お酒の飲み過ぎも低血糖症の原因に。節酒と肝臓ケアも重要です②

お酒を飲むときは必ず食事をとりいれる。バランスの良い食事をすることが低血糖症改善の鍵。

では、具体的にどのような食事を心がければ良いのでしょうか? 先ほども解説したように、肝臓は血糖値を保つためにブドウ糖(グルコース)を貯えたり血液中に放出する働きをしています。お酒を飲むことで肝臓はアルコールの解毒を優先させ、血糖値のコントロールが出来なくなることから、お酒を飲むときは必ず食事をしたり、おつまみを食べたりしながら楽しみましょう。

 

ただし、この時食べる食事は何でも良いわけではありません。ラーメンやパスタ、うどんやパンなどの炭水化物や糖質が多い食事では、逆に血糖値の乱高下と低血糖を引き起こすリスクが高くなります。また、アルコールを解毒する酵素の材料にはタンパク質やビタミン、ミネラルが必要な事から、食事はバランス良く摂ることが大切です。ですので、食事内容のポイントは、和定食や地中海料理など野菜やタンパク質、炭水化物、ビタミンミネラルをバランス良く摂れるメニューやおつまみを心がけるようにしましょう。

 

 
 

これら和食や地中海料理は、おかずの種類も多く、野菜も多く摂れるのでタンパク質やビタミン、ミネラルがバランス良く摂れます。また、適度な炭水化物の量を摂取出来るので、飲酒時の低血糖症対策にもオススメの食事内容です。お米の量も食べ過ぎなければ問題ありません。

 

それから、食べ方にもポイントがあります。血糖値を急激に上げないようにするために、まずは野菜サラダなど食物繊維から先に食べるようにして下さい。そして、次にお肉などの副菜、タンパク質を食べて、最後にお米などの主食を食べるようにしましょう。こうすることで糖の消化吸収が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

 

また、お酒を飲みながらおつまみを取り入れることも有効です。おつまみには比較的高タンパクでよく噛める物が多く、栄養価も高い傾向にあります。例えば、ナッツやスルメ、タコなどのおつまみです。これらは高タンパクに加え、アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類にはビタミンEや亜鉛などビタミンやミネラルを含む物があります。これらも取り入れて、飲酒時に不足しやすい栄養素を補っていきましょう。

 

アルコールの解毒に役立つ栄養素が豊富なおつまみの例

  • 枝豆

  • 野菜スティック(ニンジン、セロリ、ピーマン、キュウリなど)

  • ナッツ類(アーモンド、ウォールナッツ、カシューナッツなど)

  • 焼き鳥

  • 青魚の刺身や焼き魚(サバ、サンマ、イワシなど)

  • サラダ(野菜たっぷり、シンプルなドレッシング使用)

  • スルメ(干しイカ)

  • タコ(刺身や煮物、酢だこ)

  • エビの塩焼き

  • チーズ

  • 豆腐(冷奴、焼き豆腐、味噌漬けなど)

これらは、アルコールの解毒に役立つタンパク質やビタミン、ミネラルを補給出来るおつまみの例です。例えば、枝豆は、ビタミンB1と食物繊維が豊富でアルコールの分解を助ける効果があります。カシューナッツやアーモンドなどのナッツ類はビタミンB群や亜鉛ミネラルが豊富で、アルコールの解毒に必要な栄養素が手軽に摂れます。

 

また、焼き鳥やスルメ、タコは、高タンパクでよく噛むことができ、よく噛むことでインスリンの分泌を促すことが出来ます。チーズも割と優秀で、高タンパクでありながらビタミンB群やカルシウムも豊富です。豆腐もタンパク質豊富ですので、夏場は冷や奴にして食べるのもいいですね。

 

お酒を飲むときはこれらのおつまみも取り入れることで、アルコールの解毒を促したり低血糖を防いだりする事が出来ます。お酒を飲むときは、是非これらのおつまみも取り入れてみましょう。

インスリンの材料となる栄養素も意識的に摂取を

また、お酒を飲む方はアルコールの解毒に栄養素が大量に消費されることから、インスリンの正常な働きに必要な栄養素も不足しやすくなる傾向にあります。このインスリンの正常な働きに必要な栄養素も意識的に摂取していきましょう。

