サプリ代や検査代を少しでも安くしたい! 市販されている検査キットや安いサプリメントでも代用可能?

ここまで、病院で処方されるビタミンやミネラルのお薬と、サプリメントに含まれるビタミンやミネラルの違いについて解説してきました。

 

保険診療では安く検査を受けられたり、安くお薬を処方してくれたりします。しかし、それでオーソモレキュラー療法を実践することは出来ません。

 

では、保険診療以外に、オーソモレキュラー療法を安く実践する方法は無いのでしょうか?

例えば、自分で血液検査が出来る検査キットを取り寄せて特定項目の検査だけを行うとか、ドラッグストアや海外で販売されている安いサプリメントを使ってオーソモレキュラー療法を実践するなどです。

 

現在では、Amazonを始めとした通信販売が普及したことで、自宅でできる血液検査キットなども販売されるようになってきました。

 

これら自宅でできる血液検査キットは、検査キットに同封されている案内に従い、ご自身で採血します。そして、採血した血液を郵送で送ることで、後日結果が郵送されてくるといった流れです。

 

主に12項目前後の項目が検査でき、値段も数千円と手ごろなことから、病院で採血を受けられない方や自力でオーソモレキュラー療法を行っていきたい方に利用されています。

 

DEMECAL 生活習慣病+糖尿病 セルフチェック

検査項目

  • 栄養状態総タンパク(TP)、アルブミン(ALB)

  • 肝機能AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ‐GTP)

  • 脂質代謝総コレステロール(TC)、HDLコレステロール(HDL-C)、中性脂肪(TG)

  • 腎機能尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE)

  • 痛風尿酸(UA)

  • 糖代謝血糖(GLU)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)

価格

7,370円(税込)(記事執筆時点)

 

自宅でフェリチン検査!(標準キット)

検査項目

  • 鉄関係:血清フェリチン、血清鉄 (Fe) 

  • 生化学:AST (GOT)、ALT (GPT)、γ-GTP、中性脂肪 (TG)、総コレステロール、LDLコレステロール (悪玉コレステロール)、HDLコレステロール (善玉コレステロール)、尿素窒素 (BUN)、クレアチニン (Cr)、尿酸 (UA)、総タンパク (TP)、アルブミン (Alb)

価格

オンライン一般価格:7,200円 (税込7,920円、送料無料)(記事執筆時点)

 

これら検査結果を基に、市販されている安いサプリメントや、海外サプリメントなどを使えば、かなり安くオーソモレキュラー療法が出来そうですよね。

 

例えばドラッグストアで売られているサプリメントは、ものにもよりますが数百円〜1,000円前後で販売されています。また、最近ではインターネットを使って海外サプリメントを手軽に個人輸入することが出来るようになりました。

 

海外サプリメントでは、日本で販売されているサプリメントと比べて、かなりの高濃度です。この海外サプリメントは高濃度でありながら値段も手ごろで、1つあたり1,000円〜3,000円程度で購入することが出来ます。

 

対して、当方の推奨するオーソモレキュラー療法専用サプリメントではこれらサプリメントの3倍〜5倍、ものによっては10倍近くするものもあり、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて高額です。

 

このような安くて高濃度のサプリメントを駆使すれば、わざわざ「オーソモレキュラー療法専用のサプリメント」なんて必要ないのでは?と思いますよね。

 

では、これらを用いて正しいオーソモレキュラー療法は出来るのでしょうか?

 

結論としては、このような自分で出来る検査キットや海外サプリメントなど市販されているサプリメントを使って正しいオーソモレキュラー療法を行う事は出来ません。

 

理由としては、検査項目がそもそも少ない事、検査結果の数値がほぼ参考にならないこと、海外サプリメントなど市販されているサプリメントでは、胃や腸で溶けずに排泄されてしまうものや、表示成分に記載されていない薬品成分などが混入している恐れがあるためです。

 

まず、そもそもオーソモレキュラー療法では、フェリチン値の単体項目のみで貧血かどうかを判断することはありません。また、貧血の方に鉄だけを摂らせることはありません。

 

上記の検査キットを使用する方は、主にフェリチン値低下による隠れ鉄欠乏性貧血の改善や、それに伴う精神的不調、身体的不調の改善が目的かと思います。特に、メガビタミン健康法などでは「タンパク質不足や鉄欠乏性貧血を改善すれば不調が治る」として、フェリチン値を上げることが重要だと言われていますよね。

 

このように聞くと、単に「タンパク質と鉄分を摂取すれば良いのでは」と思われるかも知れませんが、実はタンパク質不足や貧血は、タンパク質や鉄分の摂取が足りない以外にも、様々な原因や栄養欠損が関係しています。

 

