月次巡回監査を終えると、試算表が完成します。



試算表とは、決算書ではないものの、月ベースでの簡易決算書です。



試算表の多くは、損益計算書・貸借対照表からなります。



私は損益計算書を月ベースで完成するために、準決算なみの配慮をしています。



そこには損益計算書の作成にあたっての、基本的なお約束があるからです。



それを、「費用収益対応の原則」といいます。



これには二つの意味があります。



まず、期間的な対応です。



当期の収益には、当期の費用を対応させるという意味です。



例えば、当期の売上には当期に発生した旅費、水道光熱費を対応させるべきです。



もうひとつは、個別的対応です。



当期の収益を上げるために、犠牲となったコストを直接対応させるべきだという考え方です。



例えば、仕入れた商品は、売上となった時点で売上原価という費用となります。



ここから、発生主義という考え方が生まれます。



現金収入時に売上を計算するのではなく、納品時に売上を計算する。



支払時に仕入れを立てるのではなく、納品時に仕入れを立てる。



つまり、損益計算書の売上、仕入、費用は、キャッシュの流れとは離れてしまっています。



そこで重要なのは、貸借対照表となります。



貸借対照表は、まだ売上、仕入、費用にならないものの集合体というのが、伝統的な考え方です。



現預金は、まだ投資活動へと出発していない待機している資産。



在庫は、まだ売り上げとならない待機している資産。



建物、車両も営業活動にまだ貢献していない待機している資産。



一方、負債項目は営業活動への貢献後の支払い義務。



これらは、会社のレントゲン写真です。



しかし・・・・これだけでは、肝心のキャッシュフローが見えてこないのです。



いくら試算表を見ても、経営にとってはそんなお約束事など関係ありません。



銀行にとっては役立ちますが、経営改善・経営革新といった判断には役立ちません。



「じゃ、どうしたらいいんだ」



となってしまうのが、ほとんどの経営者ではないでしょうかはてなマーク



「どうしたら」の疑問にお答えする前に、普段の記帳の準備が必要です。



まず、ありのままの記帳を行うことです。



帳簿の操作、現金残高の管理不足、納税を意識し過ぎた帳簿。



これからどうすべきかを考えるためには、現状把握が必要不可欠です。



ですから、操作した帳簿などでは、会社の問題を正しくつかむことができません。



次に、発生主義ベースでの試算表を作ることです。



売掛金、買掛金、月末在庫、月あたりの減価償却。



それらを毎月計算し、記帳することが必要です。



以上を踏まえると、資金繰り表の予測を立てるための必要な事項が見えてきます。



売上債権回転日数。



買入債務回転日数。



たな卸し資産回転日数。



これらが、将来のキャッシュの予測のための重要な資料となります。



次回は、これら3つの解説をしましょう。