うーん、それはオススメしないね。吸収率の高い鉄分をたくさん摂ればたくさん吸収されるイメージを持つ人が多いけど、ヘム鉄や非ヘム鉄だけを大量に摂ると、逆に吸収効率は悪くなるんだよ
たくさん吸収させようとして吸収率の高い鉄ばかりを摂るのは間違いってこと。このあたり詳しく教えてあげるね
食品に含まれる鉄分には、肉や魚などに含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀物に含まれる
「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄はタンパク質のカプセルのような物に包まれているため、鉄分の吸収を阻害するタンニンやフィチン酸などの影響を受けにくく、吸収率が高い(10%〜30%)と言われています
。
もう一つの「非ヘム鉄」では、鉄分子がむき出しの状態のため、タンニンやフィチン酸などと結合して吸収阻害を受けやすく、吸収率が低い(2%〜5%)鉄です。
このように吸収率を比較してみてみると、鉄分を摂るときは「ヘム鉄」のような吸収率が高い鉄を集中的に摂った方が良いと感じますよね。
ですが、人体における消化と吸収は、そんな単純な話しではありません。実際には、吸収率が高い鉄分といえど、吸収効率の低下や吸収制限などの影響を受けます。
そのため、鉄欠乏貧血の改善などで鉄分を摂取する場合は、吸収率のみで摂取する鉄分を選ぶのでは無く、「いかに効率的に鉄分を吸収・利用出来るか」を、生化学、分子栄養学的な観点からよく学んで実践していくことが必要です。
たとえば、「ヘム鉄」は吸収率が高いと言われていますが、ヘム鉄の飽和閾値は約15mgで、それを超えると吸収は有意に増加しないことが分かっています。(吸収されない鉄は便として排泄される)
これは、小腸粘膜で鉄を過剰に吸収してしまうと活性酸素の発生源となって酸化ストレスを発生させてしまうため、この酸化ストレスを発生させないための防御反応であると考えられています。
具体的には、私達が食事などで「ヘム鉄」を摂取すると、小腸粘膜上皮細胞にあるヘム鉄専用の吸収経路(ヘムトランスポーター)から吸収されます。
吸収されたヘム鉄は小腸粘膜上皮細胞内で「ヘム鉄分解酵素(ヘムオキシゲナーゼ)」によってヘム構造が分解され、中にあった鉄分(Fe2+)が取り出されます。(このヘム鉄分解酵素の働きも、鉄の需要に応じて体内で厳密に調節されています)
この取り出された鉄分は、小腸粘膜上皮細胞内で一旦「フェリチン」という貯蔵鉄に変えられ、一定量が保存されます。フェリチンは、鉄をタンパク質のカプセルに入れて、安全に保存できるようにした状態のものです。
そして、必要に応じてフェリチンから鉄が取り出され、血液中に放出されます。血中に放出された鉄は、鉄を運ぶためのトラックである「トランスフェリン(血清鉄)」に乗って肝臓や全身の細胞に運ばれています。
もし、鉄を無制限に吸収してしまうと、上述したような「トランスフェリン」にも「フェリチン」にも乗れない遊離の鉄(タンパク質と結合していない鉄)が大量に発生してしまうことになります。
この遊離の鉄が大量に存在すると、「フェントン反応」と言って二価鉄(Fe2+)が過酸化水素と反応して「ヒドロキシラジカル」という活性酸素を発生させてしまう原因となります。
そのため、体内では遊離の鉄が過剰に存在しないように、一定の濃度以上(ヘム鉄であれば約15mg以上)摂取しても、それ以上は積極的に吸収しない仕組みが備わっているというわけです。(この仕組みがあるため、ヘム鉄は一般的に活性酸素の発生源になりにくい鉄と言われています。)
ですので、いくら吸収率の高い鉄分を多く摂取したからといって、それが無制限に吸収されるわけではありません。
また、別の問題として「1種類の鉄を大量に摂取すると、吸収経路が飽和して吸収率が悪くなる」こともあげられます。
ヘム鉄はヘム鉄専用の吸収経路である「ヘムトランスポーター」から吸収されていますが、一度に大量のヘム鉄を摂取すると、このヘムトランスポーターからの吸収が追いつかなくなって吸収率が低下してしまう原因になります。
