はる かおる
 

ナンナンは、一般的な栄養学と分子栄養学、具体的にどんな違いがあると思う❓

 

ナンナン
 

うーん、食事で栄養を摂るのが栄養学で、サプリメントを使うのが分子栄養学かなぁ

 

はる かおる
 

そういうイメージがあるけど、実は全然違うんだよね

 

ナンナン
 

えっ・・・じゃあ、とにかく沢山サプリメントで摂りまくるやつ❗

 

はる かおる
 

それはメガビタミンだね。それも分子栄養学とは違うんだよ。栄養学と分子栄養学の大きな違いは、消化吸収能や病態に応じた摂取量、薬との飲み合わせなど様々な個人差を考慮するかや、食べ物に含まれる栄養素の質や劣化、損失量などを考慮するかどうかなんだ

 

分子栄養学と聞くと「食事の改善や大量のサプリメントを飲んで病気を治す療法」というイメージがあるかもしれません。

 

しかし実は、これらは間違った分子栄養学の認識です。

 

分子栄養学でサプリメントを用いる理由は、食事からでは十分に摂取出来ない栄養素をピンポイントで効率よく摂取するためです。これには、栄養素の質や劣化などの損失量を考慮することに加え、個人個人にあわせた「至適量」の栄養補給を行う事も含まれます。

 

つまり、分子栄養学でサプリメントを用いる理由は、至適量の栄養補給を行うための道具として用いているということなんですね。

 

例えば、一般的な栄養学では栄養素の質や劣化、損失量などは考慮しませんが、分子栄養学ではこの違いを考慮します。

 

 

具体的な例として、調理における栄養素の変化や損失量を見てみましょう。

 

栄養素は光や酸素、温度や湿度などで酸化、劣化、分解したり、栄養素同士が反応したりしてしまうものがあります。よく、調理の際に野菜を茹でるなど加熱して食べた場合、水溶性ビタミンのビタミンCやビタミンB、カリウムなど栄養素の一部が失われてしまうということを聞いたことがありませんか?

 

これは、調理される過程で水や油に栄養素が流れ出てしまったり、熱によって分解されたりして、その一部が失われてしまうためです。

 

また、調理をする前の段階であっても、食品の保管状況によっては栄養素が酸化、分解して効力を失ってしまう場合もあります。特に、野菜や果物の一部には、冷蔵庫など低温で保存すると細胞が変質し、水っぽくなったり栄養価が低下したりするものがあります。このような低温下におけるダメージを「低温障害」と言います。

 

例えば、次のグラフはサツマイモをそれぞれ7.5℃、15℃で保存し、アスコルビン酸(ビタミンC)の含有量の変化を調べたものです。貯蔵期間が長くなるにつれ、7.5℃で保存したものはアスコルビン酸の減少が大きく、10週後には殆ど0になってしまいました。

 

https://weathernews.jp/s/topics/201810/250165/amp.htmlより

 

このような低温障害に伴うビタミンCの減少は、パイナップルやレモン、バナナ、ナス、ピーマンなどでも確認されています。そして、一般的に家庭用冷蔵庫の野菜室は3〜8℃程度に設定されていることから、一部の野菜を冷蔵庫など低温保存していた場合、保管状況によっては栄養価の損失が進んでしまう場合があるのです。

 

このため、個人個人に必要な栄養素を食事から摂取しようとした場合、例えばビタミンCを1000mg摂ろうとしたときに、食材の保管方法や調理方法、食材の産地や摂れた時期、栽培方法などによって摂れる栄養素の量が変わってきます。これでは、必要な栄養素の量が本当に摂取出来ているかどうかの判別が出来ません。

 

加えて、ビタミンCには還元型の「アスコルビン酸」酸化型の「デヒドロアスコルビン酸」があります。両者の違いは、還元型のアスコルビン酸は活性酸素を消去する抗酸化作用があるのに対し、酸化型のデヒドロアスコルビン酸は既に酸化しているため、抗酸化作用が期待出来ない点です。

 

