームできるのではあるが
私たち夫婦は前列をゲットするために
朝早くから並んだりはしないので
いつも最後方からの鑑賞なのである
「望遠レンズ買おうかな」という私の言葉に
『あー、あってもいいんじゃない』と
軽やかなゴーサインが出た
私の脳はレンズを買ってもいいのだ、と認識した
そして冒頭の宅配袋に眠っているレンズに繋がるのである
LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH. H-XA025
カメラを知っている方は違和感を持っているかもしれない
説明すると、これは望遠レンズではない
望遠どころか、なんならズームもできない
どっちかというと肉眼で見えるまんまを写すレンズである
(でも、とても味のある写真になるレンズなの)
改めてこう記事にするにあたり
文字にして書き起こして今気づいた
許可を得たのは望遠レンズだったのだが
知らないうちに私は前から欲しかったレンズを買っていた
どうしてこうなった?
(言語化するって大事ですね)
最初はちゃんと望遠レンズを調べていたはずである
目星をつけた望遠レンズで撮られた写真も調べて
写り方も確認していた。納得していた。
でも買ったのは別のレンズだった。
前から欲しかったやつ
ズームできないやつ
これがあの”沼”ってやつか
妻との約束を守るためには
望遠レンズも買わないとならない
*望遠レンズもほしいのは決めてある
来週、家族に会う予定がある
出かけるのでカメラをもっていかないのは不自然である
以前よりも少しレンズが短くなっていることに気づくであろうか
もとからあったレンズも持ち歩いていたら
さすがに本数が増えたことには気づくであろうか
妙に鋭い娘にさえ注意すれば乗り切れる気もする
うーーん、沼とはうまいこと言ったものだ
抗えば抗うほど、ハマっていくのである


