3歩進んで2歩さがる | 沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式ブログ

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このページでは、沼津港深海水族館の飼育員が水族館で会える生物たちの飼育状況や、日々のちょっとした発見などを随時お届けしていきます。
随時更新していきますので、是非ご覧ください。

みなさんこんにちわ。




最近ちょっと不思議だったこと。

とある朝出勤すると円柱水槽の濾過槽になにやら見慣れないものが。その数は数百、濾過槽の底に沈んでいました。




一瞬、「バイオペレット?」と思ったのですがリアクターもなければ入れた覚えもない。そう、卵でした。





じゃあ誰の卵?

夜間に産卵したものがオーバーフローしてしまったようです。ちなみに卵の粒径は約3mm、かなりの大きさです。このサイズの卵を産みそうなやつといえば・・・ハナヒゲウツボ?




さっそく副館長に相談です。

どうやら話を聞くところによると卵のサイズはハナヒゲウツボで間違いなさそう、というか他にこのサイズ・数の卵を産めるやつがいない。しかしハナヒゲウツボの卵は沈性卵ではないとのこと。可能性としては未受精卵で卵膜の吸水が不十分だったのではないかとのこと。




一応卵だけ隔離して様子をみましたが未受精卵だったようです。




ただここでハナヒゲウツボの成長について疑問が。

当館では7匹のハナヒゲウツボが円柱水槽にいます。その子たちの成長についてはたまにブログでも取り上げさせて頂いています。




幼魚から成魚になるにつれて体色が黒から青に変化すると言われるハナヒゲウツボ。初めて青への変化が確認できたのは昨年8月の事。そして11月にはもう1匹が成魚カラーに。この時点では2匹がほぼ成魚(完全な青)になっていました。




しかし12月に入り、8月から青くなっていた個体があまり餌を食べない・・・それどころか、あれ?青から黒に戻ってる???






9月撮影時の画像。





こちらが本日撮影の画像。

3匹顔を出しているうち一番左の子です。真ん中の子は11月に青くなった子です。




わずかに顎の下あたりに青かった時の名残?があります。




脱皮や産卵前に餌食いが悪くなる生き物って多いですし、成魚カラーになった順番的から考えてもこの子だと思っているのですが、では何故産卵前に幼魚カラーに???




むしろメスになると黄色くなると一般的に言われているのに・・・

残り唯一の青色個体が産んだものなのか、それとも体色関係なく幼魚カラーの個体が産卵した?




謎は深まるばかりです。






他の個体の中にもスポット的に青色が見え始めている個体もいるのでみんな成魚になりかけている(なっている?)のは間違いないはず。




今後も観察していきたいと思います。

みなさんも深海水族館のハナヒゲウツボ、要チェックです音譜





フトタ