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フェリチン鉄は、非ヘム鉄の中でもヘム鉄と同等に安全で、吸収率が高いと言われています。

 

でも、実際に試してみたらイマイチだったという経験はありませんか?

 

吸収率が良いとされているフェリチン鉄ですが、実際の所はそうでもないかもしれません。

あまり語られていない、フェリチン鉄のもう一方の側面について深掘りしてみましょう。

 

 

フェリチン鉄、吸収率が高いは本当か?

 

まず、吸収率が高いと言われているフェリチン鉄ですが、実際には吸収率が高いとする結果と、低かったという結果が混在しています。

 

例えば、次の論文では、フェリチン鉄の吸収率は非常に低いという結果になっています。

 

データは、精製されたフェリチンの吸収性が非常に低いことを示しました。正常および鉄欠乏症の被験者の両方でその幾何学的平均吸収率は1.9%であり、フェリチンとアスコルビン酸鉄の吸収の平均比率は、トウモロコシ、米、ほうれん草、黒豆などの吸収の低い野菜に見られる比率と類似していました。9,28 

 

Hussainらが19658年に実施したフェリチン鉄の吸収に関する以前の研究では、正常および鉄欠乏の被験者の平均吸収率は6%と11%でした。この食品はトマトジュースと一緒に投与されたので、車内に存在するアスコルビン酸は、この吸収の強化の原因である可能性があります。

 

限られた数の個人で行われた以前の研究では、デスフェリオキサミンを投与するとフェリチンからの吸収が著しく減少し、アスコルビン酸の添加によって吸収が強化されることが示されています。10 フェリチンに100mgのアスコルビン酸を投与した場合、同様の結果がここで見られました。興味深いことに、総鉄含有量の95%がフェリチンである魚29(鯛種)からの鉄吸収も、フェリチンと同じ割合でこれらのキレート剤の影響を受けています。

 

フェリチンからの鉄吸収は、肉と一緒に投与すると著しく増加したが、その吸収は肉からの吸収の約半分に過ぎなかった。この標識された肉の総放射性鉄の約90%はヘモグロビンとミオグロビンの形で6であるため、この実験のフェリチンはヘムプールと交換しませんでした。同じ食事で投与された精製フェリチンと肝臓を使用した研究についても、同じ議論が有効です。

 

提示されたデータによると、フェリチンの鉄吸収は、植物性鉄と同じ割合で鉄吸収を増強または減少させる物質の影響を受けます。しかし、この鉄化合物は、一緒に投与すると、植物性食品の鉄と完全に混合されません。

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006497120681770#bib8より引用

 

 

その吸収率は、一般的な非ヘム鉄と同程度の2〜5%ほどです。これでは、とても吸収率が高いとは言えません。

 

では、なぜ吸収率が一般的な非ヘム鉄と同程度となってしまったのでしょうか?

 

考えられる原因は、フェリチン鉄が胃酸や消化酵素などの影響を受けて「アポフェリチン」が分解され、ただの非ヘム鉄(三価の鉄)になってしまったのではないかということです。

 

 

フェリチンは、「アポフェリチン」というタンパク質で出来た「殻」の中に、鉄分子が貯えられた構造をしています。

 

このアポフェリチンは比較的、熱や胃酸、消化酵素には耐性があるとされていますが、実際には摂取後に胃酸や消化酵素などによってアポフェリチンが分解され、殻の中から鉄分子が出てきて「ただの非ヘム鉄」として吸収されている可能性があります。

 

これは、論文中にもあるように、フェリチン鉄がキレート剤など吸収阻害要因の影響や、ビタミンCなど吸収促進要因の影響を受けていたという結果からも分かります。

 

通常、フェリチン鉄はアポフェリチンという殻に包まれていることから、吸収阻害要因や吸収促進要因の影響をほとんど受けないとされています。

 

しかし、これが吸収促進や吸収阻害の影響を受けていたとなれば、それは「フェリチン鉄」ではなく、ただの「非ヘム鉄」になってしまっているということです。

 

フェリチンを包むアポフェリチンは、比較的熱や酸に強いと言われていますが、完璧ではないということなんですね。

 

 

実際に、このことを知ってか、最近では耐酸性コーティング、腸溶性コーティングを行ったフェリチン鉄サプリも出てきています。

 

このような加工が行われるということは、当然、メーカーは胃酸や消化酵素などの影響によりフェリチン鉄がただの非ヘム鉄化してしまうことを知っていてやっているということです。

 

