東京都木平市某所にはミクロマンの警邏機関POAN(ポアン)の支部がある。
ジェームスは新たな部下ラジカセロボR06ヨリニテとパトロールに出ていた。
「向こうは鷲の台駅で……」
「部隊長、アクロイヤー計反応が! ……この数値は巨大化!?」

「マジだ! この20年、巨大化するアクロイヤーなんていなかったのに!」
アクロイヤーは巨大化能力を持つが、繰り返すと命を失う。制限回数は事前に計測不能なため、令和まで生き残ったアクロイヤーは用心から誰も巨大化しなくなっていた。
「ヨリニテ、基地に連絡を!」

POAN木平支部基地内では、指令基地がそのまま指令室として運用されている。
「ヨリニテから報告。巨大化アクロイヤーが府東街道を中川駅方面へ移動中。全高7~8m、過去にデータなし」
「あまり大きくはないな……道路添いに歩いてるが、電柱や標識を破壊してるぞ」

「部隊長、指令基地より連絡。マイケルのスーパージェットとアゼリア、レグルスがこちらへ向かっています。我々は避難誘導並びに可能な限り迎撃・足止めをせよとのこと!」
「OK、自分は周囲の地球人に対応するッス! ヨリは無理のない範囲で迎撃を!」

「ふはは、やるなアクロイヤーアサルトのトーテツ! 巨大化回数無制限は本当のようだ。このアーデンバルガーは部下になったと思わせておいて奴を利用してやるのだ!」
「……それ、俺に聞かせない方がよかったんじゃねえかな……トーテツもなんでゴムなんか欲しがってんだ」

(このアクロイヤーは破壊が目的ではないのか……なぜ歩いて目的地に向かってる……示威行動か?)
ヨリニテはサウンドソニックガンで迎撃を試みる!

「ン……なんだ、ミクロマンの攻撃か? このトーテツ様にはこんなもの効かんわ!」
ニューミクロマンの敵ニューアクロイヤーには巨大化能力がない。そのためミクロチェンジロボの火力は最大2m程度の敵を想定している。巨大化したトーテツに対しては火力が足りないのだ!

「ミクロマン共が来たぞ、グリーンスター! レディーコマンドはともかく、ジェットとタイタンをトーテツに近づけさせるな!」
「分かってるよ!」

「あのアクロイヤーはどこに向かってるんだ、あの先に何がある?」
「スーパー2軒、ファストフードとレストラン5軒、大型電器店、一般住宅……違うな……ファーストパンの工場と、ブリジウッドのタイヤ工場がある、そのどちらかだろうか」

「まずいぞメイスン、タイヤ工場狙いの場合、手前に歩道橋がある。奴の身長だと通るために破壊されるぞ! しかもすぐ側に小学校がある!」
「こちらマイケル、邪魔されて巨大アクロイヤーに近づけねえ!」
「こちらヨリニテ、火力不足です!」
「くそっ、万事休すか!」
その時、現場に新たなミクロマンが現れた!
「遅くなってすまん! 非番の日だったから莫張メッセまで行ってた!」
ヴァルマガハラ空中遺跡で目覚め、POANに身を寄せているミクロマンコマンド1-2-3号ザックだ!

「いくぞ、反重力念力!」
ザックの手から出た光線が当たった瞬間、トーテツの動きが止まる。
「何だ、体の自由が……俺の巨体が宙に浮いているだと!?」
ザックは覚醒前に神秘の超古代遺跡の力に影響された。その反重力パワーは通常のミクロマンの十数倍を誇るのだ!

指令基地から連絡が飛ぶ!
「いいぞザック! そのままブリジウッド団地の南グランドまで運ぶんだ、被害を最小限に抑えろ!」

ズ・ズーン! ザックの反重力念力によりトーテツはグランドに叩きつけられる!
「ぐはっ! お、おのれミクロマンめ……」
「バルガー、トーテツに何か起きた!」
バルガーがグリーンスターの言葉に気を取られた隙に、スーパージェットとレグルスがグラウンドに向かう!

「今だみんな、俺が念力で抑えてる間に攻撃を!」
「了解! マシンガン、サイドワインダー発射!」
「磁力波光線!」
「サウンドソニックガン!」
「ぐおわああああ!」
「いかん、トーテツの援護に向かうぞ!」
「……ちょっと待てバルガー、何か……来る! 次元振動だ!」

突如、空間に歪みが生じる。そこから現れたのは……。
「うそっ、こんな時に異世界からアクロイヤーが!」
アゼリアが叫ぶ。
「ここは……地球か?」
「おお、いいところに現れた、アクロイヤーの同志よ! 我らと共にミクロマンを倒し、地球人を支配するのだ!」

バシュッ! その言葉が終わるやいなや、新たなアクロイヤーはバルガーに斬り付けた!
「ぐわぁ! 何をする、貴様もアクロイヤーだろうが!」
「いかにも、我が名はアクロイヤー。スパルタクの王アクロイヤー!」

「クソッ、収拾が付かねえ! トーテツ、ミクロサイズに戻れ!」
グリーンスターは小さくなったトーテツを掴むと、体中から緑色の霧を吹き出した!
「グリーンミスト!」
「いかん、毒霧だ、気をつけろ!」
そして毒霧が晴れると、3人のアクロイヤーは消えていた。

「アクロイヤー計にあの3人の反応なし、撤退したようだ」
「よくやったみんな! 状況終了とする、セーフハウスに使っているアパート空室で休息の後、支部に帰投せよ!」

ここは東京都木平市。次元振動の多いこの地域をミクロマンたちは「木平ゲートウェイ」と呼んでいた。
「……つまりここは地球だが、君たちはマイクロノーツではない、ということか?」
第6話<オワリ>








