例えば、鉄欠乏貧血においては、ピロリ菌に感染している場合や、婦人科疾患による過多月経、スポーツにおける溶血、自律神経の乱れによる消化吸収能の低下、消化管からの出血、タンパク質やビタミンB群、亜鉛などの栄養欠損など、様々な原因が複雑に絡み合って発生しています。

 

加えて、例えその方が貧血だったとしても、貧血には様々な種類があり、その原因も様々です。例えば、亜鉛が足りなくて貧血になる亜鉛欠乏性貧血や、再生不良性貧血、大球性貧血や小球性貧血、慢性炎症における鉄の利用障害や、溶血性貧血など、貧血には様々な種類があります。

 

特に重度の貧血を引き起こしている場合には、消化管の出血や婦人科疾患など出血を伴う何らかの疾病が隠れている可能性があります。貧血を改善する際には、これら出血原因となっている疾病から先に対処する必要があるため、まずは疑わしい原因を特定するための検査を受けることが重要です。

 

また、造血を行うためには鉄分以外にもタンパク質やビタミンB群、亜鉛、セレン、マンガンなど様々な栄養素が必要です。鉄分を十分に補給してもこれら栄養素の摂取が足りない場合や、タンパク質が十分に消化吸収出来ない場合でも貧血となる場合があります。

 

この消化吸収に問題が起こる原因としては、先に挙げたピロリ菌の感染やIBS(過敏性腸症候群)、ストレスや自律神経の乱れなど、様々な原因があります。このような問題を抱えていた場合は、問題となっている疾病や症状の対処も同時に行う必要があります。

 

それに、フェリチン値は肝臓病などの炎症性疾患や、リウマチなど自己免疫性疾患などの炎症でも上昇することがあります。そのため、フェリチン値が上昇していても、鉄が足りているとは限りません。

 

このような理由から、貧血の判断は関連項目や病態、生活習慣を含めた幅広い検査結果を基に解析し、その方それぞれに最適な分子栄養学的アプローチを行っていく事が大切です。オーソモレキュラー療法ではこのような関連項目や病態、生活習慣を含めた幅広い情報を元に行っていく事から、単にフェリチン値のみを見て貧血かどうかを判断し、アプローチを行う事はありません。また、貧血の方に対して鉄分だけを摂らせることもありません。

 

つまり、自宅でできる検査キットでは関連項目など項目数が少なすぎるため、なぜフェリチンが低いのか?や、なぜフェリチン値が高くなってしまったのか?など、深い部分までは全く分からないのです。

 

加えて、メガビタミン健康法で言われているような「精神的な不調はタンパク質不足と鉄欠乏性貧血が原因であり、フェリチン値を上げれば改善する」というのも、すべての方に当てはまるとは限りません。

 

例えば、うつ症状との関連があると考えられる疾病としては、貧血以外にも様々なものが関係しています。

 

うつ症状との関連があると考えられる疾病の例

  • ピロリ菌感染による消化能力の低下と栄養欠損

  • 更年期障害

  • 低血糖症

  • 甲状腺機能障害

  • PMS、PMDD

  • SIBO(小腸内細菌増殖症)

  • リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)

  • 機能性ディスペプシア

  • 過敏性腸症候群

  • 副腎疲労症候群

  • 脳の炎症

 

このような疾病は、消化吸収能の低下や自律神経の乱れを引き起こし、結果的にタンパク質不足を始めとした栄養欠損の状態になりやすくなります。栄養欠損の状態では、自律神経の調節に必要な栄養素が不足してしまうことから、うつ症状などが引き起こされてしまうことがあるためです。

 

そのため、うつ病だからといって症状だけで鉄欠乏性貧血だと決めつけるのでは無く、血液検査を通して客観的に判断し、それぞれ適切なアプローチを行うことが大切です。

 

特に貧血には必ず原因があり、消化管から出血している場合には、まず消化管からの出血を止めることが第一ですし、婦人科疾患によって出血量が増加していた場合は、婦人科疾患の治療を先に行うことも必要になります。ピロリ菌の感染やリーキーガット症候群などで消化吸収能が低下していた場合は、その対策も必要です。

 

オーソモレキュラー療法では、症状の背景にこのような疾病が隠れていないかどうかを血液検査や画像診断などで分析し、必要であれば疾病に対して薬物療法を行うなど西洋医学的な治療も併せて行われます。

 

この原因からきちんと対処しなければ、いくらサプリメントで鉄を補給したとしても、血液や栄養素がザルのように体外へ流れ出てしまってほとんど効果がありません。そのため、オーソモレキュラー療法では単に足りない栄養素をサプリメントで補うだけで無く、栄養欠損を引き起こした原因に対しても適切なアプローチを行っているのです。

 

 

 

 

 

※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