オーソモレキュラー療法とメガビタミン健康法によるアプローチの具体的な違い

ここまで、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の成り立ちについて解説してきました。ここからは、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法が具体的にどのような違いがあるのかについて解説していきましょう。

 

メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法とでは、主に個体差における消化吸収能の考慮や病態の考慮、アプローチ方法の考慮を行うか否かが大きく異なります。この2つの違いをもう少し具体的に表すと、次の表の通りです。

 

オーソモレキュラー療法とメガビタミン健康法によるアプローチの具体的な違い

 

 

メガビタミン健康法では、病態や活動量、消化吸収能力など個体差に応じた栄養摂取量やアプローチ方法は考慮されていないのに対し、オーソモレキュラー療法ではいずれも個体差を考慮し、個人個人に合わせた栄養アプローチを行います。

 

具体的にどのような違いがあるのかを、1つずつ解説していきましょう。

違いその① 血液検査による状態把握を行うか

まず、血液検査などによる状態把握を行うかどうかについてです。

 

メガビタミン健康法では、基本的にオーソモレキュラー療法で行っている血液検査などは行っていません。人によっては健康保険適用の血液検査結果や人間ドックの検査結果を独自に分析して行っている方や、フェリチンの検査キットを取り寄せて独自で検査を行う方もいるようですが、その殆どが独学による独自の分析手法です。

 

そして、メガビタミン健康法では主に海外サプリメントなど市販されているサプリメントを使い、ATPセットに代表されるようなサプリメントセットを使って栄養アプローチを行っていきます。

 

そのため、例えば「うつ病」というアプローチに対しては、全員一律ATPセットからスタートしてアプローチ行っていく事が一般的です。この時、本当に鉄欠乏性貧血なのかどうか、貧血になった原因は何が関係しているのか、他にうつ病となった原因は無いかなど、客観的に判断するための血液検査などは行われていません。

 

対してオーソモレキュラー療法では、60項目以上に及ぶ専用の血液検査を用いて、その人の病態や栄養状態などを客観的に分析、把握する手法を行っています。

 

この記事の最初にも少し触れましたが、例えその方が貧血だったとしても、貧血には様々な種類があり、その原因も様々です。例えば、亜鉛が足りなくて貧血になる亜鉛欠乏性貧血や、再生不良性貧血、大球性貧血や小球性貧血、慢性炎症における鉄の利用障害や、溶血性貧血、消化管などからによる出血、婦人科疾患による出血量の増加など、貧血を引き起こす原因は様々なものが関係しています。

 

貧血の種類と原因

  • 鉄欠乏性貧血
    鉄の摂取量が少ない場合に起こる貧血。消化吸収能の低下でも引き起こされることがある。

  • 悪性貧血
    葉酸やB12が不足した事による貧血。アルコール多飲や胃腸機能の低下、食事の偏りなどが原因となる。

  • 溶血性貧血
    赤血球がもろくなって壊れてしまう貧血。亜鉛不足や酸化ストレス、スポーツなど様々な原因がある

  • 再生不良性貧血
    骨髄の造血機能が低下してしまう事で起こる貧血

  • 腎性貧血
    腎臓病など腎機能が低下したことにより、赤血球を作る働きが低下してしまう貧血

  • 慢性炎症・炎症性疾患による貧血
    関節リウマチや膠原病など、慢性炎症によって体内の鉄代謝が低下してしまう貧血

  • 悪性腫瘍による貧血
    ガンや腫瘍など悪性腫瘍によって出血したりがん細胞骨髄へ入り込むことによって造血が出来なくなってしまう貧血。胃がんでは胃の切除によって悪性貧血を伴うこともある。

  • 肝硬変・肝障害による貧血
    アルコール多飲やガンなどによって肝機能が低下し、タンパク質代謝や鉄代謝が低下して起こる貧血。赤血球の形が変形したり、壊れやすくなったりもする。

  • 消化管・婦人科疾患など出血を伴う貧血
    大腸ガンや胃潰瘍など消化管からの出血や、子宮筋腫など婦人科疾患による出血によって進行してしまう貧血。

そのため、症状だけで鉄欠乏性貧血だと決めつけるのでは無く、血液検査を通して客観的に判断し、それぞれ適切なアプローチを行うことが大切です。

 

当方の推奨するオーソモレキュラー療法では、60項目以上の基本スクリーニング検査に加え、腎臓や肝臓などの状態を更に詳しく検査できるオプション検査も用意されています。加えて、血液検査で何か疑わしい症状がある場合は、画像診断など確定診断が出来る検査も行い、より客観的で正確な状態把握も行っています。また、結果に応じて必要な治療も行っていきます。

 

このような貧血の原因やうつ病の原因など、血液検査などを通して客観的に状態把握・治療を行っているか否かが、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の大きな違いです。

違いその② 個体差に合わせたアプローチの考慮

続いて、個体差にあわせたアプローチを考慮するかどうかです。先ほどの血液検査による状態把握と似た話になりますが、メガビタミン健康法では個体差に合わせたアプローチを考慮しないのに対し、オーソモレキュラー療法では個体差に合わせたアプローチの考慮を行います。

 

メガビタミン健康法の場合、例えば「うつ病」というアプローチに対しては、全員一律ATPセットからスタートしてアプローチ行っていく事が一般的です。これは、タンパク質不足や鉄不足など質的栄養失調によってうつ症状が引き起こされてしまう事があるためです。

 

しかし、うつ病の原因は様々あり、すべてがタンパク質不足や鉄不足であるとは限りません。また、タンパク質不足や鉄不足であっても、単に摂取量が足りないだけなのか、それとも消化吸収能に何かしら問題がある場合など、原因は様々あります。

 

例えば、先ほどのうつ病に関しては、鉄欠乏性貧血以外にもうつ症状を引き起こす疾病があります。関連があると考えられる疾病については、例えば次のようなものが挙げられます

 

うつ症状と関連があると考えられる疾病の例

  • ピロリ菌感染による消化能力の低下と栄養欠損

  • 更年期障害

  • 低血糖症

  • 甲状腺機能障害

  • PMS、PMDD

  • SIBO(小腸内細菌増殖症)

  • リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)

  • 機能性ディスペプシア

  • 過敏性腸症候群

  • 副腎疲労症候群

このような疾病は、消化吸収能の低下や自律神経の乱れを引き起こし、結果的に栄養欠損の状態になりやすくなります。栄養欠損の状態では、自律神経の調節に必要な栄養素が不足してしまうことから、うつ症状などが引き起こされてしまうことがあるためです。

 

オーソモレキュラー療法では、症状の背景にこのような疾病が隠れていないかどうかを血液検査や画像診断などで分析し、必要であれば疾病に対して薬物療法を行うなど西洋医学的な治療も併せて行われます。

 

また、消化吸収能の低下や疾病を考慮した栄養アドバイスや、薬物による副作用を軽減するために必要な栄養アプローチなど、個体差や状況に応じたアプローチを考慮して行われています。

 

このように、不調の原因となった疾病が隠れていないかや、栄養欠損となった原因を、血液検査などで客観的に状態把握を行っているか否かが、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の大きな違いです。

 

 

 

 

 

※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