つまり、吸収が良いと思ってフェリチン鉄を摂っていたら、実際には消化されて吸収率の低い「非ヘム鉄」になっていた可能性があるということなんですね。

 

 

また、錠剤型に打錠したフェリチン鉄は非ヘム鉄化する可能性が高くなります。

 

この理由は、フェリチンは立体構造を持つタンパク質なので、このタンパク質が物理的に押しつぶされることによって、その立体構造が壊れ、ただの非ヘム鉄化する可能性が高くなるためです。

 

フェリチンは、「アポフェリチン」という立体構造を持つタンパク質です。イメージとしては、「たまご」をイメージしてみてください。

 

 

フェリチン鉄は、この卵の中に鉄分子が貯えられており、このたまごの殻ごと吸収されることで高い吸収率をほこります。

 

しかし、いくら構造が安定していると言っても、圧力をかけすぎてしまえば、このタンパク質構造が物理的に変形したり壊れてしまいます。

 

タンパク質構造が変形したり壊れてしまうと、その安定性が失われて胃酸や消化酵素の影響を受けやすくなります。

 

 

そのため、フェリチン鉄は非常にデリケートな栄養素です。

 

このデリケートな栄養素を「打錠機」で圧縮して固める際に圧縮しすぎてしまうと、フェリチン鉄のタンパク質構造が変形したり壊れたりするリスクが高まります。

 

例えば、錠剤製造で一般的に使用される圧縮力は80~300 MPa(カプセル充填時は0.5~5 MPa程度)に達し、これはフェリチン鉄のタンパク質立体構造にダメージを与え、構造安定性が失われたり、中の鉄イオンを遊離させたりする原因となります。

 

イメージとしては、バケツの中にたまごをいくつも入れ、その上から賦形剤となる砂糖を敷き詰めて上からプレスするような感じです。

 

 

強力な力でプレスされたら、たまごの殻が割れて潰れてしまいますよね。この潰れた卵には、もはや卵としての価値はありません。

 

フェリチン鉄も同じで、タンパク質の立体構造が潰れてしまうと「非ヘム鉄化」してしまいます。

 

これを防ぐためには、打錠機の圧縮力を調節し、タンパク質の立体構造にダメージを与えないようにする設計力と技術力が必要です。

 

このような設計と製造には多くのコストがかかるため、一般的なサプリメントの多くはこのようなことを殆ど考慮していません。

 

このようなサプリメントの設計や製造方法によっても、フェリチン鉄の吸収率は大きく低下すると考えられます。

 

 

市販されているサプリメントの4割は溶けずに吸収されていない

また、タブレットタイプのもう一つの問題として、時間内に「溶けない」サプリメントが多い事があげられます。

 

例えば、国民生活センターが調査した結果では、市販されているサプリメントのうち、およそ4割のサプリメントが既定の時間内に崩壊しなかったという調査結果を発表しています。

 

 

 

 

 

 

国民生活センターより引用

 

サプリメントに含まれる栄養素は、胃や腸で適切に溶けないと吸収されないものがあります。この規定時間内にサプリメントが溶けない場合、摂取した栄養素は吸収されずにそのまま排泄されてしまうことになります。

 

この中でも、特に溶けないリスクが高いのが「タブレット」タイプと「ソフトカプセル」タイプです。

 

国民生活センターの調査結果では、タブレットタイプの素錠とコーディング錠でおよそ4割〜5割が規定時間内に溶けないという結果になりました。

 

これは、タブレットタイプでは打錠機によって圧縮して固めて製造するため、圧縮しすぎると硬くなりすぎて溶けにくくなってしまうためです。(同時に崩壊性試験も実施されていない)

 

このことから、特に崩壊性試験を行っていないもの、腸溶性コーティングを行っているフェリチン鉄サプリメントは、溶けていない可能性があります。

 

 

フェリチン鉄の吸収率は硫酸第一鉄と同程度と言われていますが、それはあくまで論文上、実験結果での吸収率です。

 

実際のサプリメントとして加工した場合の吸収率ではありません。

 

フェリチン鉄の吸収率が高いことと、サプリメントがきちんと時間内に崩壊して吸収されるかどうかは、全く別問題です。

 

また、サプリメントのフェリチン鉄が胃で分解されず、アポフェリチンの形を保った状態でエンドサイトーシスで吸収されるかどうかも別問題です。

 

サプリメントに配合された栄養素の消化・吸収率はそのサプリメントの設計・製造の違いによっても大きく異なります。

 

広告に書かれていた内容を鵜呑みにせず、自身でサプリメントの善し悪しを判断出来るよう知識をつけていきましょう。

 

 

 

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