今回は、グルタミン・グルタミン酸の違いと代謝の基本です。
分子栄養学の基礎レベルとなるお話しですが、難しいので興味がある方だけ読んで頂けたらと思います。
まず、アミノ酸の中には「グルタミン」と「グルタミン酸」があります。
この2つは似ているようで全く違うアミノ酸です。
グルタミン酸は、旨み調味料などとして使われたり、味噌や醤油などに多く含まれているアミノ酸ですね。体内では「アラニン」や「グルタミン」など他のアミノ酸の合成材料として使われるほか、グルタチオンの合成やアンモニア代謝、小腸粘膜細胞のエネルギー源として利用されています。
一方で「グルタミン」の方は、豚肉やレバー、魚、牛乳、卵などに含まれているアミノ酸です。グルタミンは体内で最も多いアミノ酸で、その多く(60%〜70%)が「骨格筋」に貯えられています。
グルタミンはアンモニアの供給源としても働いていて、血液が酸性に傾くと腎臓でグルタミンからアンモニアを生成して酸を中和し、体液のペーハーを一定に保つ役割を担っています。
この他、小腸粘膜細胞でグルタミンからグルタミン酸に分解されることで、腸のエネルギー源として利用されています。
グルタミンは肉や魚、牛乳や卵に多く含まれていますが、食品から必要分を摂取するのは非常に難しいアミノ酸です。
その理由は、グルタミンは水や熱、酸性化に弱く、肉や魚の多くが過熱調理を必要とするためです。
グルタミンは40℃以上に加熱されるとペプチド結合が切れてしまい、変性してグルタミンの効果が失われてしまいます。
肉や魚、卵の多くが過加熱調理を行うため、加熱調理を行った食品からのグルタミン摂取は非常に難しくなります。
反対に、加熱をしない「刺身」や「生卵」などではグルタミンが変性しません。そのため、グルタミンを摂取する方法としては「生」で食べられる食品から摂取するか、サプリメントで摂取することがオススメです。
ちなみに、醤油や味噌等には「グルタミン酸」が多く含まれています。
この理由は、タンパク質に含まれる「グルタミン」が麹菌などが出す「グルタミナーゼ」という酵素によって「グルタミン酸」に加水分解されるためです。
他にも、「グルタミン」を水に溶かして放置したり加熱をすると、加水分解が促進されて「グルタミン酸」と「アンモニア」が生じます。
・「グルタミン酸」と「アンモニア」が結合したものが、「グルタミン」
・「グルタミン」から「アンモニア」が離れると、「グルタミン酸」になる
という感じです。
この2つは似ているようですが働きが全然違うものですので、まずはこの2つの違いをよく理解しておきましょう。
次に、グルタミン・グルタミン酸代謝の基本です。
食品やサプリメントで摂取した「グルタミン」「グルタミン酸」は、主に小腸絨毛細胞のエネルギー源、免疫細胞のエネルギー源として利用されます。
また、外科的治療や高ストレス下では副腎から「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンが分泌され、骨格筋から大量のグルタミンが放出されます。このようなときに放出されるグルタミン量は健常な人と比べて50%にも増し、腸や免疫細胞のエネルギー源として利用されます。
具体的な代謝メカニズムとしては、小腸絨毛細胞に取り込まれた「グルタミン酸」はそのまま後述する小腸粘膜細胞のエネルギー源として利用され、「グルタミン」の場合は「グルタミナーゼ」という酵素によって「グルタミン酸」と「アンモニア」に分解されます。
発生したアンモニアは非常に毒性が強いため、肝臓に運ばれて尿素回路によって無害な「尿素」へ変換し、尿として排泄されます。
また、骨格筋など肝臓以外で発生したアンモニアは「グルタミン酸」や「アスパラギン酸」と結合し、それぞれ「グルタミン」や「アスパラギン」に変換されます。生成したグルタミンやアスパラギンは肝臓に運ばれ、そこで「グルタミナーゼ」や「アスパラギナーゼ」の働きによってアンモニアを分離し、尿素回路で処理されるほか、腎臓に運ばれてそこで「グルタミナーゼ」や「アスパラギナーゼ」の働きによってアンモニアを分離し、尿中に排泄されます。
グルタミン酸やアスパラギン酸は、アンモニアを無毒化する働きがあることから、アンモニアの解毒にも関係しているアミノ酸です。
そして、「グルタミン」から得られた「グルタミン酸」は、「GPT」という酵素によって「NH2(アミノ基)」が取り外され、「α-ケトグルタル酸」に変わります。
NH2(アミノ基)は、プロリン、アラニン、アルギニンなど他のアミノ酸の合成に使われて血液中に放出されます。
GPTは「ALT」とも呼ばれている酵素で、血液検査の項目などで肝臓の状態を見るときの項目としてよく目にするものですね。
具体的には、GPTは「グルタミン酸 ピルビン酸 トランスフェラーゼ」といって、「アラニン」と「グルタミン酸」を相互に変換する働きをしています。
アラニンにあるアミノ基をαケトグルタル酸に渡すと、アミノ基を渡したアラニンはピルビン酸に変わり、アミノ基を受け取ったαケトグルタル酸はグルタミン酸になります。この逆も可能で、グルタミン酸のアミノ基をピルビン酸に渡すと、受け取ったピルビン酸はアラニンに、アミノ基を渡したグルタミン酸はαケトグルタル酸になります。
このアミノ基の受け渡し(転移)を担っているのがGOTやGPTですね。これ以外にも、アラニンからグルコースを作り出す「糖新生」にもGPTが関係しています。
GPTの働きによって作られた「α-ケトグルタル酸」は、エネルギーを作るための「クエン酸サイクル」に取り込まれ、エネルギーの電池である「ATP」を産生するほか、様々なアミノ酸に変換されて使われます。
グルタミン・グルタミン酸は小腸絨毛細胞でこのエネルギー代謝やアミノ酸代謝・合成を促進し、小腸粘膜細胞の活発な増殖を促します。また、ムチンなど粘膜を守る成分の糖タンパク質生成を促進して腸粘膜を守ります。
つまり、グルタミンを摂取することによって、エネルギー代謝が行われたり、いろいろなアミノ酸が産生されたりするというわけなんですね。(ほとんどのアミノ基転移反応にαケトグルタル酸が必ず関わっているため)
腸粘膜は、食べないダイエットやファスティングなどの絶食状態にあると、腸粘膜細胞が弱って絨毛が扁平化したり薄くなったりします。
このような状態では、腸粘膜のバリア機能が低下して細菌が血管に入りやすくなったり、分子の大きな異物が血管に入りやすくなります。(リーキーガット症候群)
また、抗がん剤など化学療法時は粘膜などあらゆる細胞にダメージを与えてしまうため、嘔吐や下痢などの副作用が発生します。
このような時の腸粘膜の修復にも、グルタミン補給はオススメです。
なかなか難しい話しですが、グルタミンはタンパク質代謝、アミノ酸代謝の基本となるものです。
分子栄養学実践においてはこのような基礎的な知識も必要になりますので、是非学んでみてください。
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