ネット上には、「ビタミンEをサプリメントで摂取するとガンになる」「ビタミンEはガンに効果が無い「脂溶性サプリメントは体内に蓄積するから危険」などと言われていることがあります。
例えば、日本微量栄養素情報センターでは、ビタミンEとガンについて次のように書かれています。
癌
多くの癌はフリーラジカルによるDNAの酸化損傷に起因すると考えられている。癌予防の研究の多くはα-トコフェロールによるフリーラジカルの消去能に焦点を当てている。しかし、α-トコフェロール摂取と肺癌・乳癌の発症率に有意な相関が認められないことがいくつかの大規模前向き研究で明らかになった(4)。77,126人の男女を対象としたコホート研究で、10年間にわたるビタミンEサプリメントの使用は常習喫煙者の肺癌リスクを増大させることが示された(35)。これまでに、ビタミンE摂取が癌のリスクに影響しないことがほとんどの臨床試験で明らかになっている。Women’s Health Studyに参加した女性39,876名の無作為化プラセボ対照試験(RCT)によって、10年間にわたって一日おきに600 IUのRRR-α-トコフェロール(400 mgに相当)を摂取しても癌の発症率と癌による死亡率に影響しないことがわかった(23)。ビタミンE摂取は乳癌、肺癌、大腸癌のような特定組織における癌の発症率にも効果がなかった。さらに、最近の12のRCTをまとめたメタ分析でもビタミンE摂取は癌の発症率、癌による死亡率、総死亡率に影響がないと結論されたことが近年報告された(36)。
RCTにおけるα-トコフェロールの前立腺癌に対する効果が注目を集めている。α-トコフェロールの肺癌に与える影響を調べたプラセボ対照介入試験(試験名称:ATBC)で、毎日50 mgの合成α-トコフェロール(25 mgのRRR-α-トコフェロールに相当)を喫煙者が摂取すると前立腺癌の発症率が34%低下することがわかった(37)。この試験と他の3つのRCTを統合したメタ分析によって、ビタミンEサプリメントが前立腺癌のリスクを15%低減させるという結果が得られた(35)。しかし、その後に行われた2つの大規模無作為化プラセボ対照介入試験では、ビタミンEを摂取している健康な男性において前立腺癌に対する有益性も有害性もないことがわかった。Physicians’ Healthy Study II(PHS II)では、8年間一日おきに400 IUの合成ビタミンE(180 mgのRRR-α-トコフェロールに相当)を摂取した50歳以上の14,641人の健康な男性に対して追跡調査をした(38)。これらの男性においてビタミンE摂取は前立腺癌と全ての部位の癌に対して効果がなかった。50歳以上の35,533人の健康な男性に対して前立腺癌の予防効果がないことが実証されたため、α-トコフェロールとセレニウムの同時摂取とそれぞれの単独摂取による大規模無作為化プラセボ対照介入試験(試験名称:SELECT)は近年中止となった(39,40)。この試験の5.5年後の追跡調査では、ビタミンE(一日400 IUのall-rac-α-トコフェロール)を単独摂取した被験者は統計学的に有意ではないが前立腺癌のリスクが上昇した(41)。試験中止後の解析(7年の追跡調査の中央値)によって、ビタミンE摂取群はプラセボ群と比較して前立腺癌のリスクが17%高いことが示された(42)。
長いので要約すると、多くの大規模研究や臨床試験では、ビタミンEの摂取が肺癌や乳癌など、さまざまな種類の癌の発症率や死亡率に影響しないか、もしくは癌予防に役立つという明確な根拠はなく、むしろ特定の癌(前立腺癌など)のリスクを高める可能性があると指摘されています。
このような結果を見ると、
ビタミンEって危険なんだな、飲まない方が良いな
と思いますよね。
ですが、一概にこのような研究結果や記事を鵜呑みにしてはいけません。
なぜなら、ビタミンEが危険と言われている研究結果や記事のほとんどが、「d-α-トコフェロールのみ」か、合成のビタミンEである「dl-α-トコフェロールのみ」を使用したものだからです。
前回も解説しましたが、ビタミンEには「トコフェロール」と「トコトリエノール」に大別され、その中でも各4種類(α・β・γ・δ)の同族体が存在します。
この中で、がんリスクの低減や予防が期待出来るのは、スーパービタミンEと言われる「トコトリエノール」の方です。
トコトリエノールには、ビタミンAと同様に腫瘍細胞のアポトーシス(自然死)を誘導し、腫瘍抑制作用があると言われています。
そのため、スーパービタミンEのトコトリエノールは、ビタミンAとともに今世紀最大のガン予防サプリとしての可能性を秘めている栄養素の1つです。
では、先ほどの研究結果や記事に使用されていたビタミンEは何だったでしょうか?