 

特に亜鉛不足は、血糖コントロール機能の低下と低血糖症の発症に大きく関係しています。亜鉛は血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の合成、作用に不可欠で、不足するとインスリン分泌や機能の低下を招きます。

 

例えば正常な人の場合、すい臓でインスリンが分泌されるときは、亜鉛も同時に分泌されています。この亜鉛がインスリンを保護することで、肝臓でインスリンが分解されてしまうことを防いでくれているのです。

 

しかし、亜鉛が不足している場合、すい臓はインスリンだけを分泌します。すると、亜鉛に保護されていないインスリンは肝臓で分解されてしまい、全身インスリン濃度が低くなってしまいます。この結果、インスリンの血中濃度低下が引き起こされ、そのぶんだけ血糖値が上昇しやすくなってしまうというわけです。つまり、低血糖症は亜鉛不足も大きな原因の1つと言えます。

 

この事からも、インスリンの材料となる栄養素や働きを助ける栄養素も同時に摂取していきましょう。インスリンの働きを助ける栄養素としては、次のようなものがあります。

 

インスリンの構成材料として働く栄養素

  • タンパク質

  • ビタミンB群

  • ビタミンC

  • カルシウム・マグネシウム

  • クロム

  • 亜鉛

インスリンはタンパク質を元に、ビタミンやミネラルを使って合成されています。これら材料となるタンパク質やビタミンB、亜鉛などをしっかり補給することで、インスリンの合成と働きを助けます。

 

また、マグネシウムやクロムなどの摂取によってインスリン抵抗性の改善が見られる研究結果もある事から、併せて摂ることも効果的でしょう。他にも、マンガン・リン・カリウム 等の栄養素も糖代謝を助けてくれる栄養素です。先ほどと同じようにバランスの良い食事を心がけ、足りない分はサプリメントで補うようにしてみて下さい。

アルコール性脂肪肝、隠れ肥満対策に必要な栄養素を補給する

次に対策したいのが、飲酒によって起こりやすいアルコール性脂肪肝や、隠れ肥満の改善です。この記事の途中では、低血糖症になる原因として隠れ肥満やアルコール性脂肪肝が関係している事を解説しました。

 

肝臓は、体内のエネルギーや酵素などの製造工場です。私達が食べたタンパク質や脂質、糖質などの食べ物は消化吸収され、すべて肝臓に運ばれてから利用されています。この肝臓がアルコールによって機能が低下していたり、代謝量が落ちて脂肪がベッタリ付いた状態だったりしていると、食事から摂取した栄養素が肝臓でうまく利用出来なくなってしまいます。

また、肝臓の機能が低下している場合は更にアルコールの解毒力や糖代謝が低下するので、低血糖症も酷くなりやすいです。この肝臓機能を改善して低血糖症を改善させるためにも、肝臓を元気にする栄養や炎症対策となる栄養素も同時に摂取していきましょう。

 

脂肪肝の対策をする際は、まず肝臓の機能が正常かどうかを血液検査で確認してみて下さい。肝臓の状態は、ASTとALT、γ-GPTの数値でおおよそ分かります。特にASTやALT、γ-GPTが20を下回っていた場合は、ビタミンB群を始めとした栄養欠損によって機能が低下している可能性が高いです。

 

この場合は、タンパク質とビタミンB群を中心とした栄養を積極的に補給するようにしましょう。

 

肝臓の状態を把握する検査項目としては、他にもコリンエステラーゼやコレステロール、アルブミンや血小板、肝炎ウィルス抗体などがある。これらも総合的に見て判断することが重要

 

ASTとALTの数値を見たとき、ASTよりもALTの方が高かった場合や、γ-GPTが高い場合「脂肪肝」が疑われます。腹部エコーなどの検査を受けて、脂肪肝の状態を確認してみて下さい。

 

脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝がありますが、現代の日本人にはアルコールを飲まない非アルコール性の脂肪肝を抱えている場合も多く見受けられます。この場合も、肝機能の低下により糖質や脂質が正常に処理できずに脂肪として肝臓に貯えられてしまった状態です。対してお酒を飲んでいる方で脂肪肝の傾向があれば、アルコール性の脂肪肝が疑われます。こちらの場合はアルコールの摂取は控えるようにしましょう。

