安定感 | 沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式ブログ

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このページでは、沼津港深海水族館の飼育員が水族館で会える生物たちの飼育状況や、日々のちょっとした発見などを随時お届けしていきます。
随時更新していきますので、是非ご覧ください。

みなさんこんにちわ!





台風の影響で九州・山口では記録的な大雨のようですね。

沼津でも雨が降ったりやんだり、風も強く嫌な天気が続いています。みなさんも外出の際には気を付けましょう。





さて、突然ですが





独特な模様が特徴的なこの生き物だ~れだ?

この写真だけで同定できたすごいかも!?






つぶらな瞳、そして頭部も模様に覆われていますね。






正解はこちらのキホウボウです。



現在水族館では比較の水槽でキホウボウを展示しています。深海生物の中には水族館に1匹しかいない個体や1年を通じて展示が行えていない種類なども存在しますが、キホウボウは比較的飼育が上手くいっている(と思っている)種類です。




しかし初めから上手くいっていたという訳ではありません。キホウボウは駿河湾で秋から春にかけて行われる底曳網漁にて捕獲されます。綺麗な個体を水族館に持ち帰っても少しずつ尾鰭が白濁し、最終的には壊死して死んでしまう。そんな個体が多いといった印象でした。



これらの症状は擦れによるものなのかと考え、採集した個体のケアをより一層丁寧に行いました。搬入時には擦れによる感染症を防ぐために投薬を行い、1匹ずつ小分けの水槽で飼育をするなど、少しずつ試した結果が今の展示に繋がっています。




他の水族館の方と話をしたとき、同様の事を言っていました。そこでの対処は患部にホルマリンを直接塗ることで壊死を止めるということでした。最終的に尾びれは再生し、元気になったと聞いてそんな方法もあるんだと勉強になりました。




ホルマリンと言うと危険なイメージもありますが、細菌などを死滅させる効果も高いため利用されるんです。私自信、初めて薬としてホルマリンを使うと聞いた時は驚きましたし、「薬も過ぎれば毒となる」なんてことわざもありますが要は使い方次第なんですよね。





キホウボウの近縁種にオニキホウボウという種類もいて、こちらも底曳網漁で捕獲される種類ではありますが数もあまり多くなく、なかなか展示を行えていない種類です。




また9月になれば底曳網漁もスタートしますし、少しでも多くの魚を生かし展示出来るように今後も試行錯誤しながらスタッフ一同頑張りたいと思います。





フトタ