そのため、吸収率が良いと言われる「ヘム鉄」だけを大量に摂るのでは無く、もう一方の経路から吸収される「非ヘム鉄」も組み合わせて摂取するのが正解です。
このヘム鉄と非ヘム鉄を組み合わせることで、食事中の鉄の総吸収が最大40%向上することが分かっています。(*1)
これは、ヘム鉄に含まれるアミノ酸が非ヘム鉄の吸収を助けることと、ヘム鉄はヘム鉄専用の吸収経路から吸収され、非ヘム鉄は二価ミネラルの吸収経路である「DMT-1」という吸収経路からそれぞれ吸収されるためです。
イメージとしては、「高速道路」を想像してみると分かりやすいでしょうか。
一車線の高速道路に車が集中すると、渋滞してしまいますよね。渋滞が発生すると、事故も起きやすくなります。この渋滞や事故が、活性酸素を発生させやすくなると考えれば分かりやすいかと思います。
これが、二車線に増えると一車線に比べてスムーズに車が走れるようになります。車の流れがスムーズだと、事故が発生するリスクも低くなる(活性酸素も発生しにくくなる)という感じです。
これと同じように、鉄の吸収は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2つの吸収経路を同時に利用することで、より吸収率が高まることが分かっています。
ですので、「ヘム鉄」のほうが吸収率が高いからとヘム鉄ばかり摂取するのでは無く、「非ヘム鉄」も組み合わせて摂取していきましょう。この逆も同じで、キレート鉄やフェリチン鉄など「非ヘム鉄」ばかり摂るのでは無く、ヘム鉄も組み合わせて摂取していく方が効率よく鉄分を吸収することが出来ます。
吸収率が悪い鉄=悪い鉄
吸収率が良い鉄を摂ればたくさん吸収される
わけではないんですね。
この事は、「サプリメント選び」にも共通して言えます。
鉄分のサプリメントは様々な物が販売されていますが、「ヘム鉄しか含まれていない鉄」や「非ヘム鉄しか含まれていない鉄」が多く販売されています。
このような、「1種類の鉄しか含まれていない鉄サプリメント」は吸収効率の観点や分子栄養学実践の観点から、オススメしていません。
分子栄養学実践専用サプリメントでは、上述したことを考慮して「ヘム鉄」「非ヘム鉄」の両方がバランス良く配合されています。
例えば、ケンビックスの「ヘム鉄 アルファ Fe8」では、「ヘム鉄」が5mg、「非ヘム鉄」が3mgのあわせて8mgの鉄が配合されています。
このような、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」を同時摂取することで、ヘム鉄と非ヘム鉄それぞれの吸収経路から効率よく吸収させることが可能です。
ヘム鉄の方が吸収がいいからとヘム鉄ばかり摂っても、小腸内には吸収限界があるので一定量以上は一度に吸収されません。また、1種類のみの鉄分のみを大量に摂取しても、吸収経路が渋滞してしまうので吸収効率も低下してしまいます。
栄養素は、せっかく摂っても吸収されなければ意味がありません。
分子栄養学を実践する際は、このような栄養素の吸収の仕組みをよく理解して、効率の良い鉄分摂取を行っていきましょう。
そうだね。1種類の鉄を大量に摂ると、むしろ吸収効率は悪くなるよ。分子栄養学を実践するときは、このような栄養を吸収する仕組みもよく理解して実践していってね
参考
*1
★ケンビックスの血液検査のお申し込みはこちら★
血液検査のお申し込みは、全てオンラインで完結❗
検査申し込みから栄養相談のお申し込みまで、全てご自身で行って頂く事が可能です。
★ケンビックスサプリメントのご購入はこちら★
分子栄養学実践専用サプリメント「ケンビックスシリーズ」をなんと最大25%OFF+最大15%ポイント還元でご提供!
更に、クーポンコード「entry30off」ご利用で
初回30%OFF+最大15%ポイント還元!
当サイトは「ケンビックス正規取扱店」です。
正規取扱店番号:31303940
★分子栄養学実践サポートマガジンのご登録はこちら★
分子栄養学の実践に必要な知識、情報をメルマガで配信しています。
お知らせやブログでは言えない情報を発信していますので、是非ご登録下さい😊
僕が皆さんの分子栄養学の実践をサポートするよ。
よろしくね