 

また、肝臓の状態を把握する検査項目としては、他にもコリンエステラーゼやコレステロール、アルブミンや血小板、肝炎ウィルス抗体などがあります。これらも総合的に見て判断することが重要ですので、きちんと医療機関を受診して判断して貰うようにして下さい。

 

このような肝機能が低下していることで糖尿病や低血糖症が引き起こされている場合は、肝機能を正常に戻すことが最優先です。肝臓は栄養を使って働いていますので、積極的な栄養補給が欠かせません。具体的な栄養素としては以下のようなものがあります。

  • タンパク質、BCAA

  • ビタミンA

  • ビタミンB群

  • ビタミンC

  • ビタミンD

  • ビタミンE

  • ナイアシンまたはイノシトール

  • ウコン

  • シリマリン

  • グルタチオン

特に肝臓自体もタンパク質で出来ていますので、タンパク質の補給が重要となります。また、タンパク質を利用するための補酵素であるビタミンB群も重要です。タンパク質やビタミンB群は、牛肉などの肉類に多く含まれています。

 

加えて脂肪肝は炎症の一種になりますので、炎症対策としてDHA・EPAやビタミンE、ビタミンC、αリポ酸など抗酸化アプローチも有効になります。DHA・EPAはマグロやサバ、イワシなどの魚に多く含まれ、ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。

加えて、肝機能を高めてくれるウコンやマリアアザミなどの栄養素も必要に応じて摂取すると良いですね。食事からでは十分に摂れない栄養素もありますので、必要に応じてサプリメントなどを利用してみてください。

脂肪肝や隠れ肥満、糖代謝の改善には運動も必須

加えて、アルコール性脂肪肝や隠れ肥満の改善には運動も欠かせません。これは、脂肪として肝臓に一度蓄積してしまったものは、運動によるエネルギー消費によって消費していくことが効果的だからです。

 

また、糖代謝を改善させるためにも運動は必須です。運動することによって糖が肝臓や筋肉に取り込まれ、エネルギーとして代謝されます。この糖を肝臓や筋肉に取り込む際に使われる出入り口がGLUT4(グルートフォー)と呼ばれるものです。このGLUT4が多いほど肝臓や筋肉への糖の取り込み量が増えていきます。糖の取り込み量が増えると、その分だけ糖が筋肉や肝臓で消費され、肝臓に脂肪として貯えられる量を減らすことが出来ます。

 

このGLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、運動を続けることが脂肪肝の改善や、インスリン抵抗性と低血糖症の改善へ繋がります。糖代謝をを改善させるためにも、是非日頃からの運動を習慣にしてみて下さい。

 

この運動は、軽いウォーキングやストレッチ、筋トレなどから始めるのがオススメです。毎日の習慣や食後の習慣として、最低でも30分は歩いたり運動したりして下さい。逆に、有酸素運動など激しいマラソンはエネルギー消費と身体への負担が多く、糖代謝が追いつかなくて低血糖になってしまうリスクがあります。

 

このような運動はもっと糖代謝が改善してきてから行う方が安全ですので、まずは軽い運動からスタートしていきましょう。運動することに慣れてきたら、筋肉量をアップさせるためにもウェイトトレーニングなどの無酸素運動を取り入れてみて下さい。GLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、筋肉量アップが糖代謝改善の鍵を握っています。

 

このような食事改善と運動に加えて、更に筋肉量をアップさせたり糖の代謝をアップさせたりする栄養補給が重要です。特に、運動前後にしっかりタンパク質やビタミン、ミネラルを補給しないと、運動によって筋肉が壊されたまま修復できなくなってしまいます。運動後に筋肉をしっかり付けるためにも、下記のような栄養補給を心がけてみて下さい。

 

筋肉量を増やし、糖代謝を上げるために必要な栄養素

  • タンパク質

  • BCAA(運動前後)

  • ビタミンB群

  • ビタミンC

  • 亜鉛

  • αリポ酸

タンパク質やビタミンB群、亜鉛、鉄などは牛肉などの肉類に多く含まれている傾向があります。このような栄養補給に加えて、よく噛むことと、回数頻回食を実践することも有効です。必要に応じて組み合わせて行ってみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