One For All.All For One.
イタリアでの実話をベースにした、精神病患者がそれぞれの強みを生かして協同組合を作り
普通の生活に復帰していった話だ。見ながらずっと頭に浮かんでいたのは自分の好きなラグビーだ。
精神病うんぬんじゃなくて、完璧な人間なんかいない。みんなどこか人より劣ってて、かわりに
どこか優れているところもある。その優れているところをみんなのために活かすことが、仕事であり、社会の原動力になっているのだ。

個性が豊かすぎるくらいの組合メンバーたち、それぞれが形もバラバラで社会からも「廃材の木切れ」扱い。
でもそれを組み合わせると寄木造りの素晴らしい作品になり、それが社会に認められ、失っていた人間性を取り戻していく。
日本でやったら、最初の医者のように「触らぬ神にたたりなし」で暗い雰囲気になりそうなデリケートなテーマを
笑いを散りばめ、明るく前向きな物語に仕上げた脚本・監督の力は見事だと思う。
それを支えたのは本物と区別のつかない役者たちの熱演。とくに「理事長」は最高だった。