分子栄養学のプロが教える「ヘム鉄」サプリメントの質の違い①の続きです。
今回は、カプセルタイプのヘム鉄とタブレットタイプのヘム鉄サプリメントの違いについて解説していきましょう。
まず、ヘム鉄サプリメントには大きく分けて「カプセル」にヘム鉄が詰められた「カプセルタイプ」と、錠剤の形にヘム鉄成分が固められた「タブレットタイプ」の2種類があります。
仮に、ヘム鉄含有量がどちらも同じで価格が異なっていた場合、どちらを選びますか?
A. 1カプセルにヘム鉄5mg配合 60粒 3,000円
B. 1粒にヘム鉄5mg配合 60粒 2,000円
含有量が同じで価格が価格が安い物があるなら、安い方を選びたくなりますよね。
では、なぜ含有量が同じなのにカプセルタイプとタブレットタイプで価格が異なってくるのでしょうか?
実は、カプセルタイプとタブレットタイプでは、その製法も特性も大きく異なります。
カプセルタイプは、カプセルに詰める専用の機械で粉末状の有効成分を詰めていくのに対し、タブレットタイプは「打錠機」と呼ばれる圧縮機によって、粉末状の有効成分を圧縮して固めます。
カプセルに詰めるためには「カプセル」をカプセルメーカーから仕入れる必要があるため、製造にコストがかかりますが、タブレットタイプは圧縮して固めるだけなのでコストがかかりません。
カプセルタイプの特徴
カプセルタイプの場合、カプセルに有効成分を詰める工程では、成分にバラツキが出ないよう製造するために技術力が必要になります。また、カプセルタイプでは有効成分をそのままカプセルに詰めるため、タブレットタイプと比べて「添加物が少ない」というメリットがあります。
一方で、カプセルは湿度や熱などによって変性すると硬くなって溶けなくなるため、製造管理や品質管理体制には細心の注意が必要です。
カプセルタイプの製造は、カプセル代とカプセルに詰める技術力、高度な品質管理体制が求められるため、タブレットタイプと比べてコストが高くなります。
タブレットタイプの特徴
タブレットタイプの場合、錠剤として固めるために必要な「賦形剤」と共に、有効成分を「打錠機」で押し固めて作ります。
タブレットタイプではこの押し固めるために賦形剤がどうしても必要になるので、カプセルタイプと比べて添加物が多くなってしまうというデメリットがあります。この賦形剤には、一般的に「乳糖」や「セルロース」「デンプン」などが使われています。
一方で、タブレット形状はカプセルタイプに比べて湿度などの影響に強く、有効成分を安定して長く保てるというメリットがあります。また、製造にはカプセルタイプに比べて技術力が必要ないため、コストが安く抑えられるというメリットもあります。
一見するとどちらも一長一短のように見えますが、値段が高くても「カプセルタイプ」のヘム鉄を選んでいただくのがオススメです。
理由は、タブレットタイプのヘム鉄サプリメントでは、適切に胃で溶けなかった場合、吸収されない可能性が高いことと、打錠時に過剰な圧縮をかけてしまうことで、ヘム構造が物理的に破壊されてヘム鉄→非ヘム鉄化が起こってしまうリスクが高くなってしまうためです。
タブレットタイプのヘム鉄サプリメントをオススメしない理由
まず、ヘム鉄は「非ヘム鉄」と違って、複雑な分子構造をしています。ヘム鉄はアミノ酸で出来た「ポルフィリン環」と呼ばれる構造の中心部に、二価の鉄をはめ込むことで作られています。
このヘム鉄は構造が安定しているので、比較的酸など他の物質による影響を受けにくいとされています。しかし、いくら構造が安定していると言っても、圧力をかけすぎてしまえば、分子構造が物理的に変形したり壊れてしまいます。
分子構造が変形したり壊れてしまうと、腸にあるヘム鉄の吸収経路である「ヘムトランスポーター」と適合しにくくなって吸収率が低下したり、ポルフィリン環の中心にあった二価鉄が遊離して「非ヘム鉄」になって吸収率が低下したりしてしまいます。
そのため、ヘム鉄は非常にデリケートな栄養素です。
このデリケートな栄養素を「打錠機」で圧縮して固める際に、圧縮しすぎてしまうとヘム構造が変形したり壊れたりするリスクが高まります。