食品中に含まれるビタミンCは、先ほどの例のように保存状態や調理方法、温度などによって変化し、デヒドロアスコルビン酸に酸化したり分解されたり、流出したりして失われていきます。酸化型のデヒドロアスコルビン酸は体内でアスコルビン酸に還元することが出来ますが、それでもアスコルビン酸を摂取した場合と比べて抗酸化作用は期待出来ません。

 

一般的な栄養学では、アスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸の区別は無く、どちらも「ビタミンCの摂取量」としてカウントしています。これはデヒドロアスコルビン酸を摂取しても体内でアスコルビン酸に還元することが出来るためです。

 

それに対し、分子栄養学では「アスコルビン酸」のみを有効成分としてカウントしています。理由としては、分子栄養学ではアスコルビン酸における抗酸化作用によって、体内の活性酸素を消去したり、ガンの予防に役立てたり、コラーゲンの材料とするなど、栄養素が持っている働き(薬理効果)最大限に得ることが目的のためです。

 

 

それから、焼いて調理する肉においても、タンパク質の損失が大きくなることがあげられます。

「肉100gにはおよそ20gのタンパク質が含まれているから、肉を多く食べればタンパク質の摂取量が足りる」と言われていますが、実際には肉を100g食べてもタンパク質を20g摂ることは出来ません。

 

 

この「牛肉100gにはおよそ20gのタンパク質が含まれている」というのは、「生」かつ「新鮮」な状態に限った場合です。しかも、このタンパク質が100%消化・吸収出来るとは限りません。(肉に含まれる70%程度は水分です)

 

実際には焼いて調理する際の損失量や、消化・吸収出来ない損失量を考慮する必要があります。

 

例えば、肉は焼くと茶色く焦げていきますよね。このコゲは「メイラード反応」と言って、加熱によってタンパク質と糖が反応して褐色物質を生み出している状態です。

このコゲは香ばしい香りや風味、旨みを引き出す反面、最終糖化産物である「AGE」という物質に変化してしまいます。

 

このAGEは強い毒性を持ち、老化を進める原因物質とされています。特に、AGEが血管に蓄積すると、心筋梗塞や脳梗塞の一因に、骨に蓄積すると骨粗しょう症などの一員になるなど、体のあちこちで深刻な疾病を引き起こすリスクとなる物質です。

 

AGEはタンパク質と糖が過熱によって反応して出来ることから、肉をタレに絡めたりなど糖を含んだ調味料を使用することで反応が促進されます。主に「グリシン」と呼ばれるアミノ酸がメイラード反応によって失われていくことから、肉に含まれるアミノ酸のバランス(アミノ酸スコア)もそれに伴って低下し、タンパク質としての栄養価・利用効率も低下していきます。(アミノ酸の桶理論)

 

つまり、調理によって肉のタンパク質は変化し、損失していってしまうんですね。この損失量は、単純計算でおよそ50%ほど失われると考えられています。

そのため、肉を100g焼いて食べた場合、およそ10g程度のタンパク質しか摂取することが出来ない計算です。

 

また、肉は焼くとタンパク質が変性して硬くなります。硬くなった肉は消化に負担がかかり、消化・吸収効率を低下させます。

 

私達は、肉を食べたときに、肉に含まれるタンパク質を胃で分解し、アミノ酸やアミノ酸がいくつかくっついた状態の「ペプチド」と呼ばれる状態にしてから吸収しています。

 

このアミノ酸やペプチドに分解できないものは、体内に吸収することが出来ません。肉を食べても100%消化・吸収出来るわけではないので、必ず一定量の損失が発生します。また、タンパク質など栄養素をエサにする腸内細菌と常に奪い合いが発生しているため、肉をきちんと消化・吸収出来るかは胃の状態や腸内環境にも左右されます。

 

 

このようなことを考慮すると、肉を100g食べてもほんの数g程度しかタンパク質を摂取出来ないことになります。

 

一般的な栄養学ではこのような損失量は考慮せず、食品に含まれている栄養素量(未調理)=摂取量としてカウントします。つまり、牛肉100g食べたらタンパク質が20g摂れたと考えるのが栄養学です。

 

対して、分子栄養学ではこのような調理における栄養素の損失や劣化量、個人の胃の状態や腸内環境など消化・吸収能力も加味して行います。

 

