低血糖症を改善するにはまず貧血改善から! ただし、無闇に鉄を補給するのは危険です!
貧血は低血糖症と関係がありますので、低血糖症を改善させるためにはまず貧血改善が優先です。ただ、貧血改善と言っても、単に鉄を補給すれば改善出来るわけではありません。間違った鉄分補給や方法だと、逆に身体にダメージを与えてしまう原因になります。
先ほども解説したように、腸内にカンジダ菌が多く増えている状態では、鉄分の補給が逆効果になる事もあります。また、活性酸素を発生させて逆に身体にダメージを与えてしまうこともあります。そうならないためにも、安全な貧血改善の方法をしっかりと学んでおきましょう。
特に、貧血改善を行う上で最も重視すべきは「鉄分の種類」です。鉄分には、食品から摂れる鉄分や病院で処方される鉄剤など、様々な種類の鉄分があります。この鉄分には安全な鉄分もあれば身体にダメージを与えてしまう鉄分もあります。鉄分の選び方を間違えてしまうと、貧血改善どころか逆効果にもなりかねません。その中でも特に危険な鉄分が「病院で処方される鉄剤」です。
貧血と診断された場合や治療と言えば、真っ先に「鉄剤」が思い浮かびますよね。「鉄欠乏性貧血」と言われているくらいですから、鉄を補給すれば貧血が改善出来る。そう思われています。
しかし、病院で処方される鉄剤を飲んでも、貧血を改善することは出来ません。むしろ、鉄剤を摂取する事により大量の活性酸素が発生し、胃や腸の粘膜にキズを付けてしまう可能性があるのです。
この原因は、病院で処方される鉄剤の多くが「無機の鉄そのもの」であるか、吸収効率が非常に悪い事が原因です。無機の鉄とは、タンパク質などと結合していない「鉄そのもの」の状態のものです。
鉄は、酸素と結びつきやすく、錆びやすいことはご存じですよね。このサビが体内で活性酸素を発生する原因になる事から、体内では鉄を安全に運んだり利用したり出来るようにタンパク質で出来たカプセルに包まれて大切に扱われています。
しかし、鉄剤を大量に服用すると、吸収する際に「活性酸素」を大量に発生させてしまいます。活性酸素とは、酸素の一部が通常よりも活性化された状態になることです。この活性酸素の事を「フリーラジカル」とも呼びます。
この活性酸素はその活性の高さから細胞を傷つけてしまい、むしろ胃粘膜や腸粘膜を傷つけ、消化吸収能の低下や、SIBO、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群(IBS)など炎症性の腸疾患や肝炎、非アルコール性脂肪肝などに進行してしまう可能性があるのです。この事から、病院で処方される鉄剤で貧血対策を行う事はオススメしません。
病院で処方される鉄剤の例としては、次のような物があります。
病院で処方される非ヘム鉄の例
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フェロム (フマル酸第一鉄) 有機鉄
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フェロミア (クエン酸第一鉄) 有機鉄
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リオナ (クエン酸第二鉄) 有機鉄
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インクレミンシロップ (溶性ピロリン酸第二鉄) 有機鉄(食品添加物としても使われる)
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フェロ・グラデュメット(硫酸第一鉄)無機鉄 発色剤の一種。食品添加物としても使われる。
特に処方が多い鉄剤としては、「フェロム」や「フェロミア」などがあります。これらは1回の服用量が100mgとかなり多く、これだけ飲んだとしてもたった5mg程度しか吸収することが出来ません。かなり吸収率が低い割には身体へのダメージが大きく、人によっては胃がムカムカしたり便秘になったりと副作用が出る場合があります。
対して、このような胃腸障害や活性酸素を引き起こしにくく、吸収率が高い鉄が「ヘム鉄」です。鉄には大きく分けて、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。ヘム鉄とは肉や魚などに含まれている動物性の有機鉄のことで、ポルフィリン環というタンパク質の一種と結合しているのが特徴です。それ以外の鉄は、クエン酸などと結合させた有機鉄と、硫酸第一鉄のような有機酸と結合していない無機鉄があります。
鉄剤の中には「第一鉄」や「第二鉄」と書かれている物がありますが、これは鉄イオンの状態を表しています。第一鉄がFe2+、第二鉄がFe3+です。何だか難しい話しですが、簡単に言えば鉄が元気をちょっと失った状態(電子2個分)が第一鉄であり、二価鉄やFe2+と表されます。
第二鉄は鉄が元気をもっと失った状態(電子3個分)で、三価の鉄やFe3+と表されます。二価や三価は、失った元気(電子)の数だと思ってください。この二価の鉄が酸素と反応すると、酸素が二価の鉄から元気(電子)を1つ奪っていきます。すると、二価の鉄は元気(電子)をさらに1つ失って、三価の鉄になります。逆に、三価の鉄がビタミンCや水素などによって元気(電子)1つ受け取ると、ちょっと元気になって二価の鉄になります。これを酸化還元反応と言います。
