鉄分は、成人の体内に3~5g存在する、最も重要なミネラルの1つです。

 

鉄分の主な働きは、酸素を全身に運搬する、細胞がエネルギーを生み出すのを助ける、コラーゲンの生成や免疫機能をサポートする、神経伝達物質の生成に関わるなど多彩な働きがあります。

 

鉄分が不足すると、貧血になってめまいが起きたり、疲れやすくなったり、思考力低下、イライラしやすくなる、肌や髪のトラブルなど、身体の様々な不調の原因になります。

最近では、鉄不足が発達障害やうつ病などメンタルなどの不調とも関連があることが言われるようになりました。

 

このことから、不調の改善のために鉄サプリを飲んでいる方も多いと思います。

 

ですが、鉄分や鉄サプリは危険と言われていたり、吸収率の違いなどがあったりして、正直どれが正しくてどれが良いのか分からなくなっていませんか?

 

また、サイトや人によって言っていることが違っていて、ワケが分からなくなっていませんか?

 

鉄分については複雑なので、間違った情報も多くあります。そこで、今回は鉄分の基本として必ず知って起きたい、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の違いを、分子栄養学のプロがわかりやすく解説します。

 

 

まず、鉄分には大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。鉄分を理解する上で、この2つの違いをよく理解することが大切です。

 

 

ヘム鉄とは、肉や魚に含まれる動物性の鉄分のことです。肉や魚には主に「ヘモグロビン」や「ミオグロビン」として含まれていて、赤身の肉や魚に多く含まれています。

 

ヘム鉄の例

  • ヘモグロビン
  • ミオグロビン
  • 赤血球に含まれるヘモグロビン
  • サプリメントとして売られているヘム鉄

 

ヘモグロビンは、主に血液中で酸素を運ぶ役割をし、ミオグロビンは主に筋肉に含まれていて酸素を貯蔵する役割を担っています。赤身の肉に多く含まれているのは「ミオグロビン」の方です。

 

もう一方の非ヘム鉄は、ホウレン草や豆類などの植物に含まれている鉄です。植物では、主に「フェリチン」として含まれています。

 

 

非ヘム鉄の例

  • フェリチン鉄
  • 無機鉄 (二価鉄(Fe2+)、三価鉄(Fe3+))
  • クエン酸鉄、硫酸鉄など病院で処方される鉄剤
  • アミノ酸キレート鉄などのキレート鉄

 

 

ヘム鉄と非ヘム鉄と言われても分かりにくいと思いますが、某有名人の言葉を借りて言えば、

 

俺か、俺以外か

 

という感じです。

 

ヘム鉄が「俺」だとして、それ以外は「俺以外」である非ヘム鉄です。この言葉からも分かるように、ヘム鉄は鉄界の「帝王」なんですね。

 

非ヘム鉄はいろいろ種類があって特性が異なるのですが、ここでは分かりやすくするために硫酸鉄などの無機鉄を非ヘム鉄として解説していきます。

 

 

この2つは吸収率が異なっていて、ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いという特徴があります。この理由は、ヘム鉄が「ポルフィリン環」と呼ばれるタンパク質のカプセルに包まれているのに対し、非ヘム鉄はこのタンパク質のカプセルが無く、鉄分子がむき出しになっているためです。

 

 

 

上の図からも分かるように、アミノ酸で構成された「ポルフィリン環」に、二価鉄であるFe2+が真ん中に組み込まれることでヘム鉄が作られています。

 

ヘム鉄はこのタンパク質のカプセルのようなもので守られていることから、タンニンやフィチン酸など鉄吸収を阻害する物質の影響を受けにくいという特徴があります。

 

また、ヘム鉄はヘム鉄専用の吸収経路である「ヘムトランスポーター」と呼ばれる吸収経路から吸収されるため、吸収率にも優れているという特徴があります。

 

 

 

逆に、「非ヘム鉄」では鉄分子がむき出しとなっているため、フィチン酸やタンニンなどと結合して吸収が阻害されてしまいます。

 

また、食品中の非ヘム鉄は主に三価の鉄であるFe3+の状態で存在しています。この三価の鉄は基本的に不溶性で水に溶けにくく、胃酸など酸性の環境で可溶性(水溶性)となります。

 

そのため、鉄を吸収するためには胃酸など酸性の環境下が必要です。そして、胃酸によって水に溶けたとしても、三価の鉄(Fe3)の状態では吸収出来ないため、一度二価鉄(Fe2+)に変換する必要があります。

 

この理由は、非ヘム鉄を吸収する経路が、DMT-1という二価の金属イオンしか吸収出来ないためです。

 

このような変換が必要なことから、非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が劣るという特徴があります。ヘム鉄の吸収率が10%〜30%程度あるのに対し、非ヘム鉄では僅か5%以下しかありません。

 

 

もう少しわかりやすく説明すると、「ヘム鉄」はお金が金庫に入っているような状態、非ヘム鉄は金庫に入っておらず、むき出しの状態で存在しているような感じです。

 

