AVより、もっとハダカ。
今まで見たドキュメンタリーは監督が対象に近づいて、その姿を切り取るものだった。もちろん作り物や演技ではないが、対象の選択や切り取り方には監督の意図がはたらくし、その意図こそがドキュメンタリーを通して伝えたい内容だったりする。でもこの作品は違う。メインの出演者は監督本人と恋人のAV女優。2人の間に起こる紆余曲折の映像を振り返りながら監督がやりたかったことは、若くして亡くなってしまった彼女と自分自身との決別だ。映画というものは本来、見せる人に何を伝えたいか設計して作らねばいけないはずで、そういう点では監督失格かもしれない。でもカメラの前で喜怒哀楽を見せる監督の姿だけで、見る側の心にズシッと響くものがあった。だから、失格ちゃうと思うな。