漣さんは彼らと会えたんだろうか?
名バイプレーヤー、大杉漣さんの最初で最後のプロデュース、そして遺作。いつになるかわからない刑の執行を待つ死刑囚の話を聞く教誨室でのほぼワンシチュエーションドラマだ。いろんな死刑囚がいるが、どうして死刑になったかなど詳しい説明はない。だから観客も一緒になって彼らの話を聞き、想像をめぐらせる。映画でありながら落語やラジオのような作品だった。体が悪いわけでもないのに、近い将来確実に死ぬ、でもそれがいつかはわかりない。凄く特殊な状況の人にただただ寄り添う。ビルから飛び降りたり、戦場に行ったりしなくても、人がしたことがない疑似体験ってできるんやな。