例えば、錠剤製造で一般的に使用される圧縮力は80~300 MPa(カプセル充填時は0.5~5 MPa程度)に達し、これはヘム分子のポルフィリン環にせん断力を発生させ、その平面構造を変形させたり、中心の鉄イオンを遊離させたりする原因となります。
これを防ぐためには、打錠機の圧縮力を調節し、ヘム構造にダメージを与えないようにする設計力と技術力が必要です。
このような設計と製造には多くのコストがかかるため、一般的なサプリメントの多くはこのようなことを殆ど考慮していません。
ヘム鉄を配合していても、実質的に「非ヘム鉄」として吸収される可能性が高いことが、タブレットタイプのヘム鉄サプリメントをオススメしない理由です。
市販されているサプリメントの4割は溶けずに吸収されていない
タブレットタイプのヘム鉄サプリメントをオススメしないもう一つの理由として、時間内に「溶けない」サプリメントが多い事があげられます。
例えば、国民生活センターが調査した結果では、市販されているサプリメントのうち、およそ4割のサプリメントが既定の時間内に崩壊しなかったという調査結果を発表しています。
国民生活センターより引用
サプリメントに含まれる栄養素は、胃や腸で適切に溶けないと吸収されないものがあります。この規定時間内にサプリメントが溶けない場合、摂取した栄養素は吸収されずにそのまま排泄されてしまうことになります。
この中でも、特に溶けないリスクが高いのが「タブレット」タイプと「ソフトカプセル」タイプです。
国民生活センターの調査結果では、タブレットタイプの素錠とコーディング錠でおよそ4割〜5割が規定時間内に溶けないという結果になりました。
これは、タブレットタイプでは打錠機によって圧縮して固めて製造するため、圧縮しすぎると硬くなりすぎて溶けにくくなってしまうためです。(同時に崩壊性試験も実施されていない)
前回の記事でも解説しましたが、市販されているヘム鉄サプリメントの殆どは、原材料に「不溶性」のヘム鉄パウダーを使用しています。
この不溶性のヘム鉄を吸収するためには、水に溶けやすくするために十分な「胃酸」が必要です。
もし、不溶性のヘム鉄パウダーが使用されたタブレットタイプのヘム鉄サプリメントが「胃」で適切に溶けなかった場合、不溶性のヘム鉄は腸内で沈殿して吸収率が落ちてしまいます。
また、そもそもタブレットタイプで時間内にきちんと溶けないものは、打錠機で圧縮されすぎてヘム鉄の分子構造が壊れている可能性も高くなります。
ですので、ヘム鉄の質やサプリメント自体の質も含めて、タブレットタイプのヘム鉄サプリメントはオススメできません。
もし、どうしてもタブレットタイプのヘム鉄サプリメントを購入する場合は、時間内にきちんと崩壊しているかを検査しているものを選ぶようにして下さい。
といっても、低価格のタブレットタイプのヘム鉄サプリメントで崩壊試験まで行われているものは皆無です。
この崩壊試験は医薬品を製造する品質となるため、製造には非常に多くのコストがかかります。(日本薬局方 一般試験法<6.09>崩壊試験法では、20分以内に崩壊)
このようなコストをかけてタブレットタイプのヘム鉄サプリメントを製造するよりかは、初めからカプセルタイプで製造した方がシンプルかつ安価で製造できます。よって、タブレットタイプのヘム鉄サプリメントを積極的にオススメする理由が殆どありません。
唯一オススメできるものとしたら、ケンビックスにあるお子さん向けに噛んで食べられるチュアブルタイプのヘム鉄サプリメントくらいですね。こちらも製造にかなりのコストがかかるためか、カプセルタイプよりも価格が高くなっています。よって、カプセルが飲めないお子さんなど、どうしてもという理由がある方以外はカプセルタイプがオススメです。
このように、同じヘム鉄含有量でも、カプセルタイプかタブレットタイプかで、その質も吸収率も大きく変わってきます。
分子栄養学を実践する際は、このような製品の違いや特徴をよく理解し、適切な製品を選べるようになる事が最も重要です。
サプリメントは、どれも一緒ではありません。飲んでも吸収されなければお金の無駄になります。
分子栄養学を正しく実践していくためにも、栄養素の化学的特性や違いなどをよく学び、実践していってください。
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