ビタミンEの研究では、「d-α-トコフェロールのみ」か、合成のビタミンEである「dl-α-トコフェロールのみ」を使用した研究結果を報告しています。
つまり、スーパービタミンEであるトコトリエノールは研究では使用されていません。
このような単品の成分のみで行われた研究結果だけで、ビタミンEが危険と判断してしまうのは、かなり早計と言えます。
また、大小ありますが基本的に食品には「トコフェロール」と「トコトリエノール」の各4種類(α・β・γ・δ)が複合的に含まれており、これら8種類のビタミンEがそれぞれ助け合いながら働いています。
何か特定のトコフェロールのみしか含まれていないなんて事はまずありません。
ビタミンEは、トコフェロールやトコトリエノールなど複数を同時摂取することによって、体内のビタミンEが高濃度で維持されます。
これに加え、体内の活性酸素などによる影響で酸化したビタミンEは、ビタミンCによって再生され、再度働くことが出来るようになります。ビタミンEの摂取量に応じて、適切にビタミンCを摂取することも必要です。
このような前提を無視して、「d-α-トコフェロールのみ」や、合成のビタミンEである「dl-α-トコフェロールのみ」を大量に摂取することは、ビタミンE本来の働きが出来ず、生体内利用率は低いと考えられます。
また、脂溶性ビタミンは体内で蓄積するから危険と言われていることがありますが、ビタミンEに関しては体内に蓄積しにくいビタミンです。
過剰なビタミンEや、酸化して働きを失ったビタミンEは、肝臓で速やかに代謝され、尿や糞と共に排泄されます。
そのため、体内で蓄積したビタミンEが何か悪さをするということは基本的に無いと考えられています。(合成ビタミンEを除く)
ビタミンEが危険、ガンになると主張している記事では、この「d-α-トコフェロールのみ」や、合成のビタミンEである「dl-α-トコフェロールのみ」を使用した研究結果を参考に、ビタミンEは危険と断定してしまっているものがほとんどです。
今現在、人へのトコフェロールやトコトリエノールなど複数の同族体を用いたビタミンEの詳しい研究結果はまだありません。
今後、トコフェロールやトコトリエノールなど複数の同族体を用いた研究が行われれば、結果も大きく変わってくることも予想されます。
そのため、現在の研究結果のみでビタミンEが危険と判断することは出来ません。
もし、「ビタミンEのサプリメントを飲むとガンになる」「危険だ」と言っている人がいたら、
「それは何のビタミンE同族体の話ですか?」
と聞いてみて下さい。答えによってその人のレベルが分かります。
また、ネット上でビタミンEの危険性について書かれた記事を見つけたら、その中に「d-α-トコフェロール」や「ビタミンE」と書かれていないか注意深く読んでみて下さい。
「ビタミンE」とだけ書かれていた場合は、基本的にd-α-トコフェロールまたはdl-α-トコフェロールをさします。
このようなd-α-トコフェロールや「ビタミンE」という特定の同族体のみでビタミンEの危険性について解説されていた場合は、情報が偏っている可能性が高いので注意が必要です。
そもそも、ガンに関しては7割以上が「生活習慣」が原因と言われています。ビタミンEを飲むだけで無く、運動や食事、睡眠など生活習慣の改善も必要です。
特定のサプリメントや栄養素の摂取のみでがんが治るとか、予防が出来るとかは、まずあり得ません。
サプリメントや栄養は、薬のように飲むものでは無く、身体を作るための材料として摂るものです。
ネット上には、このあたりの認識が間違っているものや、危険を煽る偏った情報も多くあります。鵜呑みにしないようご注意下さい。
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