夏にオススメの飲料として、緑茶を前回ご紹介しました。

実は、緑茶は、うつ病リスクを下げる食品として挙げられていることをご存知でしょうか?

うつ病、躁うつ病、統合失調症に関する先端的脳科学検査と、栄養学的検査に基づいて診断、治療を行う、日本の精神医学研究をリードする医師・研究者のひとりである功刀浩(くぬぎひろし)医師らのアンケート調査で、健康な人に比べて、うつ病患者は緑茶摂取量が少なかったと分かっています。

緑茶にはカテキン、カフェイン、ビタミンC、ビタミンB2、葉酸、B-カロテン、ビタミンEなどのビタミン類、サポニンなどの薬効成分がたっぷり含まれていますが、今回ご紹介するのは、お茶のうま味成分であるテアニン

テアニンはうま味調味料として利用されているグルタミン酸とよく似た構造を持つ、お茶に特有のアミノ酸です。

二番茶よりも一番茶、一番茶でも初期の若い芽に多く含まれ、成熟した芽では極端に減ります。

また、玉露のように日光を当てないように栽培すると、アミノ酸からカテキンへの生成が抑えられるため、茶葉中にテアニンを豊富に含んだままの状態となります。

テアニンは植物の中でも茶以外には数種の植物にしか含まれていない成分。

テアニン補給を目指すなら玉露や抹茶がおすすめです。
参考文献:茶の入れ方研究会1973 参考文献:茶の入れ方研究会1973
 では、ここからは、もっと詳しくテアニンの効果を見ていきましょう。

●テアニンは脳波の種類の1つのα波を増加させます。
α波は心身ともにリラックス下状態の時に発するといわれており、脳と体を休めてリラックスする効果、ストレスを沈める効果、
そして脳の活性化を促して体の免疫力を高め、病気を予防する効果も確認されています。

●動物実験では神経細胞死を抑制する効果があり、脳血管性認知症の予防効果が期待される、アルツハイマー病の原因となる
アミロイドβによる記憶障害や脳の神経細胞死を抑制するなどの報告があります。

●ADHD(注意欠如・多動性障害)診断される男児98人に対し、400mg/日(1日2回)テアニンを飲用させ、睡眠に関する
アンケートをとりました。

テアニン毎日400mgがADHDと診断される子の睡眠の質の複数の側面を改善することにおいて有効である可能性が考えられました。

●イスラエルの研究者たちは、統合失調症患者を対象としたテアニンとプラセボとのランダム二重盲検比較試験を行ない、通常の治療薬に加えてテアニンの錠剤を追加投与した患者では、不安や幻覚・妄想などの症状が軽減したという結果が報告されています。

●テアニンの摂取でリラックスした状態になったことにより、単調な連続作業を行う時のイライラを緩和することができ、作業の
集中力が高まったと報告されています。

●22人に就寝前にテアニンを200mg摂取してもらう実験を行ったところ、テアニンを摂取した群は、プラセボをとった群に比べ、
起床時に疲労回復感を得られたり、昨夜は長く眠れたと感じたりした度合いが高い結果になりました。

 

うつ病リスクを下げ、リラックスとともに集中力を高め、睡眠の質を改善するテアニン。



  
 「疲れ」「睡眠」「ストレス」などの問題を抱えながら、日々戦っている現代人にとって、テアニンは強い味方になりますね。

モーニングコーヒーより、モーニング玉露。
食後のコーヒーを、食後の玉露に。

不安定な世の中を「お茶の子さいさい」で乗り切って行きましょう~(石井)