この第一鉄と第二鉄の大きな違いとしては、水に溶けやすいか溶けにくいかが挙げられます。第二鉄であるFe3+は、水に溶けにくいためにそのままの状態では小腸粘膜から吸収することが出来ません。一度Fe2+の状態に還元して初めて吸収することが出来ます。
このFe2+の状態に還元するためのサポートをしてくれるのが、胃酸やビタミンCなどです。非ヘム鉄は、この胃酸やビタミンCのサポートを受けて吸収されています。
ただ、この時にすべての鉄分を吸収することは出来ません。吸収出来なかった鉄分が腸内に流れると、それが腸内細菌のエサとなり、この腸内細菌が毒素を発生させて腸粘膜を傷つけてしまう原因になります。また、Fe3+からFe2+に還元する際には、大量の活性酸素も発生させ、腸粘膜を傷つけてしまいます。
このように、これら鉄剤や非ヘム鉄は吸収効率が非常に悪く、活性酸素を発生させる大きな原因です。特に非ヘム鉄は吸収率が悪く、ヘム鉄の吸収効率が10%〜30%程度あるのに対し、非ヘム鉄は僅か5%以下しかありません。
このことから、鉄分を補給する際は「ヘム鉄」から補給するのがオススメです。ヘム鉄とは、肉や魚に多く含まれる鉄分のことです。ヘム鉄はポルフィリン環と呼ばれるタンパク質のカプセルのような物に包まれており、上述した非ヘム鉄に比べて活性酸素を殆ど発生させません。
また、非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと結合し、吸収率が落ちてしまいますが、ヘム鉄であればこれらの影響を殆ど受けずに吸収することが出来ます。加えて、ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて腸内細菌のエサになりにくいという特徴があります。逆に非ヘム鉄を大量に摂取してしまうと、吸収出来なかった鉄が大量に大腸へ大量に流れることから、更なる腸内環境の悪化を招く原因となりかねません。
なぜここまでヘム鉄が優れているかというと、ヘム鉄の構造もさることながらその吸収経路にあります。ヘム鉄には「ヘムトランスポーター」と呼ばれる専用の吸収経路が腸に存在しており、この専用の吸収経路から効率的に吸収されることで、非ヘム鉄よりも効率的な吸収が可能になっているのです。
ちなみに、非ヘム鉄の吸収経路はDMT1という経路を使って行われています。この吸収経路は亜鉛や銅など他のミネラルを吸収経路と共通になっているため、鉄剤を多く飲めば飲むほど亜鉛など他のミネラルの吸収を阻害してしまい、亜鉛が欠乏することによって「亜鉛欠乏性貧血」という貧血を引き起こしてしまう原因になりえます。このように非ヘム鉄の鉄剤を大量に摂取することは体内に悪影響をもたらす可能性が高いことから、鉄剤を用いての貧血改善はオススメしません。
この事は海外製のサプリメントとしてよく販売されている「アミノ酸キレート鉄」も同じです。アミノ酸キレート鉄とは、本来吸収効率の悪い鉄を「グリシン」と呼ばれるアミノ酸でサンドイッチする事で、飛躍的に吸収効率を高めた鉄サプリメントです。キレート鉄は、一部の栄養療法を行っている方の間ではブームとなっています。ただ、このキレート鉄のサプリメントは良いことばかりではありません。
アミノ酸キレート鉄は、多量に摂取した場合や長期間漠然と摂取した場合に、体内の貯蔵鉄である「フェリチン値」が大幅に上昇する事例が散見されています。このフェリチン値は炎症反応でも上昇することから、鉄過剰摂取による炎症反応である可能性が考えられています。
通常、体内で鉄が足りている場合には小腸粘膜からの鉄吸収が抑制され、鉄の過剰摂取にはならないよう調節する仕組みが備わっています。これにより、ヘム鉄や非ヘム鉄を取り過ぎたとしても、吸収されずに便から排泄されるため、過剰摂取に至ることは希です。
しかし、アミノ酸キレート鉄を長期間、多量に摂取した場合は貯蔵鉄である「フェリチン値」が大幅に上昇する事例が散見されることから、この調節機構を無視して「アミノ酸の吸収経路」から吸収されているとも考えられています。一般的にフェリチン値は高くても150〜200ng/ml程度であり、これ以上フェリチンが大幅に上昇した場合は、何らかの炎症が発生している可能性が考えられますので、注意が必要です。
また、アミノ酸キレート鉄は鉄分だけを無理矢理大量に吸収させることから、とても利用効率が悪くなります。造血には鉄以外にも亜鉛や銅、セレンやマンガン、タンパク質なども必要で、これらが足りない場合は造血することが出来ません。特に、アミノ酸キレート鉄では鉄だけを大量に吸収させることから、他のミネラルとのバランスを崩しやすくなります。
鉄を多く摂取すれば貧血が改善出来るような気がしますが、鉄だけ大量に補給しても造血することは出来ません。造血するには「亜鉛」も必要で、鉄欠乏性貧血の方は同時に亜鉛欠乏性貧血も抱えている可能性があります。このような理由から、アミノ酸キレート鉄及び病院から処方される非ヘム鉄の摂取は、むしろ亜鉛欠乏性貧血や炎症による鉄の利用障害を招く原因となってしまう可能性があります。
この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