具体的には、胃の状態やすい臓、肝臓などの状態を考慮し、消化吸収能が低下している方にはペプチド状態まで人工的に分解されたプロテインや、タンパク質が既に分解された「アミノ酸」からタンパク質を摂取するようオススメしています。

 

このような違いが、一般的な栄養学と分子栄養学の大きな違いです。

 

 

体内における食べ物の消化吸収は私達が思っている以上に複雑で、単に肉を沢山食べればタンパク質が十分に摂れるという訳ではありません。

 

私達の体は、私達の消化管で消化・吸収された栄養から作られています。単に栄養素の摂取量だけを考えるのでは無く、きちんと消化・吸収、利用されているかどうかを考慮することが重要です。

 

 

また、栄養の必要量は一人一人異なります。

同じ鉄欠乏性貧血でも、少しの量で足りる人も居れば、摂っても摂っても足りない人も居ます。このような栄養欠損の状態が大きい人の場合、食事から特定の栄養素を大量に摂取しようとした場合、逆に栄養バランスが崩れてしまうこともあります。

 

例えば、鉄分は赤身肉など肉に含まれていますが、その量はごく僅かです。おまけに、調理による損失や未吸収の分も加わり、貧血を改善するほどの鉄分を摂ろうとした場合、一日に1kg〜2kgもの量を食べなければなりません。

 

これだけの量の肉を食べるとなると、脂肪分など余計な栄養成分も同時に摂取することになってしまいます。そうなると、逆にむしろ栄養バランスが崩れたり、肥満や生活習慣病の原因になって、生体内の分子を乱してしまうことにもなりかねません。

 

ですので、個人差に応じた栄養摂取を安全に行う手段として、分子栄養学ではサプリメントを用います。サプリメントは、特定の栄養素をピンポイントで効率よく摂取するのに非常に便利な道具です。

 

分子栄養学で用いるサプリメントは、栄養成分が体内でしっかりと働ける形になっているもの、酸化・劣化などしていないこと、きちんと消化・吸収されるよう考慮された設計が行われていること、栄養成分が十分に配合されていること、重金属など有害な物質が含まれていないことなど、様々な基準があります。

 

サプリメントも、きちんと消化・吸収、利用されないと意味が無いため、分子栄養学を実践する際はこのような条件を満たした「分子栄養学実践専用サプリメント」を用いることが必要です。

 

 

このように分子栄養学では、より安全で、食事からでは十分に摂取出来ない栄養素をピンポイントで効率よく摂取するためにサプリメントを用いています。

 

決して、病気を治す薬の代わりとして摂取しているわけではありません。

 

栄養は、人によって必要量が異なり、食べ物の消化吸収能力や代謝能力、利用能力などが異なります。これら個体差を血液検査で調べ、至適量の栄養を補給し、乱れた生体内の分子(栄養欠損)を整えていくのが分子整合栄養医学です。

 

栄養欠損は病気の原因になったり、不調の原因になったりすることから、これらを整合することで、体が本来持っている状態=健康な状態に整えていくというのが分子栄養学の基本的な考えですね。

 

一般的な栄養学と分子栄養学では、その考え方や行い方も全く異なりますので、この違いはしっかりと認識しておきましょう。

 

他にも、分子栄養学では薬との飲み合わせや、病態に応じた摂取量なども考慮します。このあたりについてはまた次回解説しますね。

 

 

ナンナン
 

なるほど。栄養は単に摂取するだけじゃダメで、きちんと消化・吸収、利用されて初めて意味があるんだね。

一般的な栄養学は、栄養素の損失量や消化吸収能は考慮しないけど、分子栄養学は考慮するのが違いか・・・

 

はる かおる
 

そうそう。だから、「この食材にはこの栄養素が含まれている」っていうだけでは、分子栄養学は実践できないんだよ。

栄養の劣化や損失、消化吸収などもトータルで含めて、サプリメントを利用した方が安全で効率が良いからサプリメントを利用しているんだ。このサプリメントも、何でも良いって訳じゃないから気をつけてね

 

 

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