私は有料老人ホームのナースです。
1週間休暇を頂き、今日は久しぶりの出勤日。
1ヶ月位前から、病気が進行してきたなぁ。
と感じる入居者さんがいました。
(以下Cさんと呼びます)
私の休暇前、Cさんのお部屋に
顔を出した時の事。
「今度お散歩行きましょうね」と私が言うと、
「本当?あー嬉しい。そんな事言ってくれるの
先生だけだよ。連れてってね。お願いね。」
と、私の手を握り、本当に本当に嬉しそうな
笑顔を見せて下さいました。
(なぜか入居者の多くの方は、ナースを
先生と呼んできます笑)
そして、今日出勤すると、その方の病状は
更に進んでいました。
意識もはっきりしない時間がある位に
なっていて。
こんな事なら休暇前に、お散歩して
おくんだった!と思いましたが、
そんな事を言っても過去には戻れません。
今日の千葉県は曇り空。
決してお散歩日和ではないけれど。
Cさんに明日という日は来ないかもしれない。
やっぱり今日しかない! 今日行こう!
そう決意し、お部屋に伺いました。
呼吸をしているのが精一杯で、
意識もぼんやりしている状態だけど、
聞いてみました。
「Cさん、これからお散歩行きたい?」
すると、目をしっかり見開き、何度も
うん。うん。と力強くうなずいてくれて。
よし!行こう!と車椅子で散歩に
出ました。
車椅子に乗ったとたん、しっかり目を開け
生命力がみなぎったCさん。
その体力は、長くは続かなかったけど、
無事にお散歩を楽しむ事ができました。
(散歩中に、私が海外旅行に行っていて、
今日までお待たせしてしまった事を
懺悔しました^_^;)
夕方から、Cさんの呼吸状態は更に悪化。
それでも、最期まで生きる希望を持って
ほしいから、「また明日もお散歩行こうね。」
と、帰る前に挨拶しました。
するとまた、一生懸命目を開けて、
言葉にはならなかったけど、「あー、あー」
と何かを伝えようとしてくれて。
きっと、明日もお散歩よろしくね!って
言ってくれようとしたんじゃないかなー
と思います^ ^
私は、大好きな入居者さんに、最期まで
やりたい事をやらせてあげたい。
Cさんの場合はそれがお散歩なので、
それを叶えてあげたかった。
例えばお散歩をした事で、命が1時間
短くなったとしても、お部屋で天井を
見ている1時間より、ずっと幸せなんじゃ
ないかな。と思います。
私なら、好きな事ができる最期を
選びたいな。
これは私の価値観です。
皆さんはどう考えますか?