 

ヘム鉄は金庫にお金が入っている状態なので、泥棒などから盗まれてしまうリスクが少なくなっています。

 

これが、ヘム鉄がタンニンやフィチン酸など鉄吸収阻害の要因を受けない大きな理由です。

 

 

対して、「非ヘム鉄」ではお金がむき出しの状態になっているので、泥棒などに盗まれてしまうリスクが非常に高くなっています。例えば、1000万円分のゴールドを家の前の路上にそのまま置いておいたら、無くなってしまうリスクが高いですよね。

 

こんな感じで、非ヘム鉄はタンニンやフィチン酸など外部の影響を受けて吸収阻害が起こりやすくなっています。

 

 

 

 

 

更に、「非ヘム鉄」である三価の鉄(Fe3+)は一度二価鉄であるFe2+に変換しないと吸収することが出来ません。

 

このイメージとしては、Fe3+が「ゴールド」だとして、Fe2+が「現金(紙幣)」と考えれば分かりやすいかと思います。

 

通常、ゴールドそのものを持ってお買い物に行っても、お店では使えませんよね。お店で使うためには、基本的に「現金」を使う必要があります。

 

三価の鉄であるFe3+は「ゴールド」のようなもので、そのままではお店で使えません。使うためには、一度換金して「紙幣」に変える必要があります。

 

この紙幣に替えることを手伝ってくれるのが、「胃酸」や「ビタミンC」「乳酸」「鉄還元酵素」等です。

 

「胃酸」や「ビタミンC」「乳酸」「鉄還元酵素」は、この「ゴールド」から「紙幣」に変える事を手伝う換金屋さんみたいな感じと思って頂くと分かりやすいかと思います。

 

 

ちなみに、この「ゴールド」から「紙幣」に換金するとき、一度に大量に換金しようとすると、ガラの悪い連中が湧いて出てきてあなたをタコ殴りにします。

 

これがいわゆる「活性酸素の発生」と言われるものです。活性酸素が発生すると胃粘膜を傷つけてダメージを与えてしまいます。鉄の摂取が危ないと言われているのは、無機の三価の鉄(Fe3)が二価の鉄に変換される際に、活性酸素を発生しやすいためです。

 

そのため、分子栄養学の実践では無機の非ヘム鉄が大量に含まれている「鉄剤」の利用はお勧めしていません。

 

 

 

こんな感じで、非ヘム鉄は現金むき出しの状態かつ、換金が必要なため、非常に吸収効率が低い鉄です。

 

一方で、ヘム鉄は金庫に紙幣が入っている状態のため、非常に安全性が高く、そのまま回収して利用することが出来ます。

 

 

ヘム鉄と非ヘム鉄の特徴をまとめると次のようになります。

 

 

ヘム鉄

  • ポルフィリン環に包まれていることから、タンニンやフィチン酸など吸収阻害の影響を殆ど受けない
  • 反対に、胃酸やビタミンCなど、非ヘム鉄の吸収促進要因による影響も受けない
  • ヘムトランスポーターという専用の吸収経路からヘム鉄(金庫ごと)ごと吸収される
  • 活性酸素を発生させず、身体に優しい
  • 上記理由から、非ヘム鉄に比べて吸収率が高い。(10%〜30%)
非ヘム鉄
  • 鉄分子がむき出しの状態のため、タンニンやフィチン酸などによる吸収阻害を受ける
  • 胃酸やビタミンCなどのサポートによってFe3+からFe2+への変換が必要
  • DMT-1と呼ばれるミネラル共通の吸収経路から吸収されるため、他のミネラルからの吸収阻害も受けやすい
  • 非ヘム鉄を一度に大量に摂取すると、活性酸素が発生して胃粘膜にダメージを与えてしまうことがある
  • 上記理由から、ヘム鉄に比べて吸収率が低い(5%以下)
 
このように、ヘム鉄と非ヘム鉄ではその特徴が大きく異なります。分子栄養学を実践する際は、まずはこの2つの違いをよく理解することが大切です。
 
ちなみに、ネット上の記事ではヘム鉄や非ヘム鉄の違いで間違った解説がされているところが多く見受けられます。
 
次のように書かれていることは、間違った情報です。
 
 
ヘム鉄に関するよくある誤情報
  • 非ヘム鉄のFe3+が還元されるとヘム鉄になる
  • ヘム鉄を大量に摂取すると鉄過剰症になる
  • ヘム鉄を摂取するとフリーラジカル(活性酸素)が発生する
  • ヘム鉄を摂ると胃痛や吐き気、ムカつきなどの原因になる
 
上述したように、ヘム鉄は金庫に入った現金のように、タンパク質のカプセルに包まれています。そして、吸収される際はそのまま吸収されるため、活性酸素の発生源にはなりません。また、鉄の吸収は厳密に行われているため、鉄過剰症になるリスクも殆どありません。
 
鉄に関しては誤情報が非常に多くなっていますので、情報質には気をつけてください。
 
 

 

 

 

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